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ビートルズは、アルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」でポピュラー音楽界に革命を起こした!

ビートルズは、アルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」でポピュラー音楽界に革命を起こした!
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ビートルズは、アルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」でポピュラー音楽界に革命を起こした!

2017年は、ビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」が1967年6月にリリースされてから50周年を迎えます。

過去にあったエピソードをまじえ、紹介していきたいと思います。

不朽のアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」

このアルバムがリリースされたときは、一般の人々だけではなく、世界中の多くの著名人たちもその斬新な内容に衝撃を受けたのです。

いまだにロック史上最高のギタリストと称されるジミ・ヘンドリックスも、リリースの3日後に開催された自身のライブでタイトル曲を即興で演奏し、その偉業を讃え(たたえ)ました。

コンセプト・アルバムの金字塔

コンセプト・アルバムとは、あるテーマで全体を統一して制作されたアルバムのことです。

ビートルズの登場までは、アルバムとは、シングル曲を集めたボーナス盤的な扱いでした。

しかし、ビートルズは、アルバムの概念を根底から覆し、そこに自分たちの主張を盛り込み、アルバム自体を一つの作品として完成させたのです。

彼らのこの戦略は、すでにアルバム「リボルバー」から片鱗(へんりん)が見え始めていましたが、完全にコンセプト・アルバムとして制作したのはこのアルバムです。

このアルバムでは、ペパー軍曹という架空の人物が結成したバンドが次々と演奏を披露するという設定になっています。

ですから、冒頭のタイトル曲の歌詞は、司会者がこれからすてきなショウを開催します、どうぞお楽しみくださいという内容になっています。

もちろん、音楽だけで映像はありませんが、リスナーの脳裏には、ジャケット写真のきらびやかな衣装をまとったビートルズがステージに登場して演奏するシーンが鮮明に浮かび上がるのです。

そして、エッジなロックから始まり、ほのぼのとした曲、サイケデリックな曲、感傷的なバラード、伝統的なインド音楽、心が躍る楽しい曲、サーカスのワンシーンを想起させる曲などが次々と披露されます。

リスナーは、ビートルズが繰り出すサウンドにジェットコースターに乗せられたように翻弄(ほんろう)されっぱなしです。

そして、あっという間にエンディングを迎え、再び司会者がショウをお楽しみいただけたでしょうかとリスナーに告げて幕を閉じます。

初めて聴き終えたリスナーは、あまりの衝撃にただただ呆然(ぼうぜん)とするばかりでした。

ポピュラー音楽をアートに昇華させた!

ビートルズは、ラバーソウル、リボルバーという2枚のアルバムですでにアイドルから脱却し、アーティストへと変貌を遂げていましたが、このサージェントでは、ついにポピュラー音楽をエンターテインメントに留まらずアートにまで昇華させたのです。

クラシックでいえば、アルバム全体が一つの壮大な組曲になっているようなものです。

同時にジャケット写真の斬新なデザインも賞賛されました。

すでにリボルバーでもその斬新さが賞賛されていたのですが、サージェントではよりカラフルにサイケデリックな印象を与えました。

ビートルズは、ジャケット写真も一つのアートであることを世界に示したのです。

そして、ここにビートルズがバンドとして姿を見せている意味は「われわれは、もはやレコードの中でしか演奏しない(ライブはやらない)」というファンに対する宣言だったのです。

このアルバムは、ロックとして初のグラミー賞を受賞しました。

サージェント・ペパーが持つ現代的意義

そして、驚くべきことに2017年5月26日にこのアルバムが、リリース50周年を記念し、新たな編集の下にスペシャルエディションとして全世界同時にリリースされることです。

新たに編集されるとはいえ、50年も前のアルバムが再びリリースされるなど、まず他のアーティストでは考えられません。

いかにこのアルバムが現代においても重要な意義を有しているかが分かります。

コンピューターを駆使して音楽を制作する現代と異なり、当時はアナログそのものでした。

ビートルズの発想があまりに時代の先を走りすぎていて、レコーディング技術が追い付かなかったのです。

それでも彼らの飽くなき要求に応えたEMIのレコーディング・エンジニアたちの功績は讃え(たたえ)られてしかるべきでしょう。

サウンドを追求したビートルズの極致

1966年以来一切のライブ活動を休止したビートルズには、音楽と向き合う時間が十分ありました。

そして、彼らは、音楽の可能性について深く考え、それまでとは違う音楽を作りたいという強い欲求を抱いたのです。

絵画の世界で例えるなら、写実的な絵画から抽象画へ転換したピカソのようなものでしょうか?

それまでの固定概念を覆したという意味では、相通ずる偉業を成し遂げたといえます。

ビートルズの実験は大胆で斬新なものでしたが、それをことごとく成功させたからこそすごいのです。

彼らの次元の高い哲学とそれを正確に表現できる音楽的才能が、この素晴らしいアルバムを生み出したといえるでしょう。

時には幻想的であり、悲しくもあり、楽しくもありとさまざまな感情がこの1枚のアルバムから沸き起こるのです。

地上から大空へ、現代から未来へ、リスナーをありとあらゆる時空へいざない、リスナーの脳のスイッチがその度に自然に切り替わります。

現代になりようやくVR(バーチャルリアリティー)で実現できるようになった世界を、50年前に彼らは音楽だけで実現することに世界で初めて成功したのです。

このアルバムをきっかけに、アーティストにとってアルバムがいかに重要であるかが認識され、アーティストは、どんなアルバムを制作するかで評価されるようになりました。

また、それまで「ポピュラー・ミュージシャン」と呼ばれていた人々が「アーティスト」と呼ばれるようになったのも、おそらくこのアルバムの成功が背景にあると思われます。

音楽における芸術性と大衆性の融合

ビートルズは「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」では空中を浮遊するかのような幻想的な空間を作りました。

「フィクシング・ア・ホール」では、雨漏りがするから屋根の穴を塞ぐという歌詞ですが、それにより世間などどうでも良い、自分の気持ちに素直になりたいというぼんやりとしたアンニュイな気分を巧みに表現しています。

「シーズ・リービング・ホーム」では、美しいメロディーで家族から疎外され、家出する女性の切ない気持ちを歌いあげています。

「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」では、平凡な日常生活が、全くありえない展開を見せるサイケデリックな瞬間をリスナーに投げかけました。

これは、曲中に挿入されたリスナーを極限状態に陥れる圧巻のオーケストラの演奏風景です。

ビートルズのすごさは、一つ間違えれば理解不能の一言で片づけられてしまう作品を、誰にでも分かるように完成させただけではなく「ラブリー・リタ」のようにポップな作品も同時に提供して、リスナーに一息つける余裕を与えたところです。

他のアーティストなら自分たちの主張を貫いてしまいがちですが、そうするとコアなファンは喜んでも、多くのファンは付いていけなくなってしまうのです。

このように「芸術性」と「大衆性」という真正面から衝突してしまいがちなテーマを追求し、両方を同時に成功させたのはビートルズをおいて他にはありません。

このアルバムは「ローリングストーン誌が選ぶ時代を超えた偉大な500のアルバム」のトップにランクされています。

同誌は「これまでに制作された最も重要なロックンロール・アルバムであり、そのコンセプト、サウンド、作詞作曲、ジャケット写真、スタジオ技術において、時代を超えた最も偉大なロックンロールグループにより制作された」と絶賛しています。

奇抜な衣装

1966年11月にポールは、休暇を取ってケニアへ旅行しました。

その帰りの飛行機で正体がばれないよう変装したのですが、その時に次のアルバムではメンバーが仮装したらどうだろうというアイデアを思い付いたのです。

それがあの4人が来ているカラフルな軍服をモチーフにした衣装につながったんですね。

4人が最も協力したアルバム

ビートルズの4人、中でもジョン・レノンとポール・マッカートニーの2人が最も協力し、偉大な功績を成し遂げた瞬間でした。

しかし、これ以降、徐々に彼らの距離は離れていったのです。

このアルバムではタイトル曲が冒頭と最後の2回レコーディングされるという珍しいパターンになっています。

これは、ビートルズの発想ではなく、長年彼らの運転手を務めていたニール・アスピノールのアイデアでした。

これは、ビートルズによる架空のコンサートという設定なのだから、締めくくりも司会者が観客に「お楽しみいただけたでしょうか?」とあいさつしたらどうかと提案し、彼らがそれを受け入れたのです。

この演出により、このアルバムは一つの壮大なドラマとして完結しました。

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