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電子ピアノやキーボードの音色は、残響(リバーブ)とセットで考えることが重要な理由

電子ピアノやキーボードの音色は、残響(リバーブ)とセットで考えることが重要な理由
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皆さんは楽器を演奏する時に「室内の残響」を気にしたことがありますか?

電子ピアノやキーボードを始めとする今時の電子楽器には、基本的に「リバーブ」という音の響きを調整できる機能が付いています。

ですが、楽器を始めたばかりの頃はこの機能を発見しても「なんとなく」使いがちなんですね。

かくいう筆者もそのような感じで、最初は超テキトーに使っていました。

「オォ〜、何か迫力が出て上手くなった気がする〜」こんな危ない感じです(笑)

しかしリバーブは楽器の表現に欠かすことができない機能であり、使い方次第ではまったく異次元の表現力を得ることができるのです。

テキトーに使うのはもったいないので、せひとも基本を押さえてあなたの演奏表現に深みを持たせて欲しいと思います。

はじめに

http://pocket-pic.info/archives/430/

リバーブは英語で残響という意味を持ちますが、「残響」と呼ぶと少し音楽というよりかは「音そのもの」についてのイメージが強くなるかもしれません。

音というのは基本的に大なり小なり「部屋の残響」の影響を受けています。

おそらく普段の生活においては、洞窟や広い体育館、ホールなどの特殊な場所で音を鳴らすことで、ようやく残響音を感じられるのではないでしょうか?

そこまで音が響いてようやく無意識に認識できるレベルだと思います。

「リバーブ」について

では本題ですが、電子ピアノやキーボード、シンセサイザーには基本的に「エフェクター」と呼ばれる機能が内蔵されています。

エフェクターとは、人工的に何かしらの音響効果を付加させる装置です。

最初から多くの電子楽器の本体に内蔵されているので「内蔵エフェクター」と呼ばれることも多いのですが、要はエフェクター機能のことですね。

その中には、残響効果を付加することができる「リバーブ(REVERB)」と呼ばれるエフェクターも、かなり高い確率で内蔵されています。

電子ピアノを弾いていれば、普通にこの機能を自然に使っている人も多いと思いますが、この機能がなぜついているのか、をあらためて考えてみましょう。

生ピアノの音色について

縦型のアップライトピアノ、グランドピアノは「生ピアノ」もしくは「アコースティックピアノ」と呼ばれています。

筆者は幼少時からピアノを始めましたが、家がマンションであったため、当然ながら「電子ピアノ」で練習していました。

その時に、子供なりに無意識にも残響について何かを感じていたのです。

「何だろ、弾く場所で音が全然違うから弾きにくいなぁ」

家では電子ピアノ、学校ではアップライトピアノ、レッスンではグランドピアノ、発表会ではグランドピアノだけどレッスンの時と音の響き方が違う。

この原因については、実は残響 (リバーブ) による影響が大きかったのですね。

電子ピアノやキーボードの音色は、残響(リバーブ)とセットで考えることが重要な理由

生ピアノは鍵盤を弾くとそのまま音が鳴るので「生楽器」などと呼ばれています。

そのまま音が鳴るということは電気を通していないので、当然内蔵エフェクターなどの「音を変える装置」は付いていません。

基本的にアコースティックピアノの音色の響きを変えるには、フタの傾きを変える」か「音を鳴らす場所を変える」しかありません。

タッチの強弱や和音、リズム、ペダル効果などに触れるとキリがありませんのでここでは割合しますが、生楽器の構造上そうなっているのですね。

リバーブの効果を理解する

自宅の狭い部屋でアップライトを鳴らすのと、学校の体育館でグランドピアノを弾いていると、部屋の大きさがまったく違うので音の広がりに影響が出ます。

簡単に言ってしまえば「響く」のですね。

そうするとピアノの音は反響を繰り返すので、必然的に音が大きくなります。

それは音量がただ上がるだけではなく、とても細かい倍音を含んで大きくなっていきます。

それが結果的に、ピアノの音色に深みを与えることになっているのです。

つまり弾く場所で生ピアノの残響音は変わりますので、リバーブ機能が付いている電子ピアノやキーボードを弾く場合は、本来はそれをシミュレートしているということを理解して効果的に使う必要があるのです。

しかし難しいことはありません、どのような広さの部屋で弾いているようなフィーリングを自分は味わいたいのか、まずはそれらを押さえればOKです。

リバーブの種類

リバーブの種類は、キーボードの種類やメーカーによって呼び名が異なります。

例えば設定画面上で「0〜127」というパラメータ、数値で調整する機種もあります。

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写真は筆者愛用の CASIO CTK-7200 ですが、この機種はエディット画面でリバーブセンドを調整します。

その他、逆に分かりやすく

「ROOM(部屋)」「HALL(ホール)」「CATHEDRAL(大ホール、大聖堂)」

などの実際の「空間の名称」で選択できるようになっている機種もあります。

こちらは特に電子ピアノなどに多く見られますね。

ボタンを押すだけで使いやすいですが、その反面細かくは調整できません。

逆に高機能なキーボード、シンセサイザーになってくると、上記の二つを両方セットで細かく調整していくことが可能となります。

【種類:ROOMで数値:64】こんな感じで、

これは、ROOM の残響をシミュレートして、その効果を0〜127の間で決定する、というイメージです。

つまり【ROOM:127】と【HALL:64】では効果がまったく違うのですね。

ROOMの方が数値は127とMAXですが、HALLの64の方が実はもっと残響があります。

電子ピアノやキーボードの音色は、残響(リバーブ)とセットで考えることが重要な理由

上の写真は筆者愛用の Roland RD-700NX ですが、空間の種類をボタンで選択し、数値はノブでコントロールします。

他にもスライダーで調整したり、あるいは自分で MIDI コントロールを自由に設定して好きなインターフェースで操ることも可能です。

実際に自分でいろいろとその違いを試してながら効果を理解し、それらの違いを確認したらあとは演奏する曲に適した数字に近づけてみましょう。

リバーブの注意点

リバーブは、兎にも角にもかけすぎに注意しましょう。

リバーブは基本的には残響を付加するので、かけすぎると「演奏をごまかす要因」を通り越し、音が濁ってしまったりぼやけてしまう危険性が潜んでします。

ぶっちゃけた話、リバーブをかけると演奏はうまくなったように聴こえます。

これはうまくなったのではなく、響きがより豊かになっていると考えた方が良いでしょう。

電子ピアノやキーボードの音色は、残響(リバーブ)とセットで考えることが重要な理由

「やはりか、リバーブ切ったら一気に下手になったからどうもおかしいと思ったんだよ」

ですが、表現に必要な効果を狙って足せる、というのは明らかに重要な能力なので、リバーブによって演奏をより効果的にしている、という自覚さえあればOKです。

従って「必要な分だけ付加させる」という具合に、効果の範囲を狙ってコントロールすることを念頭におきましょう。

設定の基準

どのくらいが適正な数値なのか、自分でルールを決めましょう。

弾きたいと思っている曲で、ペダルも含めて、一番音が重なるセクションを弾いてみましょう。

その時に音が奇麗になっているか、濁っているかを確認してみてください。

ペダルで音を伸ばしながらも、さらに両手の最大限に使った和音、音数で奇麗になっていれば許容範囲内です。

逆に音が重なりすぎて、さらに残響もかかりすぎて音がグチャグチャになっていたらアウト。

目安としては、少し足りないかな?

というくらいにするのが筆者的にはオススメです。

足らないより足りすぎる方が音が濁って聴こえるからです。

もし迷ったら、一番音数が多いセクションを基準に設定しましょう。

また、最近のステージピアノやシンセサイザーの上位機種では、アコースティックピアノのフタの角度によるシミュレート機能も備えていますので、さらに深い設定が可能となっていますね。

深い設定ができるのは良いですが、自宅の響きとスタジオやライブでの響きは違いますので、環境によって調整できることが最終的には必要になってくるでしょう。

筆者のリバーブの使い方

電子ピアノで練習したり演奏する時には最初にリバーブ設定を決めてから弾きますが、バンドでキーボードを弾く時には色々と使い方を考えたりします。

例えば、バラードを演奏する時にイントロ、曲中、アウトロで少しずつ調整すると曲がよりドラマチックになったり、または楽器だけのインスト曲であれば、ピアノソロでリバーブを上げて「単音を中心に弾く」のも効果的なのです。

リバーブがかかってなければ音が細くまったく響かないので、いたずらに和音で音数を増やしたりオクターブで迫力を出したりしがちですが、例えばリバーブをかなり上げめにすれば単音を弾くだけでも存在感が増します。

また、より少ないハーモニー、単音でのメロディを大事に弾きたい場合もこの使い方は効果的です。

筆者はピアノやエレピのソロの入りなど、よくこんな使い方をします。

このように、演奏しながらリアルタイムでリバーブをかけるという使い方を身につけると、演奏の表現力が広がると思います。

ぜひやってみてください。

残響効果を比べてみよう

私が大好きな Video Game Pianist であるマーティン・ラングの演奏で「スーパーマリオメドレー」の動画になります。

狭い練習部屋と、大きなホールで弾いている音の違いに注目してみてください。

弾いている部屋の広さ、ピアノのフタがオープンかクローズかでも違いますし、何より響きも場所によっては荒くもなり、上品にもなりますね。

動画という点に関しては録音マイクなども関係してきますが、響きだけにスポットを当ててみると、2番目の動画のホール演奏は、自然で非常に上品な響きだと思います。

人それぞれ好みもありますので、奥深いですね。

最後に

電子ピアノ、キーボード、シンセサイザーに内蔵されている「リバーブ機能」について簡単に振り返ってみましたが、いかがでしたか?

実際に、リバーブは使うだけならすぐにできますので非常にお手軽な機能です。

その反面、注意すべきことは「どのくらいかけるか」ただそれだけです。

それさえ自分の中で押さえれば、あとはあなたの腕次第で演奏表現はさらに可能性を広げることができるでしょう。

重要なのは、リバーブはあくまでも「音を作る材料」という意識を持つことです。

もし今までなんとなく使ってきて、演奏と同じ立ち位置で考えていた方、これらをもう一度吟味して自分のピアノの音色を作り直してみてはいかがでしょうか?

筆者も毎回必死に調整していますが、少し違うだけで弾く時の気分も違ってきますね。

本記事ではピアノの音色を中心にお話ししましたが、バンドでキーボードを弾く方は他の音色のリバーブのかかり具合にも注目してみてください。

ぜひとも、必要な分だけ追加して、材料の無駄使いをしないようにしましょう☆シュミレート