ベーシストとしてのポール・マッカートニーの魅力に迫る
元ビートルズのポール・マッカートニーは天才コンポーザーであり、ボーカリストであることは広く知られています。
しかし、彼がビートルズのメンバーとしてデビューしたころは、主にベースを担当していたのです。
今回は、彼のベーシストとしての実力についてお話しします。
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タックスマン
革新的なベースライン
これはベースをカバーしたものです。
ビートルズにおけるポールのベースラインの中でも、これは最も特徴的な作品かもしれません。
ある意味、彼のメロディアス・ベースの極致といっても過言ではないでしょう。
一回、ベースに耳をそばだてて聴くと「ボン・ボー・ボ・ボ・ボーン」という繰り返されるフレーズが耳にこびりついて離れません。
従来の伝統的なベースラインからは完全に外れていますが、そもそもビートルズに伝統的なルールなんてどうでも良くて、「新たなルールを作った」のが彼らなんです。
シンプルなパターンの繰り返しではあるが
Aメロのベースライン自体は、結構シンプルなパターンの繰り返しです。
ベースラインの最初のパターンは、5フレットのコードのルート音のDから始まって、G弦の7フレットのオクターブ上のDへジャンプします。
それから、D弦でハンマリング(弦を押さえる方の指で弦を叩く)を入れてGからAへ移り、高音のCへ戻って終わります。
このパターンは、ポールがコーラスに自然に合わせてAから始め、2つ目のコーラスに合わせてGへ下げるまで続けられます。
リフの高音のDのところは2度弾きしているんですね。
それまでのベースにはなかった革新的な奏法で、シンプルながら実際に演奏するのはかなりハードルが高いと思います。
サムシング
やり過ぎ?
上記のタックスマンと双璧をなすといっても過言ではない、見事なメロディアス・ベースです。
ベース・ラインだけを取り出したのがこれです。
これが彼のビートルズ時代におけるベース・プレイの最高傑作だと主張する人もいます。
ジョージがすばらしいメロディーをボーカルでもギターでも演奏しているのに、思いっきりメロディアスなベースをぶつけています。
まるで、コードを行ったり来たりうねるように、曲全体を通してベース・ソロを演奏しているかのようです。
さすがにジョージも「Too busy(やり過ぎだ)」と文句を付けました。
でも、それがすばらしいアクセントになっているところが、ポールのポールたるゆえんです。
独特なグルーブ感
彼は、AメロのCとC7で16分音符の2拍目にクレッシェンドを入れています。
これがオーケストラのティンパニーのような打楽器っぽい、劇的な効果をもたらしています。
曲の間ずっと、ポールは、通常のベース・パターンにこだわることなく、リズム感すら一貫していません。
彼は、4分音符、付点付き4分音符、8分音符、16分音符とあわせて演奏しています。
16分音符は、大体1拍目と2拍目に入れています。
彼は、3拍目と4拍目は少しスペースを残す傾向にあります。
アドリブが多い?
多くのベーシストたちを悩ませるのは、ポールがこういう演奏をランダムにやっていて、独特なグルーブ感を出していることです。
だから、なかなか「完コピ」が難しいのです。
曲全体を通して同じコードでも、ベースラインは全部変えていますが、彼がその時のフィーリングで弾いているのでしょう。
彼は、すべての2~4小節でフレーズを区切るためにハッキリと16分音符を入れ、ジョンとジョージが演奏する繊細に協調して演奏するギターとは明らかに異なる、2分あるいは4分音符を響かせています。
サウンドを歪ませる
ポールは、コードを歪ませたり、波立たせたり、さまざまな音符を選択して、他の楽器とのリズムの違いを出す能力がありました。
サビの部分で最初に耳を引くのは、ゆったりしたギターと比べて忙しく動き回るベースラインです。
ジョージが作曲したコード進行に合わせ、ベースでミュージカルにリードしている点が、とても興味をそそるひとつの例です。
サビの部分で、ポールは、良くアクセントを入れてサウンドを強調しました。
スライド、ハンマリング、オクターブ・ジャンプなどのテクニックを盛んに取り入れています。
最後に
「ポールのベースは邪道だ」「うるさい」と批判する人もいます。
しかし、彼が決してメインボーカルやギターなどの邪魔をせず、あくまでもベーシストとしての役割に徹していたことは忘れないでいただきたいのです。
ライタープロフィール
ビートルズの熱狂的ファン
和田晋司
大阪府出身 ビートルズのファン歴ウン十年。
色んなものに手を出しましたが、唯一続いている趣味がこれです。
ビートルズの語り部として彼らの偉大さを後世に伝えていきたいと思っています。
ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ