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ビートルズの曲の日本語タイトルにまつわる裏話

ビートルズの楽曲の中には日本語タイトルが付けられているものもあります。

今回はその中でも誤訳ではないかという説があるものをご紹介いたします。

1つの日本語タイトルにもさまざまなストーリーが隠されています。

意訳か?

誤訳か?

-ビートルズがやって来る ヤァ!

ヤァ!

ヤァ!

(A Hard Day’s Night)

これは「誤訳」ではなく「意訳」したのだというのが一応建前になっています。

でも、皆さん、何か違和感を感じませんか?

意訳だとしても、余りにも原題と日本語タイトルがかけ離れてますよね?

それにヤァ!

ヤァ!

ヤァ!

って何ですか?

意味不明です。

イエー!

イエー!

イエー!

ならビートルズが盛んに歌ってましたからまだ分かりますけど。

実は、この日本語タイトルを付けたのは映画評論家として有名な故水野晴郎氏なんです。

水野氏は、当時この映画の配給会社の社員で、日本語タイトルを付ける仕事もしていました。

これもその1つです。

なぜ誤訳ではないかとの疑惑が沸くかというと、当時、同じような時期に1963年のマンチェスター公演を記録した「The Beatles Come to Town」という映画が入荷したんです。

そのポスターがこちら。

このタイトル「The Beatles Comes to Town」を翻訳すると、まさに「ビートルズが街にやってくる」でピッタリ!

しかも、この当時のポスターにははっきりYa!Ya!Ya!と記載されているんです!

前半だけならまだしも、ご丁寧(ていねい)に間投詞のYa!Ya!Ya!まで入っているんですから、これはもう間違いないでしょう。

水野氏は、これと取り違えて日本語タイトルを付けてしまったのではないかという疑惑です。

というのも当時、日本はまだまだ海外の事情には疎く、本当に限られた情報源しかありませんでした。

水野氏は、何の疑問も抱くことなくそのまんま日本語タイトルを付けたのだと思います。

バタバタした中で情報元を丁寧に確認する作業もできなかったんでしょう。

気軽に国際電話なんかできる時代じゃありませんでしたし。

この日本語タイトルは、チケットやポスター、広告、雑誌などありとあらゆるメディアに使用されました。

しばらくしてから間違いに気付いたのでしょうが、既に多額の経費を使ってしまってますから、今さら訂正できません。

それで見なかったことにして、このままいっちゃえとなったんではないかというのが私の推測です。

このように、誤訳だという説もありますが、これは当時の日本のファンの心境をうまく表現したと評価する人もいます。

ですから、真相は藪(やぶ)の中です。

水野氏が正しいタイトル「A Hard Day’s Night」を目にしていたら、どんな風に日本語タイトルを付けたか興味が沸きます。

何しろ、彼の付けた洋画の日本語タイトルは素晴らしいものばかりだからです。

「夕日のガンマン」「大脱走」「俺たちに明日はない」「史上最大の作戦」「ランボー」……。

何とランボーにいたっては、日本語タイトルに原題が変更され、水野氏には感謝状が贈られました。

しかし、さすがにこの「ビートルズがやってくる」は最近では使われなくなり、「ハード・デイズ・ナイト」と表記されることが一般的になりました。

日本語タイトルが盛んにつけられたのはビートルズの前期までで、後期に入ると日本でもメジャーな存在になったためか、つけられることは少なくなりました。

ライタープロフィール

和田晋司

ビートルズの熱狂的ファン

和田晋司

大阪府出身 ビートルズのファン歴ウン十年。

色んなものに手を出しましたが、唯一続いている趣味がこれです。

ビートルズの語り部として彼らの偉大さを後世に伝えていきたいと思っています。

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ

ウェブサイト:http://abbeyroad0310.hatenadiary.jp

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