【ボーカロイド入門】メリハリの付け方と、最終行程
これまで4回に渡ってボーカロイドを使って、オリジナルの曲を作る挑戦をしてみましたが、今回でこの曲については完成させたいと思います。
メリハリをつけてみる
歌モノの曲はある程度セオリーが決まっており、イントロ→Aメロ→Bメロ→サビといった展開をしています。
ポップス系なら各パートごとに楽器を切り替えたり効果音をたくさん鳴らしたりすることでくるくると展開を変えていくこともできますが、今回はパート数を増やすことができないジャンルですので否応なくシンプルに削っていくことにします。
Aメロはボーカルとコーラスを中心、Bメロはコーラスを抜いてギターとシンセパートでアルペジオを鳴らし、サビではボーカルとコーラスを中心に少しバッキングを増やして音を厚くしてみることにしました。
ボーカロイドでのメリハリのつけ方
曲の変化に合わせてAメロ、Bメロ、サビでそれぞれ歌い方に変化をつけるように心がけて入力しています。
具体的にはフレーズの区切りを意識したAメロと音価(おんか)一杯まで伸ばして、ビブラートを聞かせるように意識したBメロ、Bメロのロングトーンと対照的にはっきりと一言一言が聞こえるように歌うサビと分けています。
これは音符ごとに設定されるアクセントとディケイの値とベロシティの変化で調整しています。
歌い出しのタイミングなどの微調整は音符自体を動かすこともありますが、ニュアンスの変化程度の調整であれば楽譜通りの入力にしてパラメーターで調整を行う方が現実的で簡単です。
今回は歌い方のリファレンスを考えないで進めてしまったので特に目標は定めていなかったのですが、自分の好きなシンガーやアーティストの特徴を意識的に真似ていくと作業としてもやりがいのあるものになると思います。
フレーズのパーツを組み合わせてみる
プログレのように高度な理論とテクニックによって組み立てるジャンルでは通用しない方法ですが、単純なメロディ・リズム・ハーモニーの3点セットで作る曲であればフレーズの組み合わせは有効な武器です。
カットアップもその一つですが、今回はBメロのギターも簡単なパーツにしてあります。
CubaseのArpache SXというツールはいわゆるアルペジエーターで、入力を受け取ると設定したパターンのフレーズに展開して鳴らしてくれるツールです。
Bメロのギターは曲の進行に合わせたコードを鳴らしてみてからArpache SXをトラックに挿入してギター向けのアルペジオフレーズを設定しているだけです。
リズムのパターンもドラムのループをLOOPMASHでパターン演奏させて一部にエフェクトを挿入しているだけですので、この曲は誰でも簡単に作ることができます。
音を整理して完成
パート数が少ないこともあって整理自体は簡単でしたが、低音の衝突をイコライザーで整理し、歌メロと被るパートの音はその部分だけ少し音量を下げるなどの微調整を行って、最後はマスターコンプやリミッターを通してまとめてました。
(ミックスダウンと言います)
これで完成です。
今回の目標としたことのおさらい
初回にカットアップを使ってみる、R&Bをやってみたいと宣言した通り、目標はそこに設定していました。
R&B系の特徴をざっくり書いてしまうと次のようになります。
- パート数は多くない
- 少ない楽器で構成されたパターンに旋律を載せている
- リズムが重要
自分が好きなのはドネル・ジョーンズでそういう雰囲気を目指したいと考えていました。
実際には最初のコード進行の作成の時点でかなりポップス系に寄ってしまったので軌道修正ができないまま最後まで作ってしまいました。
完成させるということ
何事もそうですがうまくいかなかった、あるいは思うようではなかったと途中で辞めてしまった場合と、うまくいかないなりにも形にするまで手をかけた場合で得るものは大きく変わってきます。
今回はカットアップを使う、ジャンルを決めて作るという目標を立ててみましたが結論を言えばうまくいかなかったケースです。
プロジェクトの中に試行錯誤の結果使わなかったフレーズが10、20と積み残されてお世辞にも奇麗な終わり方とは言えないかもしれませんが、その中には今回のジャンルには合わなかったけど他のジャンルになら使うことができそうなフレーズなどもありました。
何度失敗を繰り返しても、結果が積みあがることはあっても何かを失うことはありません。
何かを作ることはその繰り返しですので、まずは思うように音を鳴らしてみてください。
これからボーカロイドでオリジナル曲を作る方にとって、少しでも参考になれば幸いでございます。
ライタープロフィール
DTMer
みるくここあ
元IT技術者。
ウィンドシンセを使います。
VocaloidやCeVIOを使って曲を作ってみたり、ボーカルを迎えて曲を作ってみたりしています。
元々楽器の練習用にオケを作るだけだった半端なDTMerでしたがVocaloidに出会い、その変遷に付き合っていくうちに深みに嵌っていたただの音楽好きです。
Vocaloid 2 MegupoidとVocaloid 3 IA、そしてCeVIO Creative StudioのONEを使用しています。
ウェブサイト:http://milkcocoa.org
Twitter:milkcocoa_org