【DJ初心者のための】今さら聞けない「デジタルDJ」のこと
音楽を始めてみたい……。
今や手頃な価格で始められるDJですが、DJといっても、いろいろなソフトウェアがあります。
特にスマホ系アプリまで含めると、莫大(ばくだい)。
僕だって知らないソフトウェアもたくさんあります。
そこで、まずはデジタルDJってどんなこと?
って所からご紹介してみたいと思います。
デジタルDJとは?
「DJソフトウェア」と何らかの「DJソフトウェアのコントローラー」の組み合わせで、DJプレイを楽しめるもの、それがデジタルDJです。
ひとえに「DJソフトウェア」といっても、大きく分けて二種類、存在します。
一つは「DVS」のソフトウェア。
もう一つは「コントローラーシステム」のソフトウェア。
この二通りの使い道が、DJソフトウェアを「パッ」とは分かりにくいものにしている、とも言えます……。
DVS
Digital Vinyl System(だっけな?
)の略でDVS、つまりデジタル技術でレコードをコントローラーとして利用できるシステムです。
DVSでは「専用のレコード」を用いてDJをします。
この専用のレコードにはコントロール信号が刻まれており、それをパソコンで読み取ることでソフトウェアがコントロールできるようになる、という仕組み。
つまり、この一連のDVSシステムが整えば、パソコン内に保存されているMP3などをレコード(DVS専用レコード)で扱うことができるようになるわけですね。
ということは……。
そもそもハードウェアとしてのターンテーブルとDJミキサーが必要となるわけです。
他にはレコードのコントロール信号をパソコンに取り込む必要もあるので、「オーディオインターフェース」と呼ばれるパソコン機器や接続ケーブルも必要となります。
といっても大抵のDVS製品は「ソフトウェア+専用のレコード(CD)+オーディオインターフェース+ケーブル」がワンパッケージとなっていますので、パソコン周りに関しては心配はいらないと思いますが、初めてDJをしようという人には、ターンテーブル+DJミキサーもそろえるというのは、ちょっと敷居が高い所ですね。
ということもあって、近頃DVSはわりと下火になってきています。
そもそも現代はデジタル技術が進歩し、ターンテーブルやミキサーに代わるシステムが登場してきているために、DJを始めたいならばターンテーブルやミキサーをそろえなければならない「必要」がなくなっているからです。
ターンテーブル全盛の世代じゃない人たちにとって、ターンテーブルやミキサーまで用意するというのは合理的じゃないな、ということですね。
さて、そんな「デジタル技術が進歩し、ターンテーブルやミキサーに代わるシステム」とは何なのか、というと、それが「DJコントローラーシステム」なわけです。
DJコントローラーシステム
DJコントローラーシステムは、DJコントローラーとDJソフトウェアがあるだけでDJの準備が整います。
最近のPIONEER、Reloop、Numark、NativeInstrumentsなどのDJコントローラーであれば、あとはDJソフトウェアがインストールされたパソコンがあれば準備OKという感じですね(しかも大抵はDJコントローラーに適切なソフトウェアが無償で用意されている)。
つまりDVSのようにいろいろそろえたり、接続を頑張ったりする必要なく……。
- パソコンにDJソフトウェアをインストール
- DJコントローラーをパソコンに接続
という至ってシンプルな形ですから、ややこしいことを考えなくて良いのが大きなポイントですね。
唯一注意することがあるとすれば、「コントローラーにオーディオインターフェース(パソコンから音を出力するパソコン機器)が内蔵されているか?」位のことです。
もし、オーディオインターフェースが内蔵されていないようであれば、別途オーディオインターフェースも用意する必要がありますが、今時のDJコントローラーは大抵オーディオインターフェース内蔵ですので、3万円を超えるDJコントローラーの場合はあまり心配する必要はないでしょう。
対して「価格が安いDJコントローラー」の場合には、オーディオインターフェースが内蔵されているかどうか一応チェックする程度の感覚でOKだと思います。
ところで、近頃はDJソフトウェアがハイクオリティになり「二つの楽曲のテンポをそろえる」というテクニックは、ボタンひとつでできるようになってしまいました。
つまり、ターンテーブルやジョグ(CDJのグルグル回すところ)の重要性もなくなってしまったので、これをなくしてしまったDJコントローラーも増えつつあります。
これからDJを始めるのであれば、あまりジョグに頼らないパフォーマンスに慣れた方が良いのではないでしょうか。
DJソフトウェア
さて、まずはクラブで使われている、いわゆる「本格・定番」なソフトウェアから見ていきましょう。
Serato DJ
世界的に大定番のソフトウェア、特に米国でのシェアは圧倒的。
ものすごく根本的な要望である「音楽ファイル(MP3とか)でDJしたい」という要望を最もシンプルに実現してくれるので、使うための準備から利用までがシンプル。
だけどもプロが愛用するほど高品位、というところが特徴ですね。
これを使うクラブDJさんたちは、根本的にDJプレイに対して「テクニックはターンテーブルとミキサーで」という意識をもっていて、フィジカルなパフォーマンスをする方が多いように思います。
Serato DJのご利用には、必ず対応のハードウェア(DJコントローラーやオーディオインターフェース)が必要ですが、逆に対応ハードウェアをつなぐだけで特別な設定なしに確実に作動するので、設定関係が苦手な人にとってはうれしい仕様でもあります。
Naitive Instruments TRAKTOR PRO
これまた世界的に大定番のソフトウェア、ヨーロッパでの愛用者は非常に多いですね。
TRAKTORの特徴は、何よりも「機能性」。
つまり「タンテとミキサーとレコード」しかなかった時代では不可能な個性的でトリッキーなパフォーマンス性に長けています。
特に最近では「ライブとしてのDJ」というところに注力されており、どちらかというと「トラック自体を作っている」というクリエイターさんにひいきにされている感じです。
あと、TRAKTORはお好みのオーディオインターフェースを利用することが可能です(これ超重要)。
しばしば「TRAKTORかSERATO、どっちが音質が良い?」などの話を聞きますが、ソフトウェアの音質うんぬんよりもオーディオインターフェースの品質の方が「圧倒的に音質の重要度を占めている」のがデジタルミュージックの常識。
つまり、高品位なオーディオインターフェースを使用すれば、それだけで音質は大幅に向上するということです。
こういった「カスタマイズ性」が高いのも、TRAKTORの特徴ですね。
注意:DVSの場合は「TRAKTOR SCRATCH」というバージョンのTRAKTORが必要ですが、このTRAKTOR SCRATCHでのタイムコードの読み取りでは、TRAKTOR AUDIO 10などの対応オーディオインターフェースがなければタイムコードの読み取りができません。
つまり、DVS(タイムコードの解析)の場合には、オーディオインターフェースの自由選択はできません。
なお、TRAKTOR SCRATCHはDJコントローラーシステムでも利用可能で、この場合にはオーディオインターフェースの自由選択が可能です(タイムコードの解析を必要としないため)
Pioneer rekordbox dj
正直言って「まだ定番ではない」んですけけど、今後、最も目が離せないDJソフトウェア、それがこの「Pioneer rekordbox dj」。
機能面でも安定面でもまだまだ上記2製品に対抗できるような目をみはるものがありませんが、クラブには「必ず」と言って良いほどPIONEERのミキサー/CDJが常設されていますし、日本でのDJコントローラー販売台数ではPIONEERは大人気、ということから、今後もシェアを高めていくことまちがいなし。
PIONEER CDJがソフトウェアのコントローラーとして使えたり、PIONEERミキサーがDVSのコアになったり、アプリで楽曲編集作業をおこなえたり、いろいろ気になるところに目をつけているので、今後が見逃せません。
DJソフトウェア – アプリ編
スマホのタッチセンス機能を使って、アプリ内の仮想ターンテーブル/ミキサーを操作してDJプレイができる、「ちょっとDJ的なことをやってみたい」に最適なDJアプリ。
アプリストアで購入すれば、即座にDJプレイができる、ある意味すぐれものです。
さらに、アプリが外部コントローラー対応であれば、DJコントローラーを接続してDJプレイすることも。
つまりスマホ/タブレットがパソコンの代わりになるというわけです!
アプリの中にはタッチパッドの利点を生かしたオススメな機能とか使いやすさがあるので、これからはDJアプリで大型クラブイベントをこなす人も多く出てきそうな予感です。
Algoriddim djay2
アプリDJにとって抜群の操作性・機能性をもつ圧倒的シェアを誇るDJアプリ。
「External Hardware Support」という、PIONEERやReloopやNumarkなどの数多くのDJコントローラーと「つなげばスグに使える」機能も搭載しており、アプリを試してみてハマったらコントローラー導入!
という感じで段階的にDJを楽しむことにも長けています。
それに加えて「Spotify」(音楽ストリーミングサービス)の楽曲をDJプレイで使うことができる、唯一の本格DJアプリでもあります。
Spotifyには膨大な楽曲が登録されており、クラブトラックも多数。
クラブでよくかかる楽曲なども当然のようにありますので、パソコンのライブラリを整理して持ち歩くより、SpotifyをライブラリとしてDJするのも良いかもしれません。
Native Instruments TRAKTOR DJ
そう、パソコン版で定番のTRAKTORがアプリでもあるんです。
やはり「創造性のあるパフォーマンスを」という基本理念があるようで、タッチパッドを使ったユニークなパフォーマンス性が充実。
ちょうどパソコン版での「Serato DJ vs TRAKTOR」の対比のように、アプリでも「djay vs TRAKTOR」という対比がピッタリな感じです。
またNative Instruments製のDJコントローラーやオーディオインターフェースも利用可能。
アプリといえども「なるべく本気で」DJをやりたい方は、TRAKTORの選択が安心かもしれません。
まとめ
というわけで、今現在のおすすめ機材は……。
Reloop MIXTOUR
Reloop MIXTOURはdjayの「External Hardware Support」に対応。
つまりつなげばスグに使えます。
しかもオーディオインターフェース内蔵ですので、他には何もいりません。
(曲とスピーカーとヘッドフォンは別途必要ですが!
)
このシステムの場合……。
- 頭出しなどのコントロールはタッチパッドでのコントロール
- タッチパッドでの操作では難があるがあるイコライジングやフェーダー操作はMIXTOUR
という具合に合理的な操作性ですので、ちょっと「一歩進んでる感」がうれしいです。
あと、MIXTOURは「MIDIコントローラー」といって、ソフトウェアさえ対応していればいろいろな機能を割り当てして利用できる製品でもあります。
この「MIDIコントローラー」に対応しているDJソフトウェアといえば、TRAKTOR。
MIXTOURは、TRAKTORのための「いろいろな機能をあらかじめ割り当てした設定ファイル」が無償配布されているので、このファイルをTRAKTORに読み込ませるだけで設定をいろいろおこなう必要もなく利用することもできます。
つまり、MIXTOURがTRAKTOR KONTROL Z1のような使い勝手になるということですね。
別途、TRAKTOR KONTROL X1とかTRAKTOR KONTROL D2などを導入すれば、本格的なPC−DJでも使えるという「後からもオイシイ」製品です。