インタビュー

岡本博文(g)「慈愛LOVE」を語る(前編)

さて今回は、RAGの所属アーティストでもある岡本博文さん(g)に「慈愛LOVE」プロデューサー河上ひかるがお話をうかがいました。北山RAG時代からの旧知の間柄の二人ならではの、「慈愛LOVE」秘話が続々飛び出します。

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「慈愛LOVE」参加アーティストインタビュー第二弾

~「えー、また無茶なことを言うなぁ。」~

河上
『慈愛 LOVE』制作中は大変お世話になりました。おかげさまで、何とか形になりました。
岡本
いえいえ、こちらこそどうも。
河上
このアルバムは、僧侶、参加アーティスト、制作者と共通の友人であったN.Y.のレコーディングエンジニア 故デヴィッド・ベイカー氏と、キョウコ夫人に捧げるという着想で作りました。生前、よい音を録るために世界中を駆け回っていた彼を偲んで、日本から天上に向けて「魂の贈り物」を贈ろうと思い立ってのことでした。
岡本
デヴィッドに『鎮魂』という言葉は似合わないけど、精神的には仕事とは離れたところで、みんな純粋な気持ちでやったよね。
河上
山下洋輔さんの「僕も参加していいよ。」という一声で制作が急に現実味を帯びてきて、すぐに岡本さんにお声かけしたわけですが、まずはどう思われましたか?お経とのコラボレーションは。
岡本
「えー、また無茶なことを言うなぁ。」と思いました。でも、お経とのコラボっていうこと自体がやっぱり、無い発想なんで、実際のところさすがだなぁというか、やってみたいなと思った。思ってもいなかったことをオファーされるというのは、ミュージシャンにとっては一番の喜びの一つなので。今までもリズム音源や打ち込みの音楽に合わせて音楽を作ったりすることは多かったので、それがたとえお経であっても、何かの形にはなるだろうなと思い、お受けしたんですけどね。
河上
今回のアルバム制作は誰にとっても初体験で、どこに行き着くのか?ビジョンがあるようでない状態で始めましたので、岡本さんには”北山JazzSpotRAG時代からのお兄ちゃん”として、一緒に冒険の船に乗りこんでもらおうという気持ちでした。
岡本
無茶もやる、みたいなね(笑)。
河上
そうそう。たぶん先行きの見えない大変な旅になるんだろうけれど、面白いことが待っていそうだから付き合ってよ!一緒に修行の旅に出よう!って。
岡本
修行しましたね。
河上
はい、修行でした。

「ハマッたなら、心を捉えて離さない、スピリチュアルなアルバムを作りたい。」

岡本
今回、一番印象的だったのはね、最初にライト感覚な曲を三作渡して「これじゃないんだ。」って言われた時。「岡本さん、私達の原点はエルビン・ジョーンズ(ds)を北山のRAGで聴いて、血が黄色くなるかと思うぐらい感動した、あれでしょ?」って言われたのが、すごく心に響いて、「あっ、この人はそういうアルバムを作りたいんだ!」と思ったのね。
河上
1988年の冬、あれは私にとってはすべての価値観が変わるほどの大事件でした。
岡本
「音楽だけでこんなに得体の知れない場所まで連れて行ってくれるんだ!」っていう体験を、ひかる氏としてはあの時初めてしたわけでしょ?「そういうふうなところの快感を、私達忘れずにこのアルバムにつぎ込みましょうよ」っていう風な精神に聞こえたんだよね。
河上
私の当初からのコンセプトの一つに、ジョン・コルトレーンの『至上の愛』で受けた衝撃、あれぐらいの衝撃をこのアルバムに託せたらなという大きな想いがありまして。
岡本
野望だね、もうほとんどね。野望だわ、それは。
河上
「みんなにウケるわけじゃないけど、もしハマッたなら、心を捉えて離さない、そんなスピリチュアルなアルバムを作りたい。」と。それは日野皓正さんへのお手紙にも書いてね。

世界の巨匠と一緒の盤に入る限りは正々堂々と収まろうと決意が固まった。

岡本
皆さんよくそれに応えたよね。大御所二人がすごかったね。久美ちゃんも素晴らしい。特に一番最初に山下洋輔さんの作品が出来てきて聴いた時に、一つひとつの音の説得力、クオリティ、演奏自体が凄く素晴らしかったので、この人と同じアルバムに入るんだっていう意味では制作途中でやっぱり身が引き締まる思いをしましたね。世界の巨匠という人と出逢ったときのオーラがあって、一緒の盤に入る限りは正々堂々と収まろうという決意が固まった瞬間でもあったね。
河上
実際にアルバムを手にされてどうでしたか?
岡本
ものすごく素晴らしい。CDジャケットは木村英輝さんの絵に、ひかる氏のお父さんの書。本当に色もきれいで、芸術作品みたいで、サインする場所に迷うよね。満足してます、統一性のある素晴らしいものだと。
河上
ありがとうございます。木村さんが打合せで、「今回のジャケットでは、仏教とかが出来るもっと前のプリミティブな『現世における極楽浄土』を絵巻物にしてみたい。」とおっしゃって、極彩色の絵に仕上げてくださいました。題字は、絶対に私を愛してくれていると確信のある父にお願いしました。父も僧侶なので毛筆には慣れていますので、普段通りに書いてもらいました。
後編はこちらから
慈愛 LOVE

「お経」と「即興演奏」との出会いで、突如現れた未知なる世界へ…京の都の不思議な森に、しばし迷い込んでください。

くわしくはこちらから

このアルバムは、いにしえの都 京都を舞台に、千年以上の時を超えて読み継がれてきた「お経」を経糸(たていと)に、読経にインスピレーションを得て現代の感性で紡ぎだされた「音楽」を緯糸(よこいと)に、全身全霊を注いで織り上げた古今音絵巻です。

「お経」の「経」は「経糸」のことで、「不変の真理」を述べたものです。その響きには調和のとれた波動がもたらす、深い癒しの力があります。信仰の有無に関わらず仏教は日本文化や生活に根づいていて、読経を耳にするとき私たち日本人のDNAはなにかしらの刺激を受けます。このお経の響きに日本を代表するアーティストたちが向き合いました。

新譜情報

Okamoto Island New Album 2011年6月8日 発売!!

"You Are My Sunshine"

Sound Produced by Hirofumi Okamoto

タイトルナンバーの「You Are My Sunshine」や唱歌「椰子の実」を含む11曲収録。
価格:¥2,700(税込)
品番:XQCJ-1006

★5月8日からCDの先行予約受付開始&詳細情報解禁!!

詳細はこちらから

旅するリゾートミュージック。
~コバルトブルーのさざ波、煌めく光、薫る風~

リゾートミュージックのパイオニア岡本博文(g)。自身のリーダーグループ「Okamoto Island」名義で発表した前作『Grand Blue』が話題を呼び、待望の第二作『You Are My Sunshine』。ボサノヴァやジャズ、ラテンといったテイストをブレンドし、メロウでお洒落に仕上げられたている。テーマは「海と旅にまつわる人間ドラマ」。海の美しさや旅先でのふとしたエピソードに思いを馳せ、心が癒される。そんな大人のリゾート空間に浸れる至福の一枚。

メンバー

Okamoto Island
岡本博文(g)、佐伯準一(Key)、荒玉哲郎(b)、マーティー・ブレイシー(ds)
Support Member
ヤヒロトモヒロ(per)
Special Guest
桑名晴子(v)
プロフィール

岡本 博文

Hirofumi Okamoto

岡本博文オフィシャルサイト
Okamoto Island オフィシャルサイト

ジャズ&フュージョンギタリストを原点にしながらも、その活動は多彩を極める。エレクトリック、アコースティック両方で、高い評価を得ている。1960年広島市生まれ。(現在京都市内在住)同志社大学在学中よりギターをはじめる。1987年、プロ活動に入る。「Live Spot RAG」を中心に是方博邦、野呂一生、石田長生等と共演。
1992年、WEAより「チャンクヒルズチルドレン」にてアルパム『チヤンク』を発表するとともに、自己のパンド「岡本博文ニューギターバンド」を結成。
1993年、古谷充ニュープロジエクトに参加。
1994年、自己のバンドに村上ポンタ秀一(dr)石橋敬一(b)を迎え全国ツア一。その後、パーカッションにヤヒロトモヒロもレギユラーに迎え定期的にツアーを行う。
1997年、自己のパンドに桜井哲夫(b)を迎えツアーを行う。渡辺香津美と共演、ツアーを行う。
1998年、ケーナの巨匠、ホルへ=クンボのツアー参加。イタリアの歌姫ミルパと共演。
1998年、11月、村上ポンタ秀一プロデュースで、鬼怒無月(ギター)ヤヒロトモヒロ(パーカッション)村上ポンタ秀一(ドラムス)グスタボ=グレゴリオ(ベース)バカボン鈴木(ベース)を迎えて、ソロアルバム『JAWANGO』を発表。
2000年、ブエノスアイレスにて、ファン=ファルー(G)にフォルクローレを師事。タンゴをペドロ=アギュラーに師事。
2001年、RAG International Music Co.,Ltd.の所属ミュージシャンとなる。
NYにてアルゼンチンのロックスター、ミゲール=カンティーロと共演。NY、ボストンにて、ジーン=バートンシーニー、ブレット=ウィルモットにコードワークを師事。日本でも数少ない本格的タンゴバンド『アストロリコ』と活動をともしており、近年、日本でも数少ないタンゴの伴奏者としても、貴重な存在になっている。近年は、 自己のオリジナルバンドとして、ヤヒロトモヒロ(パーカッション)、バカボン鈴木(ベース)との『JAWANGO TRIO』イスラエル=セデーニョ(ベース)佐伯準一(キーボード)とのエレクトリックのプロジェクト。その他、土岐英史(サックス)、赤木りえ(フルート)、小川 紀美代(バンドネオン)、田中峰彦(シタール)さまざまなセッションで活躍中。またスタジオラグでギター教室の講師を務める等、多彩な活動を行っている。

ギター教室

岡本博文 ギター教室

自己のグループ「Okamoto Island」やタンゴバンド“アストロリコ”等でワールドワイドに活躍するギタリスト岡本博文のギター教室です。ジャズ、ブルースを題材に扱いながら、いろいろな音楽に対応する力をつけます。その特徴としては、一般的な楽典の理解はもちろん、岡本メソッドとも言える雑誌にも理論書にも載っていないオリジナルな方法で、初心者から段階的にソロの組み立て方、コードの発展のさせ方などをわかりやすく教えて行きます。マンツーマンで指導する個人レッスン、仲間同士でも気軽に楽しめるグループレッスン、いずれも内容の濃さはかわりません。仕事や学校帰りでも充分通える時間帯のレッスンです。

さらに詳しく
ディスコグラフィー

「Grand Blue」
XQCJ -1003:2,100円(税込)

岡本博文

京都を代表するギタリスト岡本博文のNEWプロジェクト「Okamoto Island」。そのエレクトリック・ヒーリング・サウンドは、リゾート感覚溢れるKYOTO発信マリン系ヒーリング・ミュージック。マリンダダイビングを愛してやまない岡本のメロディアスなナンバーとファンキーなラテングルーウ”に包まれながら、南の島の汐風、太陽の光、そして緩やかな時空間を、存分に体感して下さい。