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【作詞入門】アイドル曲の歌詞の作り方。ロック・パンク編

ロックの定義とは何でしょうか。

QUEENの楽曲はロックなのでしょうか。

東京事変はロックバントではないのでしょうか。

ロックはメタルとは全く違うものなのでしょうか。

ガールズロックとパンクロックは相いれないモノなのでしょうか。

そもそも音楽にジャンル分けは必要でしょうか。

ロックやメタルの精神論は奥深く、哲学的アプローチから聴き解こうとする強者もいるくらいです。

今回は魂揺さぶるアイドルとロックの関係に注目してみましょう。

お手本神曲:チームしゃちほこ|抱きしめてアンセム

作詞は浅野尚志さんです。

振り付けかダンスか

振り付けとアイドルは切っても切れない仲です。

かつて一世を風靡したモーニング娘。

の「ラブマシーン」。

楽曲の目新しさはもちろんのこと、あの奇抜な振り付け、まことアイドルらしからぬ振り付けがその楽曲のチャートを後押ししたに違いありません。

ブームを起こす流行語や芸人さんのギャクは「言い易い」「真似易い」といった特徴があります。

振り付けも同じで、近年大流行したAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」も振りも、星野源さんの「恋」の恋ダンスも、真似しやすい要素がありました。

アイドルシーンでも振り付けをそのまま完全にコピーする「完コピ集団」が綺羅星(きらぼし)の如くいて、自らのグループの動画を動画サイトにアップしています。

楽曲はいい、振り付けもいい、の要素を集めた楽曲が完成すれば鬼に金棒です。

もちろんグッとくる作詞は必須であって欲しいです。

今のライブ会場はサイリウムを振るだけではありません。

所狭しとヲタ芸で応援する人や、ステージにいるアイドルの振り付けを真似ながら応援する人もいます。

揺れながら歌うだけ、サビだけ手を動かす昭和タイプのアイドルと比較すると、近年のアイドルはその振り付け(ダンスと表現する見方もあります)も大切な要素の一つとなっています。

振り付けを付け易い歌詞を考えるのも違った角度からのアプローチとなります。

これを書き始めると長くなるので別の回に置いておきます。

イントロ

では、なぜ今回この「抱きしめてアンセム」を取り挙げたかというと、スイッチのオンオフがとてもロックだと感じたからです。

初めて聴いた時、また見た時の衝撃は、チームしゃちほこはアイドルを越えちゃったんじゃないか、と思ったくらいです。

とにかくパワフル、メタリカがカバーすればすぐに世界的大ヒットだと思います。

「抱きしめてアンセム」のオープニング「ないないない!」から始まり、すぐ会場のボルテージは最高点に達します。

1秒目から盛り上がる楽曲、個人的には超ロックです。

いろんな所で話しているのですがアイドルMiniature Gardenの「おてんばジャンクション」とこの「抱きしめてアンセム」はアイドル界の金字塔です。

所々盛り上がるのではなくて、最初のイントロの1秒目から最後の1秒までドキドキします。

ディープパープルの楽曲の多くは印象的なイントロから始まるのは有名な話ですが、イントロが曲の掴みであるのならこの「抱きしめてアンセム」のイントロは世界の名曲に肩を並べると思います。

君ならできると言ったのに やり方は教えてくれない

思いつめた歌詞が朝起きたらきれいさっぱり散霧していることがあります。

脳のシナプスが壊れてしまったのかなレベルの物忘れもあります。

そんな時にこの歌詞を目にしたら、歌詞って凝ればいいワケでもないのだなと思います。

ロックの歌詞は作文ではないので起承転結は必要ありません。

ただし上質なフランス人形の胎内に通っている強い鉄心のような心の筋は絶対に必要です。

あいつも羨むタカラモノ わたしたちが持ってるかもしれないない

一つのテーマを取り上げると必ず取り上げていない方のテーマがピカピカと光り出します。

それが歌詞になれば素直にうれしいです。

対比は詩の基礎ですが、それを歌詞にも活かしましよう。

それが昔ながらの「白と黒」の対比ではなく今の感覚で置き換えるのです。

「曼荼羅(まんだら)と牛丼」とか、アイドルの対比は跳んでいれば跳んでいるほど面白いです。

気づいたらもう帰れない 戻るつもりだって毛頭ない

強気で押せ押せのこの歌詞、先ほど書きましたが、楽曲全ての歌詞が散文的に読解できるというワケでもありません。

不意に心に引っかかる言葉の一つ二つがファンの胸に刺さればいいのだと思います。

「意味じゃないんだよ」という無意味をごり押しするロックが許されるならば、この楽曲の歌詞も十分ロックだと思いたいです

経験に学べ おバカでケッコー!

出る杭打たれてたまるもんか

標語的なメッセージもウケる歌詞になりやすいです。

テーマに素直でストレートに歌詞を放り込める作詞家が売れっ子となるのでしょう。

勢いのある楽曲、ロックっぽい楽曲は歌詞なんてどうでもいいと思われがちですが、ロックの名曲って実はみんな噛みしめるように歌詞を味わっています。

私はジム・モリソンが好きで「ドアーズ詩集」を持っているのですが、音楽そっちのけでその詩集を毎日見つめています。

それが虚構であれ事実であれビートを支える強烈な活字は絶対に必要です。

アイドルとロックの距離はどれだけあるのかも分かりません。

その透明な距離にドキドキし、その距離の未知数をもうしばらくは楽しみたいものです。

ライタープロフィール

アイドル作詞家・俳人

瀧乃涙pin句

何のツテもないまま作詞を開始。

数年後、文化放送ラジオドラマ主題歌『全身全霊Open Now!』song byガールズジョッキーまでたどりつく。

SPATIO『泣きそう』『レジスタンスガール』、SPATIO kids『温泉サンバ』、ナナエ『シューティングスター』『恋の話しよ!』他、ご当地アイドル、地下アイドルに歌詞を提供中。

週末はもっぱらアイドルを追い掛けている。

Twitter:t_pink_t

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