東京大学仏文科からパリ音楽院への留学という異色の経歴を持つ三善晃さん。
合唱曲やピアノ曲、管弦楽曲など幅広いジャンルで活躍し、日本の音楽界に大きな足跡を残しました。
フランス近代音楽の影響を受けながらも、独自の音楽語法で日本の繊細な感性を表現した三善さんの作品は、今なお多くの音楽ファンを魅了し続けています。
芸術選奨文部大臣賞をはじめ、国内外で数々の賞を受賞した珠玉の名作の数々をご紹介します。
国内外で多数の受賞歴を誇る作曲家!三善晃の人気曲ランキング
波のアラベスク三善晃1位

フランス近代音楽の影響を強く受けた日本の作曲家、三善晃さん。
彼が手掛けた『海の日記帳』の一部である本作は、約1分50秒の演奏時間で、波の動きや海の情景を音楽で表現しています。
遠くから波が押し寄せ、クライマックスで前に進み、そして静かに収まっていく様子を、音階や休符を巧みに使って描写。
演奏者には、技術的なスキルだけでなく、豊かな表現力が求められます。
自由な作風でありながら、古典的なたたずまいを感じさせる三善晃さんの魅力が詰まったこちらの作品は、ピアノコンクールに出場する小学校低学年のお子さんにもオススメの1曲です。
ピアノ協奏曲三善晃2位

1933年生まれの三善晃さんは、現代日本音楽界に多大な影響を与えた作曲家。
東京大学仏文科在学中にパリ音楽院に留学するという異例の経歴を持ち、フランス近代音楽の影響を強く受けました。
『ピアノ協奏曲』は、そんな彼の代表作ともいえる珠玉の1曲。
和声や旋律に日本的な要素を取り入れつつ、クラシック音楽の枠組みに現代音楽の技法を融合させた、三善ワールド全開の作品です。
ピアノとオーケストラの絡み合いから生まれる深い情感と、静寂から緊張感をはらみながら盛り上がりを見せる展開は圧巻。
モダンでありながらどこか懐かしさも感じさせる、まさに現代日本音楽の真骨頂ともいえるでしょう。
クラシック音楽ファンのみならず、日本の現代音楽に興味がある方にもぜひ聴いていただきたい1曲です。
童声合唱とオーケストラのための《響紋》三善晃3位

反戦をテーマにした楽曲です。
児童合唱とオーケストラが一体となり、わらべ歌「かごめかごめ」を題材に、戦争の記憶を呼び起こす意図が込められています。
1984年に初演され、尾高賞を受賞するなど高い評価を得ました。
豊かなオーケストラ編成と多彩な打楽器を駆使し、音響の立体感や独自の音楽語法を表現しています。
子どもたちの無垢な声と複雑なオーケストレーションが対照的に使われ、聴く人に「生と死」「純粋さと恐怖」というテーマを感覚的に体験させる作品です。
クラシック音楽に興味のある方はもちろん、日本の現代音楽に触れてみたい方にもおすすめですね。
2台ピアノのための組曲「唱歌の四季」第1曲「朧月夜」三善晃4位

現代日本を代表する作曲家の1人である三善晃さん。
彼が作曲した2台ピアノのための組曲『唱歌の四季』は、日本の伝統的な唱歌を四季ごとに描いた壮大なピアノ作品です。
元来合唱と2台ピアノのために書かれた本作は、三善独自のハーモニーとアレンジによって、原曲の美しさとはまた異なる深い表現力を獲得しています。
童謡から生まれた作品でありながら、クラシカルな洗練さと斬新さを兼ね備えた、唯一無二の世界……。
懐かしくも新鮮な感覚で日本の四季を味わえる、夢のような1曲です。
日本人なら誰もが知っているメロディの数々を、改めてピアノで味わってみたい方にオススメしたい作品です!
アン・ヴェール三善晃5位

現代日本を代表する作曲家の1人、三善晃さん。
彼はパリ音楽院に留学し研さんを積み、日本に帰国後は合唱曲をはじめ、器楽曲、管弦楽曲、電子音楽などの多岐にわたるジャンルで作品を発表。
なかでもピアノ曲『アン・ヴェール』は、三善さんが「見えないもの」や「人と自然の関係」をテーマに据え、その独自の世界観を見事に表現した曲として知られています。
繊細さと激しさを兼ね備えたこの曲は、ピアニストの卓越したテクニックを要する難曲ですが、三善さんの思想や美学に触れることのできる意欲作。
現代音楽になじみのある上級者の方にぜひオススメしたい1曲です。