美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い
ピアノは、弾き手や表現方法によってさまざまな表情に変化する魅力的な楽器です。
繊細でいてダイナミックな優美さや、言葉には表せないような深みなど、その多彩な音色と豊かな響きは、ピアノ1台でオーケストラに匹敵するほどと言われています。
今回は、そんなピアノの音色を十分に堪能できる作品の中から、「美しさ」にフォーカスした曲を選びました。
ピアノを演奏するのがお好きな方も、鑑賞するのがお好きな方も、繊細な音のひと粒ひと粒を味わいながら、ピアノの魅力に浸っていただけたら幸いです。
美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い(31〜40)
18の小品 Op.72 第5曲「瞑想曲」Pyotr Tchaikovsky

ロシアの大作曲家チャイコフスキーの最晩年に作曲された作品です。
彼自身も少しずつ迫る死を意識していた時期だったかもしれませんが、この曲はとにかく美しい作品です。
この世への未練のような気持ちも感じ取れます。
夜想曲第2番 変ホ長調 作品9-2Frederic Chopin

夏の暑さを忘れさせてくれる、フレデリック・ショパンによる珠玉のピアノ作品がありますよ。
1830年から1832年にかけて作られたこの作品は、名盤『Nocturnes, Op. 9』に収められており、甘く切ない旋律がたいへん美しいと評判です。
右手の歌うようなメロディは、まるで夜空にまたたく星のようで、左手の伴奏がそれを優しく支えます。
聴いていると、心が洗われるようですね。
映画『127時間』(2010年)やアニメ『少女終末旅行』(2017年)でも印象的に使われていますので、ご存じの方も多いことでしょう。
本作は、静かな夜に美しいピアノの音色で涼を感じたい方に、ぴったりの一曲と言えるのではないでしょうか。
亡き王女のためのパヴァーヌMaurice Ravel

テレビCMや映画の挿入歌として使用されており、モーリス・ラヴェルのピアノ作品の中で最も多く耳にする機会があるであろう『亡き王女のためのパヴァーヌ』。
パヴァーヌとは、16世紀から17世紀にかけて宮廷に普及していた舞踏の一種です。
初めて聴く人でも心地よい世界観に浸れ、印象派の美しさを感じられるこの作品は発表会曲としても人気で、それほど高難度でもありません。
しかし、優美さと繊細さを表現するためには、丁寧な練習が必要!
上品な雰囲気を出せるよう、角のないやわらかい音で演奏しましょう。
水の戯れMaurice Ravel

近代クラシックで最も有名な作曲家の1人、モーリス・ラヴェル。
彼はクラシックに多様性をもたらした人物として知られており、それまでにはなかなか存在しなかった、ジャズやブルースを取り入れたクラシックをいくつも生み出しました。
そんな彼の代表的な作品が、こちらの『水の戯れ』。
4分の4拍子を徹底した作品であるにもかかわらず、楽曲のなかでもさまざまな変化を見せる作品です。
まるで風にあおられて不規則に揺れる水面のように目まぐるしく変化していくメロディーは、美しさとともに胸をざわつかせるような感覚におちいらせてくれます。
エチュード第13番変イ長調Op.25-1「エオリアンハープ」Frederic Chopin

春の息吹を感じさせるこの曲は、流麗なアルペジオの連続が特徴的です。
右手が奏でる絶え間ない音の流れは、まるで風に揺れるハープの音色のよう。
その中に左手で紡がれる繊細な旋律が織り込まれ、牧歌的な風景を思い起こさせます。
1836年から1837年にかけて作曲されたこの作品は、技術的な練習曲でありながら、深い音楽的表現を追求しています。
演奏時間は約2分30秒ですが、その短い時間に芸術性と技巧が凝縮されています。
ピアノ学習者はもちろん、美しい音楽に心を癒されたい方にもおすすめの1曲です。
美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い(41〜50)
献呈Robert Schumann=Franz Liszt

ベートーヴェンやシューベルトの遺伝子を色濃く受け継いでいる作曲家、ロベルト・シューマン。
ピアノ曲や歌曲集に関して、圧倒的な才能をほこる偉大なドイツの作曲家ですね。
そんな彼の作品のなかでも、特にオススメしたい楽曲が、こちらの『献呈』。
この曲には非常にロマンティックな背景があります。
というのもこの曲は作品として作られたわけではなく、シューマンの妻に対して結婚式の前夜に送った楽曲なのです。
そういった背景もあり、メロディーからあふれる感情が感じられますね。
歌曲集ですが、ピアノ独奏曲にアレンジされたバージョンも存在します。
ピアノ独奏曲のバージョンは、よりファンタジーな雰囲気に仕上がっているので、ぜひ聴き比べてみてください。
夢Claude Debussy

ドビュッシーが作曲したピアノの独奏曲で日本語では「夢想」とも言います。
ピアノの独奏曲ですが海外ではこの曲をベースに歌詞をつけて演奏されています。
タイトル通り、まるで夢を見ているような心地のいい気分になれることでしょう。
ドビュッシー自身が持つ独特な感情や世界観がこの曲にとてもよく表現されており、心によく響きます。