インタビュー

岡本博文(g)「慈愛LOVE」を語る(後編)

前回に引き続き、岡本博文さん(g)と「慈愛LOVE」プロデューサー河上ひかるの「慈愛LOVE」制作秘話をお届けします。このページから初めて入られた方は、インタビュー前編からお読みください。

後編

~だからあなたもエクスタシーを実現して下さい。~

河上
さて今回、特に女性ファンの心を鷲づかみにした(!)話題の楽曲『蓮』と『桜』ですが、どうやって出来たのでしょうか?
岡本
お経とやる限り、線香臭いイメージからなるべく離れ、自由になりたかった。だから習作の中には、最初はヒップホップありラテンありだったんだけど、ひかる氏とミーティングを重ねるごとに、バラードにするしかないな、と思い始めたの。
河上
内面的なものと向き合うというと、そんな方向になりますかね。
岡本
それから制作に思い悩んでね。佛光院のご住職のところにお話を聞きに行くことにした。その時ご住職から「法悦というのはエクスタシーなんです。だからあなたもエクスタシーを実現して下さい。」と言われた。はたと「救い」と言うものを意識して、「あ、それはハッピーエンドのことなんだ。」とスッと納得いった。
河上
それはよい話を聞けましたね。
岡本
僕は、同時に二つの表情をするものが昔から好きで「笑顔でさよならする」とか「泣きながら、こらえて笑う」そういう両方に感情がひっぱられる感覚を今回も表現しようと決めていたから、自然と為るべくして成った感じでこの二曲が出来たんですね。
河上
なるほど。では、タイトルはどんな風に?
岡本
すぐに花の名前にしようと思った。花は、命の美しさ、ハッピーエンドそのものでしょ。一つは、広い空間と水のある情景が浮かんだので『蓮』にしました。もう一曲は、『桜』。桜って華やかだけど、切なくて、色んな感情を含んだ花なので、これにしたらどうだろうと。そう思って聴くと、最初のいくつかの音で桜がはらはらと散るのがパッと見えた気がしたんです。だから「これだ!!」と。

みんな無意識のうちに集まったんじゃないかと思うんですね。

河上
じゃあ『蓮』というタイトルをつけた時、仏教的な意味合いはなかったのですね。偶然なのか、必然なのか、CDジャケットも『蓮』になりました。
岡本
そうだね!全然意識してなかったけど。
河上
今回のアルバムはなぜか「蓮」に不思議なご縁がありまして、、。読経をしてくださった佛光院さんのある勧修寺のお庭には平安時代からの池があって、すごく見事な蓮の花がたくさん咲くんです。日野さんのライブレコーディングの時はちょうど満開で、日野さんもレコーディング前に見て、清められたとおっしゃっていました。
岡本
後で知ったけど、勧修寺さんの蓮池って、全国的にも有名らしいね。
河上
それで、それとは全く別進行で、CDジャケットを描いてくださった画家の木村英輝さんも、青連院門跡の華頂殿に納める六十枚の襖絵を描くために、同じ蓮池をスケッチされていて、今回もその蓮池をモチーフに描いてくださったんです。
岡本
そうなんだね。うーん。やっぱりある種「シンクロニシティ」という言葉を僕は信じているんですけど、「何かのタイミングで何かが始まる時に、同じタイミングで全然関係ないところで同じことが始まる」ってのは、よくあることだと思う。話に聞いたんだけど、おサルさんが高崎山で一番最初に塩水でイモを洗って食べ始めたらしいのね。でも同じような時期に、全然違う場所でもサルがイモを塩水につけて食べ始めてたっていう。だからね、何か新しいことを始めようとか、みんなの心の中で何かスピリチュアルなものを始めたいな、と思う時期というのが来てて、それが、
河上
今だったのかな?
岡本
うん。僕は、みんな無意識のうちに集まったんじゃないかと思うんですね。

たくさんの才能と純粋な情熱、人を思う慈愛のこころがぎゅっと集まって

河上
そうかもしれませんね。今回の制作は「作った」というよりは自然な流れで「出来ていった」という感覚があります。産みの苦しみはもちろんかなりのものでしたが、産むときは苦しいものだというのも自然の摂理なわけで、何か大きなものに動かされて、たくさんの才能と純粋な情熱、人を思う慈愛のこころがぎゅっと集まって出来上がったアルバムになったと自信を持って言えます。
岡本
参加メンバーが、みんなそれぞれ少しずつ自分の役割を果たしたと思うんですよ。実際のところひかる氏にしても、僕が作品に入れ込んでいる時に「ギターはシンプルでいいよ。」とか言って、結局一番最初に入れたテイクを使ったりしたものもありますよね。ああいう言葉、あれもすごい素晴らしいプロデュースだったなと思う。おかげでボツにされた曲も多いけど、、、。(笑)
河上
ごめんなさい。でも、断腸の思いでした。入れられなかった曲でも今だに好きだなぁと思っているのもあるんですよ。ただ今回のトータルイメージからすると質感が他の曲と違いすぎた為入れられなかったので、あれをまたなんらかの形で発表できたらいいなと思うんですけれど。懲りずにパート2を作ったりして。(笑)
岡本
今回入った二曲に行き着くまでにはすごく時間がかかったんだけど、それをやることによって、僕の芸風というかいろんなカラーを自分で見つけることができた。そういう意味では、自分が音楽をやるうえでの視野とか視点がすごく変わったアルバムなので、多分十年後にもそんなに色あせることなく残るアルバムだと思うのね。
河上
修行の甲斐がありましたね!(笑)
岡本
ココからもう一度違う方向に歩んで、これから先何年か後にあれがもしかしたらターニングポイントだったかもしれないと思う時期が来るんじゃないかと。
河上
うれしいですね、そう言ってもらえるとね。
岡本
そう遠くない未来にね、そんな気がします。
河上
最後に、岡本さんが6月8日にリリースされる新譜『You Are My Sunshine』のことを、ちょっと聞かせてもらえますか?
岡本
僕のバンド「Okamoto Island」の2作目の新譜で、今回は「海。旅。そこにまつわる人間模様。」がテーマです。曲作りを続けているうちに、風景をみて音を出すと言うより、南に向かう旅そのもののワクワクが好きな自分を見つけたんです。そして、そこには風が吹き、大好きな人が居るんですね。それをメッセージとして伝えたかった。今回はアコースティックもたくさん弾いてます。もちろん、メロディアスで普段インストを聞かない人にもアピールしたいというバンドポリシーはそのまま。
河上
情景を描くラテンフュージョンバンド「Okamoto Island」がさらに進化したわけですね。
岡本
『慈愛LOVE』が完成してすぐに録音準備が始まったのですけど、まさにすでにターニングポイントを実行してます。(笑)『慈愛LOVE』で得たことの一つは、「プロジェクトは共同作業で良くなる」という実感ですね。だから、関係するスタッフ全員で作ったトータルクオリティの高さを聴いて欲しい。
河上
他には?
岡本
読経の「声」の持つパワーに対する敬意。人の声の持つ不思議な力をとても感じたので、新譜では桑名晴子さんにも参加していただきました。彼女の声は神の領域を感じます。結果、次回作『You Are My Sunshine』は私たちの活動の新境地です。是非『慈愛LOVE』を聴いて、次回作をチェックして欲しいですね。僕という人間が立体的に浮かび上がって来ると思います。
河上
今日は久々に“お兄ちゃん”といろんな話が出来てよかったです。ありがとうございました。
慈愛 LOVE

「お経」と「即興演奏」との出会いで、突如現れた未知なる世界へ…京の都の不思議な森に、しばし迷い込んでください。

くわしくはこちらから

このアルバムは、いにしえの都 京都を舞台に、千年以上の時を超えて読み継がれてきた「お経」を経糸(たていと)に、読経にインスピレーションを得て現代の感性で紡ぎだされた「音楽」を緯糸(よこいと)に、全身全霊を注いで織り上げた古今音絵巻です。

「お経」の「経」は「経糸」のことで、「不変の真理」を述べたものです。その響きには調和のとれた波動がもたらす、深い癒しの力があります。信仰の有無に関わらず仏教は日本文化や生活に根づいていて、読経を耳にするとき私たち日本人のDNAはなにかしらの刺激を受けます。このお経の響きに日本を代表するアーティストたちが向き合いました。

新譜情報

Okamoto Island New Album 2011年6月8日 発売!!

"You Are My Sunshine"

Sound Produced by Hirofumi Okamoto

タイトルナンバーの「You Are My Sunshine」や唱歌「椰子の実」を含む11曲収録。
価格:¥2,700(税込)
品番:XQCJ-1006

★5月8日からCDの先行予約受付開始&詳細情報解禁!!

詳細はこちらから

旅するリゾートミュージック。
~コバルトブルーのさざ波、煌めく光、薫る風~

リゾートミュージックのパイオニア岡本博文(g)。自身のリーダーグループ「Okamoto Island」名義で発表した前作『Grand Blue』が話題を呼び、待望の第二作『You Are My Sunshine』。ボサノヴァやジャズ、ラテンといったテイストをブレンドし、メロウでお洒落に仕上げられたている。テーマは「海と旅にまつわる人間ドラマ」。海の美しさや旅先でのふとしたエピソードに思いを馳せ、心が癒される。そんな大人のリゾート空間に浸れる至福の一枚。

メンバー

Okamoto Island
岡本博文(g)、佐伯準一(Key)、荒玉哲郎(b)、マーティー・ブレイシー(ds)
Support Member
ヤヒロトモヒロ(per)
Special Guest
桑名晴子(v)
プロフィール

岡本 博文

Hirofumi Okamoto

岡本博文オフィシャルサイト
Okamoto Island オフィシャルサイト

ジャズ&フュージョンギタリストを原点にしながらも、その活動は多彩を極める。エレクトリック、アコースティック両方で、高い評価を得ている。1960年広島市生まれ。(現在京都市内在住)同志社大学在学中よりギターをはじめる。1987年、プロ活動に入る。「Live Spot RAG」を中心に是方博邦、野呂一生、石田長生等と共演。
1992年、WEAより「チャンクヒルズチルドレン」にてアルパム『チヤンク』を発表するとともに、自己のパンド「岡本博文ニューギターバンド」を結成。
1993年、古谷充ニュープロジエクトに参加。
1994年、自己のバンドに村上ポンタ秀一(dr)石橋敬一(b)を迎え全国ツア一。その後、パーカッションにヤヒロトモヒロもレギユラーに迎え定期的にツアーを行う。
1997年、自己のパンドに桜井哲夫(b)を迎えツアーを行う。渡辺香津美と共演、ツアーを行う。
1998年、ケーナの巨匠、ホルへ=クンボのツアー参加。イタリアの歌姫ミルパと共演。
1998年、11月、村上ポンタ秀一プロデュースで、鬼怒無月(ギター)ヤヒロトモヒロ(パーカッション)村上ポンタ秀一(ドラムス)グスタボ=グレゴリオ(ベース)バカボン鈴木(ベース)を迎えて、ソロアルバム『JAWANGO』を発表。
2000年、ブエノスアイレスにて、ファン=ファルー(G)にフォルクローレを師事。タンゴをペドロ=アギュラーに師事。
2001年、RAG International Music Co.,Ltd.の所属ミュージシャンとなる。
NYにてアルゼンチンのロックスター、ミゲール=カンティーロと共演。NY、ボストンにて、ジーン=バートンシーニー、ブレット=ウィルモットにコードワークを師事。日本でも数少ない本格的タンゴバンド『アストロリコ』と活動をともしており、近年、日本でも数少ないタンゴの伴奏者としても、貴重な存在になっている。近年は、 自己のオリジナルバンドとして、ヤヒロトモヒロ(パーカッション)、バカボン鈴木(ベース)との『JAWANGO TRIO』イスラエル=セデーニョ(ベース)佐伯準一(キーボード)とのエレクトリックのプロジェクト。その他、土岐英史(サックス)、赤木りえ(フルート)、小川 紀美代(バンドネオン)、田中峰彦(シタール)さまざまなセッションで活躍中。またスタジオラグでギター教室の講師を務める等、多彩な活動を行っている。

ギター教室

岡本博文 ギター教室

自己のグループ「Okamoto Island」やタンゴバンド“アストロリコ”等でワールドワイドに活躍するギタリスト岡本博文のギター教室です。ジャズ、ブルースを題材に扱いながら、いろいろな音楽に対応する力をつけます。その特徴としては、一般的な楽典の理解はもちろん、岡本メソッドとも言える雑誌にも理論書にも載っていないオリジナルな方法で、初心者から段階的にソロの組み立て方、コードの発展のさせ方などをわかりやすく教えて行きます。マンツーマンで指導する個人レッスン、仲間同士でも気軽に楽しめるグループレッスン、いずれも内容の濃さはかわりません。仕事や学校帰りでも充分通える時間帯のレッスンです。

さらに詳しく
ディスコグラフィー

「Grand Blue」
XQCJ -1003:2,100円(税込)

岡本博文

京都を代表するギタリスト岡本博文のNEWプロジェクト「Okamoto Island」。そのエレクトリック・ヒーリング・サウンドは、リゾート感覚溢れるKYOTO発信マリン系ヒーリング・ミュージック。マリンダダイビングを愛してやまない岡本のメロディアスなナンバーとファンキーなラテングルーウ”に包まれながら、南の島の汐風、太陽の光、そして緩やかな時空間を、存分に体感して下さい。