【芸術の秋】珠玉のピアノ曲とともに|聴いて&弾いて楽しむクラシック
秋といえば……そう、「芸術の秋」!
音楽好きの方なら、「食欲の秋」や「スポーツの秋」より、真っ先にこの言葉を思い浮べるのではないでしょうか?
秋は、演奏会や芸術祭が全国各地で開催されるなど、音楽を楽しむのにピッタリの季節です。
今回は、そんな秋に聴きたいクラシック作品の中から、美しいピアノ曲をピックアップしてご紹介いたします。
ご自宅で静かに鑑賞するもよし、弾いて楽しむもよし!
お好みのスタイルで、芸術の秋を美しいピアノ曲とともにお楽しみください。
【芸術の秋】珠玉のピアノ曲とともに|聴いて&弾いて楽しむクラシック(1〜5)
3つのロマンス 作品11-1NEW!Clara Schumann

抑制された表現の中に、深い叙情性を秘めたピアノ作品です。
全3曲からなるロマンティックな小品集の冒頭を飾るこの楽曲は、1839年に作曲家が19歳の頃、婚約者ロベルト・シューマンへの想いを込めて書かれました。
長く続くアルペッジョに支えられて歌われる主題は、内に秘めた愛情や切なさを繊細に映し出すかのようです。
本作は、映画『Geliebte Clara』でもクララ・シューマンの内面を描写する重要な鍵として登場します。
静かに物思いにふけりたい夜、ピアノの歌うような音色に耳を傾けながら、じっくりと自分の心と向き合いたいときにぴったりの一曲です。
ソナチネ 嬰ヘ短調 M. 40 2楽章 メヌエットNEW!Maurice Ravel

静かに心と向き合いたい時におすすめなのが、モーリス・ラヴェルのピアノ作品『Sonatine』に含まれる一曲です。
本作は、古典的なメヌエットの優雅な形式をとりながら、内に秘めた憂いと洗練された響きが溶け合う、とても美しい楽章です。
メロディを聴いていると、悲しみの中にも凛とした気品を保つ情景が目に浮かぶようですよ。
1975年にはこの曲を含む作品全体がバレエとして振り付けられたことでも知られ、その物語性は聴く人の想像力をかき立てます。
激しい感情ではなく、ピアノの繊細な音色に静かに身を委ねたい時に、きっと心に寄り添ってくれることでしょう。
ドゥムカ ハ短調 作品59NEW!Pyotr Tchaikovsky

ロシアの広大な田園風景が目に浮かぶような、ピョートル・チャイコフスキーによるピアノのための作品です。
1886年2月に作曲された本作は、ウクライナの「思いの中の小説」を意味する形式が用いられています。
深い哀愁を帯びた旋律で静かに始まりますが、中間部では民族舞曲のように一気に情熱的になり、感情がほとばしるようです。
しかし最後は再び静寂に包まれ、冒頭よりも諦念に満ちた響きで締めくくられます。
悲しみと祝祭的な喜びが交錯する本作は、感傷的な気分に浸りつつ、ドラマティックな展開も味わいたい方に聴いてほしい一曲です。
小組曲:第1曲「小舟にて」Claude Debussy

暑い夏、心に一服の清涼剤となるような、クロード・ドビュッシーのピアノ連弾作品をご紹介しますね。
1889年2月にドビュッシーと出版社代表によって初めて二人で演奏されたこの作品は、4つの小品から成る組曲の冒頭を飾ります。
まるで水面をゆるやかに進む小舟を思わせる、穏やかで美しい旋律がとっても魅力的です。
歌詞こそありませんが、ベルレーヌの詩にインスピレーションを得ているそうで、月光の下で揺蕩う舟の情景や、遠い時代の優雅な雰囲気が心に広がるようです。
揺らめくピアノの音色が、聴く人を心地よい涼しさで包み込んでくれますね!
本作は管弦楽編曲版も広く知られ、一層豊かな色彩を感じられますし、館内BGMなどで耳にすることもあるかもしれません。
暑さで少しお疲れの時や、静かに心を落ち着けたい時にぜひ聴いてみてください。
ドビュッシーが「重すぎず短すぎない」サロン向けに考えたと言うように、気軽に優雅な気分に浸れることでしょう!
白鳥の歌 『セレナーデ』NEW!Franz Schubert

フランツ・シューベルトが1828年8月以降に手掛けた歌曲集、名盤『Schwanengesang』に収められている一曲です。
夜の静寂のなか、愛する人に秘めた想いを囁きかけるような、甘くも切ない旋律がとても印象的です。
この楽曲の繊細なピアノ伴奏は、主人公の心の震えや夜風の気配までも描き出しており、聴く人を物語の世界へ引き込みます。
1933年の映画『Gently My Songs Entreat』で使われたことでも知られています。
本作に漂う哀愁は、どうしようもない悲しみに暮れたい夜にそっと寄り添ってくれるので、感傷に浸りたい時にぜひ聴いてほしい名曲です。