美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い
ピアノは、弾き手や表現方法によってさまざまな表情に変化する魅力的な楽器です。
繊細でいてダイナミックな優美さや、言葉には表せないような深みなど、その多彩な音色と豊かな響きは、ピアノ1台でオーケストラに匹敵するほどと言われています。
今回は、そんなピアノの音色を十分に堪能できる作品の中から、「美しさ」にフォーカスした曲を選びました。
ピアノを演奏するのがお好きな方も、鑑賞するのがお好きな方も、繊細な音のひと粒ひと粒を味わいながら、ピアノの魅力に浸っていただけたら幸いです。
もくじ
- 美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い
- 楽興の時 作品16 第5番Sergei Rachmaninov
- 16のワルツ 作品39 第15番『愛のワルツ』Johannes Brahms
- 夏の朝Heino Kasuki
- 小組曲:第1曲「小舟にて」Claude Debussy
- ピアノソナタ 第3番 第3楽章Alexander Scriabin
- 海辺の夕暮れ H.128 第3曲「嵐の海辺」Bohuslav Martinů
- 夜想曲第2番 変ホ長調 作品9-2Frederic Chopin
- ノクターン 第20番 嬰ハ短調「遺作」Frederic Chopin
- 夜の海辺にてHeino Kasuki
- 組曲「鏡」より「洋上の小舟」Maurice Ravel
- ピアノソナタ第14番「月光」第1楽章Ludwig van Beethoven
- ジムノペディ第1番Erik Satie
- パガニーニの主題による狂詩曲 Op.43 第18変奏Sergei Rachmaninov
- ヴォカリーズ 作品34-14Sergei Rachmaninov
- 映像第1集 第1番「水に映る影」Claude Debussy
- 練習曲 作品10-3 「別れの曲」Frederic Chopin
- カンタータ「主よ、人の望みの喜びよ」 BWV147J.S.Bach=Hess
- 映像 第2集 第2番「荒れた寺にかかる月」Claude Debussy
- ピアノソナタ 第8番「悲愴」第2楽章Ludwig van Beethoven
- 子供の情景 Op.15 第7曲「トロイメライ」Robert Schumann
- ピアノソナタ 第2番 第1楽章Alexander Scriabin
- 8つの小品 Op.84 第4番 アダージェットGabriel Fauré
- ノクターン 第2番 変ホ長調 Op.9-2Frederic Chopin
- 交響的練習曲 作品13より遺作第5曲Robert Schumann
- 無言歌集 第4巻 Op.53 第4曲 心の悲しみFelix Mendelssohn
- こどものための3つのソナタ 作品11 第2番「3.夕べの歌」 Op.118b-3Robert Schumann
- 6つの小品より第2番「間奏曲」Johannes Brahms
- 無言歌集 第4巻 Op.53 第1曲 海辺でFelix Mendelssohn
- 愛の夢 第3番Franz Liszt
- 無言歌集 第2巻 Op.30 第1曲 瞑想Felix Mendelssohn
- ベルガマスク組曲 第3曲「月の光」Claude Debussy
- ノクターン 第1番 変ホ短調 Op. 33Gabriel Fauré
- 舟歌 第10番 イ短調 Op.104-2Gabriel Fauré
- 樅の木Jean Sibelius
- 8つの小品 Op.84 第1番 カプリッチョGabriel Fauré
- 8つの小品 Op.84 第7番 喜びGabriel Fauré
- 亡き王女のためのパヴァーヌMaurice Ravel
- 2つのアラベスク 第1番 ホ長調Claude Debussy
- 幸福 作品292-6Gustav Lange
- エチュード第13番変イ長調Op.25-1「エオリアンハープ」Frederic Chopin
- 舟歌 第7番 ニ短調 Op.90Gabriel Fauré
- 舟歌 第4番 変ホ長調 Op. 36Gabriel Fauré
- 18の小品 Op.72 第5曲「瞑想曲」Pyotr Tchaikovsky
- 夢Claude Debussy
- 水の戯れMaurice Ravel
- 舟歌 第12番 変ホ長調 Op.105-2Gabriel Fauré
- ノクターン 第8番 変ニ長調 Op.27-2Frederic Chopin
- オルゴールCharles-Henry
- ポロネーズ 第7番 作品61「幻想ポロネーズ」Frederic Chopin
- ピアノソナタ第8番「悲愴」第二楽章Ludwig van Beethoven
- ピアノソナタ 第21番 変ロ長調 D.960Franz Schubert
- ラ・カンパネラFranz Liszt
- トロイメライRobert Schumann
- 「8つの演奏会用練習曲」より「夢」Nikolai Kapustin
- 献呈Robert Schumann=Franz Liszt
- ひばりGlinka=Balakirev
- 組曲『マ・メール・ロワ』より 第1曲「眠れる森の美女のパヴァーヌ」Maurice Ravel
- ゴルトベルク変奏曲 BWV988J.S.Bach
- パガニーニ大練習曲集より第3曲「ラ・カンパネラ」Niccolò Paganini
- アヴェ・マリアFranz Schubert
- アラベスク ハ長調 作品18Robert Schumann
- 間奏曲 Op.118-2Johannes Brahms
- アルゼンチン舞曲 第2番A.E.Ginastera
- 4つの即興曲 Op.90-3Franz Schubert
- カノンJohann Pachelbel
- 練習曲 作品25-1「エオリアンハープ]Frederic Chopin
- 愛の悲しみKreisler=Rachmaninov
- 「白鳥の歌」より第4曲「セレナーデ」Franz Schubert
- 6つの小品 Op.51 第6曲「感傷的なワルツ」Pyotr Tchaikovsky
- ピアノ・ソナタ「1905年10月1日の街角で」Leoš Janaček
- ノクターン第2番Frederic Chopin
- 練習曲 Op.2-1Alexander Scriabin
- ノクターン 変ニ長調 Op.37Aleksandr Glazunov
- 12の歌 作品21 第7曲「ここは素晴らしい場所」Sergei Rachmaninov
- ワルツ 第15番 変イ長調 Op.39Johannes Brahms
- オブリヴィオンAstor Piazzolla
- 生まれたばかりの王女のためのパヴァーヌCharles-Henry
- 5つの小品(樹木の組曲) Op.75 第1曲 ピヒラヤの花咲くときJean Sibelius
- 巡礼の年 第3年 S.163/R.10 A283 第4曲「エステ荘の噴水」Franz Liszt
- 無言歌集 第1巻 Op.19 第1曲「甘い思い出」Felix Mendelssohn
- ブルグミュラー25の練習曲 Op.100 第19曲「アヴェ・マリア」Johann Burgmüller
- 無言歌集 第2巻 Op.30 第3曲「慰め」Felix Mendelssohn
- 忘れられた映像 第2曲「ルーヴルの思い出」Claude Debussy
- 前奏曲集第1集「沈める寺」Claude Debussy
- 野ばらに寄す 作品51−1(森のスケッチ)Edward MacDowell
- ジュ・トゥ・ヴ(あなたが欲しい)Éric Satie
- シチリアーノ Op.78Gabriel Fauré
- 24の前奏曲 Op.28 第15番「雨だれ」Frederic Chopin
- マ・メール・ロワ 第5曲「妖精の園」Maurice Ravel
- 舟歌 嬰ヘ長調 Op.60Frederic Chopin
- 子供の領分 第4曲「雪は踊っている」Claude Debussy
- グノシェンヌ第1番Erik Satie
- 「6つの歌」より「歌の翼に」Felix Mendelssohn
- 3つの演奏会用練習曲 第3番「ため息」Franz Liszt
- ベルガマスク組曲第1曲「前奏曲」Claude Debussy
- 春に寄すEdvard Grieg
- 子守歌 S.174 R.57Franz Liszt
- 夜のガスパール 第1曲「オンディーヌ」Maurice Ravel
- 無言歌集 第7巻 Op.85 第4曲「エレジー」Felix Mendelssohn
- ジュ・トゥ・ヴErik Satie
- …続く
美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い(1〜20)
楽興の時 作品16 第5番Sergei Rachmaninov

ロシア出身でありロマン主義の巨匠、セルゲイ・ラフマニノフが1896年に作曲した『楽興の時』。
全6曲からなり、そのうちの第5曲目にあるこの曲は、緩やかなテンポで奏でられる抒情的な作品です。
ラフマニノフは4歳でピアノを始め、モスクワ音楽院で学び、ピアノだけでなく作曲や指揮者としても活躍しました。
本作は、彼が経済的困難の中で生み出された珠玉の小品。
変ニ長調の美しい旋律が、夜想曲のような夢幻的な雰囲気を醸し出します。
ピアノの音色を堪能したい方にオススメの、心に染み入る名曲です。
16のワルツ 作品39 第15番『愛のワルツ』Johannes Brahms

ロマン派音楽の巨匠、ヨハネス・ブラームスが1865年に作曲した『16のワルツ』。
そのなかの第15番、『愛のワルツ』は、美しいメロディで広く親しまれています。
はじめはピアノ連弾用として作曲されましたが、後にピアノ独奏用にも編曲されました。
愛をテーマにした繊細な音色は、聴く人の心に染み入るよう。
ブラームスならではの複雑なリズムや時間操作も魅力的です。
ピアノの優美な響きに酔いしれたい方にオススメの1曲。
テレビドラマやCMでも使用され、多くの人々を魅了し続けています。
ブラームスの音楽性が凝縮された、心洗われる名曲といえるでしょう。
夏の朝NEW!Heino Kasuki

夏の早朝、きらめく光の中で深呼吸したくなるような、そんな清涼感があふれる調べが魅力のピアノ曲はいかがでしょうか。
ヘイノ・カスキが作曲し、作品番号Op.35-1「夏の朝」として知られるこの楽曲は、1920年代初頭に書かれたとされています。
北欧の澄み切った空気を感じさせる透明感と、穏やかながらも心に深く染み渡る叙情性が持ち味ですね。
繊細なトリルが木漏れ日のようにきらめき、聴く人を心地よい気分へと誘います。
ヘイノ・カスキが紡いだ、心惹かれる一曲ではないでしょうか。
暑い季節に涼やかなひとときを過ごしたい方や、心静かに美しい旋律に浸りたい方にとてもおすすめです。
本作を聴けば、日常の忙しさを忘れさせてくれることでしょう。
ピアニスト舘野泉さんのアルバム『Piano Works』でもその魅力に触れることができますよ。
小組曲:第1曲「小舟にて」NEW!Claude Debussy

暑い夏、心に一服の清涼剤となるような、クロード・ドビュッシーのピアノ連弾作品をご紹介しますね。
1889年2月にドビュッシーと出版社代表によって初めて二人で演奏されたこの作品は、4つの小品から成る組曲の冒頭を飾ります。
まるで水面をゆるやかに進む小舟を思わせる、穏やかで美しい旋律がとっても魅力的です。
歌詞こそありませんが、ベルレーヌの詩にインスピレーションを得ているそうで、月光の下で揺蕩う舟の情景や、遠い時代の優雅な雰囲気が心に広がるようです。
揺らめくピアノの音色が、聴く人を心地よい涼しさで包み込んでくれますね!
本作は管弦楽編曲版も広く知られ、一層豊かな色彩を感じられますし、館内BGMなどで耳にすることもあるかもしれません。
暑さで少しお疲れの時や、静かに心を落ち着けたい時にぜひ聴いてみてください。
ドビュッシーが「重すぎず短すぎない」サロン向けに考えたと言うように、気軽に優雅な気分に浸れることでしょう!
ピアノソナタ 第3番 第3楽章Alexander Scriabin

ロシアの作曲家アレクサンドル・スクリャービンが手掛けた、美しく繊細な作品。
1897年から1898年にかけて書かれた『ピアノソナタ第3番』の第3楽章は、静かで穏やかな音楽が特徴です。
「エタ・ダム(魂の状態)」という副題がつけられた本作は、スクリャービン自身の内面を反映しており、魂が悲しみやメランコリー、そして漠然とした愛や欲望の感情に包まれて浮遊しているようなイメージが描かれています。
さらに、彼自身がこの曲を演奏したとき「ここで星たちが歌う!」と叫んだことから、「星が歌う」という名でも知られています。
穏やかな海に浮かぶような繊細な感情表現は、聴く人の心を静かに洗い流してくれることでしょう。
静かな夜に、ぜひ星を眺めながら聴いてほしい作品です。
海辺の夕暮れ H.128 第3曲「嵐の海辺」NEW!Bohuslav Martinů

夏の暑さを忘れさせてくれるピアノ曲で、おすすめの曲はこちら。
ボフスラフ・マルティヌーが1921年に作曲したピアノ独奏のための小品集『Evening at the Shore H.128』より、その第3曲「海辺の夕暮れ」です。
この楽曲は、嵐の海辺にいるかのような情景が目に浮かぶようで、アルペジオが織りなす波の揺らぎと、しっかりとした音楽の形式美が巧みに表現されています。
中間部では嵐を思わせる激しさが展開され、技巧的なカデンツァを経て、最後は穏やかな再現で落ち着きを取り戻す構成も、本作の聴きどころとなっています。
夏の気だるさを忘れさせ、心に涼やかな風を届けてくれるでしょう。
情景が豊かな音楽に浸りたい方や、ドラマティックな曲調がお好きな方に聴いてほしい1曲です。