「地底アイドル」ってどんな世界?私が地底アイドルイベントへの出演を辞めた理由
地底アイドル・地底アイドルイベントの特徴
3. ライブオファーは、膨大な数のイベントの日程が一覧で送られてくる
これは地底アイドルイベント以外からもオファーを頂けるようになってから初めて発覚したのですが、地底アイドルイベントと他のイベントとではライブオファーのメールの内容が全然違ってきます。
地底アイドルイベントは一般公募に近いオファー、アーティスト系などその他イベントはピンポイントにオファーが来るイメージです。
地底アイドルイベントのオファーは、膨大な数のイベントの日程が、一通のメールに一覧で送られてきます。
この提示されたたくさんのイベント日程のうち「出たい!」という意思表示をしたライブすべてに出演できます。
ただし、イベントの手がかりが日付けと場所しかなく対バンも分からない状態なので、出たいイベントに出るというよりもスケジュールが合うイベントに出演する、といった感じになります。
たくさんのイベントが一気に提示されるので、自分のスケジュールに空きがある日を有効活用しやすいです。
一方アーティスト系イベントなどその他のイベントは、「●月●日のライブに出て欲しいです!」と、ピンポイントでオファーが来ます。
現在すでに出演が決まっているアーティストやお誘い中のアーティストの情報も一緒にくれる事が一般的なので、それを手がかりに前もってどんなライブをしようか構想を練る事もできます。
すごく丁寧な人だと、YouTubeで曲を聴いた感想や実際のライブで私を見た感想まで添えた上で「ぜひ出演して欲しい!」と言ってくださったり、「対バンの●●さんと共演したら相性が良さそうなので一緒に出てみませんか?」と言ってくださったりします。
とにかくオファーがピンポイントです。
裏を返せば、出たいイベントがあるからって名乗り出ても全部に出演させてもらえる訳ではありません(笑)。
他にも「衣装はドンキホーテで調達」「ググってもヒットしない」など「地底あるある」が思い付きますが、このぐらいにしておきましょう。
そして、私が地底アイドルイベントに出演しなくなった理由をあらためてまとめてみます。
理由はひとつではなくて、何個かあります。
私が地底アイドルイベントへの出演を辞めた理由
1. もっと長い持ち時間でライブがしたくなった
シンガーソングライターとして活動していると、曲を書く事も活動の一部なので、時間がたてば当然オリジナル曲も増えて行きます。
気持ちを込めて作った自慢の曲です。
どうせライブをするなら、できるだけ多くの曲を披露したいので持ち時間は長い方がうれしいです。
また、ライブのためにはCDなどの物販に加えてギターも必須です。
私は普段は会社員なので、朝のラッシュ時にギターが痛まないかヒヤヒヤしながら満員電車に乗り込み、会社では冷たい視線を浴びながらデスクの横にギターを立てかけ、仕事後だと急がなきゃ間に合わないので定時とともに重いギターを担いで全力ダッシュしてライブハウスに向かいます。
こんな大変な想いをしてまで出演時間が10分ちょっとじゃ、ちょっと切ないです。
2. アイドルだけでなく、アーティストとも共演したくなった
自分以外の他のアーティストが、どんな曲を作ってどんな風に演奏をするのか気になります。
いろいろと情報交換もしたいです。
しかし、アイドルイベントはあくまでもアイドルさんの出演がメインなので、アーティストの知り合いの幅を広げるのは難しかったです。
地底アイドルイベントで出会ったシンガーソングライターさんはたった2人。
うち1人が工藤ちゃん、もう1人の女の子はチラっと楽屋で一緒になっただけなので名前も覚えていません……。
アイドルとアーティストの垣根が薄れてきているとは言え、これではアーティストとの人脈が広がりません。
初恋サイダーのカラオケばっかり聴かされるのでは、対バンさんたちにも興味を持てなくなってしまいました。
3. 演者の確保に必死な主催者さんに「その辺歩いてる子でも誰でも良いんで演者として連れて来てくださいよ〜」と言われた(決定打)
この言葉が、地底アイドルイベントから身を引く決め手になりました。
一覧でもらったイベントの日程がすべて別の予定と被っていて、たまたま一度も出演できない月があったんです。
その時に言われたのがこの言葉でした。
悪意はなく軽い冗談だったのかもしれませんが、冗談だったとしてもあまり耳に心地よい言葉ではありませんでした。
オリジナル曲が増えるにつれ、別のイベントからもオファーがもらえるようになるにつれ、知らず識らずのうちに私にも小さなプライドが芽生えたのかもしれません。
「私の代わりは、その辺を歩いてる女の子にも務まるのか!?」と思うと、むなしくなってしまいました。
下手クソなりにも自分で手探りで一所懸命に曲を作っているんです。
そりゃあ悲しいです。
こうして私は地底アイドルイベントに「岬たん」として出演して弾き語りをすることはなくなってしまいました。
でも、本当に感謝しています。
このような出演のハードルが低い地底アイドルイベントも必要だと思います。
かつての私のように、そこが居場所になっている人もたくさんいるはずです。
そんな人たちの居場所がなくなってしまって、いきなり30分ステージを回せるようにならないとライブができない世の中じゃ、いろんな可能性をつぶしてしまいかねません。
例えオリジナル曲がなくても、2、3曲しか歌えなくても、ステージに憧れる女の子たちが「アイドル」として輝ける場所があるのはすてきな事です。
最後まで読んでくれてありがとう。
ライタープロフィール
シンガーソングライター
岬たん
パンクロック生まれサブカル育ちのSSW、岬たん(みさきたん)。
わがまますぎてバンドが組めなかったが、アコギ1本でもパンクロックをするべく2015年12月より自作曲での弾き殴り活動を開始。
「ブスの自撮り、デブの生足」「クソババア クソジジイのテーマ」など、次々に生み出されるオリジナル曲はどれも独特で個性的。
客席を巻き込むプレイスタイルとストレートすぎるMCからなる自由奔放なライブで、弾き語りイベントだけでなくバンドイベント・アイドルイベントにも多数出演中。
(むしろ弾き語りイベントでは浮くことも…。
)
ウェブサイト:http://misakitan22.wixsite.com/misakitan-official
ブログ:http://misakitan22.hatenablog.com
Twitter:misakitan22
Instagram:https://www.instagram.com/misakitan22