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井上章一さんプロフィール

井上章一さんとジャズピアノソロアルバムをつくる

STEP3
音源編集作業&第2回CDジャケットデザイン打合せ(9/12)

レコーディングスタジオのあるSTUDIORAG伏見店にて編集作業を行いました。
今回はソロピアノでのレコーディングでしたので、演奏に手を加えるような込み入った作業はしませんでした。何テイクか録った曲に関してはどちらを選ぶかを決めていただきました。
ただ、井上さんの当初からのご要望で、演奏の合間に拍手を入れたりグラスが触れあう音を入れたりして、ジャズクラブでの演奏をイメージしたつくりにしました。
その編集作業が、ことのほか大変だったようで、、、。

ひかる

まず、お持ち帰りになった音源をお聞きになり、いかがでしたか?

井上

僕ね、41歳からピアノを始めたんですが、ずっとやってると耳が肥えてくるんですよ。
今や、ほんとに傲慢な言い方ですけど、ジャズピアノの頂点を極めているキース・ジャレットのアルバムなんかでも、あー、ここ指のいきおいに任せてとちってるなとか、気がつくんですよ。相当耳が研ぎ澄まされてるんですよ。
これ半分自慢話なんですが、そこまで肥えた耳で自分の録音を聞くと、これは惨めなもんですよ。(笑)
いったい何のために耳が肥えてきたんやと思いますよね。
自己嫌悪はいっぱい感じますね。げんなりしますね。

ひかる

まずはげんなり、ですか。

井上

特にね、「サテンドール」はそれまで気づかなかったんですが、録音してもらってリズムが失敗してることに気がつきました。なんでそんなことに普段は気がつかないんだと不思議なんですが。

ひかる

客観的に聞けて、発見できたわけですね。

井上

カラオケと一緒でね。普段は酔ってたんですね。心のなかにエコーかかって、響きがいいと(笑)。
自分はそこそこ歌えるとか思う、あれと同じ状態に陥ってたように思いますね。
聞かせていただくと、あ〜こんなものかと思いますね。こうしているつもりがこうなっていない、というね。

ひかる

そこまで卑下しなくても、と思いますが、私にもそんなヒリヒリするような経験が多々ありますのでお気持ち、お察します。(笑)

井上

これも妙なアドバイスですが、練習するなら自分の音を録音しといた方がいいと思いますね。

ひかる

プロミュージシャンも、よくライブを録音しておいてフィードバックされています。

井上

これはやった方がいいですね。

ひかる

げんなりの次は、少し前向きに、勉強になったということでよろしいでしょうか?

井上

そうですね。この頃は録音技術が向上して、いくらでも修正がきくと言いますでしょう。だけど、あんな話は真に受けないで、という忠告も大事ですね。

ひかる

ミスタッチを別テイクや同じテイクの同じ音から移植して直したり、リズムのばらつきを整えたり、音色も変えられますし、時間とお金をかけるとかなりの修正は出来てしまうのですが、そうなると今度は何のためのだれの演奏なのかわからなくなってしまいます。現場では、それを嘆く声も聞かれます。

コントロールルーム

井上

素人の自主制作で、そういうことは実際問題としてありえないですね。
ミリオンセラーを出すような世界的アーティストの場合は制作に半年かけたり、いろんな編集したり修正かけたりしますが、あの人達は一音一音が数百万ドルとかになるわけですからね。

ひかる

となると、やっぱりレコーディングの日、最高の状態をキープできるよう経験を積んで体得していくしかないですね。
あと、なにか振り返って思われることはないですか?

井上

しんどいと思ったのは拍手入れの時ですね。もう適当にやってくれはったら結構です。と、思っていました。(笑)

ひかる

確かに腰が痛くなるほどミックスルームのソファに拘束されて、ひたすら拍手ばかり聞かされましたもんね。(笑)
実はそんな一見どうでもよいようなところの作り込みに思わぬ時間がかかっていたりします。
グラスの触れ合う音も、スタッフが実際にいろんなガラス製品を使って録音して音源をつくって、それを演奏に重ねて、、、。
「適当」っていうのが実はくせ者で、その人によって感覚が全然違うので出来上がったあとでクレームが出たりするんです。それを防ぐにはやっぱり立ち合っていただくのが一番で。

井上

それは分かります。それは分かりますが、あらかじめ念頭に置いていなかったので。

ひかる

初体験ならではのエピソードですね。(笑)

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