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美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い

ピアノは、弾き手や表現方法によってさまざまな表情に変化する魅力的な楽器です。

繊細でいてダイナミックな優美さや、言葉には表せないような深みなど、その多彩な音色と豊かな響きは、ピアノ1台でオーケストラに匹敵するほどと言われています。

今回は、そんなピアノの音色を十分に堪能できる作品の中から、「美しさ」にフォーカスした曲を選びました。

ピアノを演奏するのがお好きな方も、鑑賞するのがお好きな方も、繊細な音のひと粒ひと粒を味わいながら、ピアノの魅力に浸っていただけたら幸いです。

美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い(11〜20)

カンタータ「主よ、人の望みの喜びよ」 BWV147J.S.Bach=Hess

Daniil Trifonov – Bach: Cantata BWV 147: Jesu, Joy of Man’s Desiring (Transcr. Hess for Piano)
カンタータ「主よ、人の望みの喜びよ」 BWV147J.S.Bach=Hess

ヨハン・ゼバスティアン・バッハが1723年に作曲したカンタータの一部として知られる本作。

イギリスのピアニスト、マイラ・ヘスによる1926年のピアノアレンジが特に有名です。

華麗な三連符のアルペジオに乗せて、美しい旋律が緩やかに流れていきます。

まるで清らかな小川のせせらぎのよう。

イエス・キリストへの信仰と喜びを歌った詩をもとにした本作は、クリスマスやイースターなどの祝祭でもよく演奏されます。

心洗われるような優しい音色に包まれながら、静かな祈りのひとときを過ごしたい方にオススメの1曲です。

ノクターン 第2番 変ホ長調 Op.9-2Frederic Chopin

Seong-Jin Cho – Chopin: Nocturnes, Op. 9: No. 2 in E Flat Major. Andante
ノクターン 第2番 変ホ長調 Op.9-2Frederic Chopin

美しい旋律に心洗われるフレデリック・ショパンの名曲。

彼が20歳の頃に作曲した本作は、現在でもさまざまな場面で使用されており、誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

優雅なワルツのリズムと繊細な装飾音が魅力的で、静かでありながらも深い感動を与えてくれます。

メロディや表情の変化を際立たせるには、左手の伴奏を穏やかに演奏することが大切。

左右のバランスに気を配りながらも、機械的な音楽にならないよう、やわらかく温かい雰囲気の演奏に仕上げましょう。

映像 第2集 第2番「荒れた寺にかかる月」Claude Debussy

Debussy: Images II, L. 111: II. Et la lune descend sur le temple qui fut
映像 第2集 第2番「荒れた寺にかかる月」Claude Debussy

印象派音楽の巨匠クロード・ドビュッシーが手掛けた『映像 第2集』。

そのなかの第2番『荒れた寺にかかる月』は、荒廃した寺院に差し込む月光の神秘的な情景を描いた作品です。

東洋の絵画にインスピレーションを得たこの曲は、1907年に作曲されました。

並行和音の響きが特徴的で、簡素でありながら微妙な陰影を醸し出す本作。

ピアノの残響を巧みに活用し、静寂と神秘的な雰囲気を見事に表現しています。

ドビュッシーの繊細な音楽性が存分に発揮された1曲で、ピアノ音楽の新たな可能性を切り開いた意欲作といえるでしょう。

クラシック音楽に興味のある方はもちろん、静かな音楽で心を落ち着かせたい方にもオススメです。

ピアノソナタ 第2番 第1楽章Alexander Scriabin

Scriabin: Piano Sonata in G-Sharp Minor Op. 19, No. 2, “Sonata Fantasy” – 1. Andante
ピアノソナタ 第2番 第1楽章Alexander Scriabin

ロシアの作曲家アレクサンドル・スクリャービンが1897年に発表したピアノソナタ。

南国の海岸の静かな夜を描いた第1楽章は、穏やかに始まり、やがて深海の暗く激しい動きを表現。

中間部では月光の柔らかな輝きが美しく表現されています。

ロマン派的な情緒と印象派的な要素が融合した、豊かな感情をたたえた作品です。

スクリャービンは音楽を色で感じ取る「共感覚」の持ち主。

E長調部分は「月光の青白い輝き」を象徴するとされ、音の色彩的な描写も魅力的。

繊細な音色と豊かな響きを味わいたい方にオススメの1曲です。

6つの小品より第2番「間奏曲」Johannes Brahms

ヨハネス・ブラームスが晩年に作曲した『6つの小品』。

そのなかの第2番『間奏曲』は、愛情を込めて優しく奏でるよう指示されており、慈愛に満ちた表情の小品です。

1893年に完成し、親友クララ・シューマンに献呈されました。

内声のメロディーが印象的で、自分の歌えるテンポで感情を込めて演奏することが大切。

ブラームスは本作を「モノローグ」と呼び、演奏者や聴衆が楽曲を通して内的な自己と対話することを意図していたそうです。

静寂と孤独の中で長い時間をかけて呼吸するような性質は、演奏前の黙想にも、演奏後の余韻にも適した、時間を超えた美しさを持つ楽曲といえるでしょう。

交響的練習曲 作品13より遺作第5曲Robert Schumann

19世紀ドイツロマン派を代表する作曲家ロベルト・シューマンが手掛けた『交響的練習曲』。

ピアノソロでありながら、まるでオーケストラのような豊かな響きが特徴的です。

主題と12の変奏、それから『遺作』と呼ばれる5曲から成り立っています。

今回紹介する曲は、その『遺作』のなかの第5曲目。

キラキラとした旋律と、美しい響きがとても魅力的です。

この曲のみを聴くととても癒やされますが、曲全体をとおして聴くと、ピアノ音楽の奥深さを感じられるかもしれません。

気になった方はぜひ聴いてみてくださいね。

美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い(21〜30)

「四季」-12の性格的描写 Op.37bis 6月「舟歌」Pyotr Tchaikovsky

チャイコフスキー: 「四季」6月:舟歌[ナクソス・クラシック・キュレーション #切ない]
「四季」-12の性格的描写 Op.37bis 6月「舟歌」Pyotr Tchaikovsky

ロシアの作曲家によるピアノ独奏曲集『The Seasons』の中でも、叙情美をたたえて人気の高い一曲です。

本作は1876年6月に雑誌で公開されたもので、寄せては返す波のような物悲しい旋律で始まります。

水辺の情景を描いた詩が添えられているとされ、その切ない調べは聴く人の心に深く染み渡ります。

中間部で一転して長調になると、星のきらめきを思わせる華やかなアルペジオが展開されます。

あまりにも人気が高いため、1981年に振付されたバレエ『Piano Pieces』にも用いられました。

悲しみに沈む心に優しく寄り添う、言葉にならない感情が込み上げてくる名曲です。