井上章一さんと河上ひかる（じわりん工房）
国際日本文化研究センター教授
井上 章一 様
もくじ
家族とピアノの切ない関係
- 井上
お経の話でうちのかみさんのこと蒸返しますけど、「このCD、あんたが死んだ時に流してあげるわ。」て、ひどくないですか？
- ひかる
そうかなぁ。素敵じゃないですか？奥さま、CDを聞かれて自然にそう思われたんだと思いますよ。
このCDは井上さんがピアニストとして生きた証なわけですから。
ジャズピアノでみなさまとお別れできるなんてやっぱり素敵ですよ。
もし今後上達著しくてこのアルバムでは不本意だと感じられるようになりましたら、どんどん更新していって下さい。（笑）
それにしても大人になってから音楽を趣味として続けるには、家族の協力と理解は不可欠だと思うのですが。- 井上
練習し始めた頃は、かみさんから山のようなブーイングがありましたが、今はそれがさけられるようになっています。かみさんがいない時に練習をするとか、そんなに嫌がられない落としどころを自分なりに見つけました。私のピアノとかみさんの生活のすみ分けが出来ていると思います。なるべくかみさんには迷惑かけないように。
- ひかる
でも、奥さまもこのCDを聞かれて井上さんに対する評価が上がったのではないですか？
- 井上
うちのかみさんは世間体の中で生きている人ですから、やっぱり夫がこういうのってなじめない部分を持ってるんですよ。
- ひかる
あ〜。（笑）
- 井上
傲慢な言い方ですが、僕は職場の人たちにCDをお配りするとき、「粗品ですが、」と言いながら渡すんですが、ホンマは粗品やと思いきれへん何かもいだいているんですよ。音が粗品やという自覚はあります。でも、魂は粗品やと思ってないんですね。
だけどかみさんなんかは心の底から粗品やと思ってるわけですよ。- ひかる
身内はどこも厳しいものです。（爆）