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美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い

ピアノは、弾き手や表現方法によってさまざまな表情に変化する魅力的な楽器です。

繊細でいてダイナミックな優美さや、言葉には表せないような深みなど、その多彩な音色と豊かな響きは、ピアノ1台でオーケストラに匹敵するほどと言われています。

今回は、そんなピアノの音色を十分に堪能できる作品の中から、「美しさ」にフォーカスした曲を選びました。

ピアノを演奏するのがお好きな方も、鑑賞するのがお好きな方も、繊細な音のひと粒ひと粒を味わいながら、ピアノの魅力に浸っていただけたら幸いです。

美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い(1〜10)

ノクターン 第20番 嬰ハ短調「遺作」Frederic Chopin

フレデリック・ショパンが1830年に作曲したノクターン。

全21曲からなるうちの、第20番は、姉のルドヴィカへの献呈とともに、『ピアノ協奏曲第2番』の練習用として書かれました。

ショパンの死後21年たった1875年に出版されたため、『遺作』と名付けられています。

レント・コン・グラン・エスプレッシオーネの穏やかなテンポで、左手の分散和音に対して右手が情感豊かな旋律を奏でる構成。

序奏部、中間部、再現部の三部構成で、美しい旋律と華やかな装飾音がメランコリックな雰囲気を引き立てています。

ショパンの内面的な感情や思索が反映された本作は、繊細な音色を味わいたい方にオススメです。

ピアノソナタ 第3番 第3楽章Alexander Scriabin

Yuja Wang – Scriabin: Piano Sonata No. 3 in F-Sharp Minor, Op. 23: III. Andante
ピアノソナタ 第3番 第3楽章Alexander Scriabin

ロシアの作曲家アレクサンドル・スクリャービンが手掛けた、美しく繊細な作品。

1897年から1898年にかけて書かれた『ピアノソナタ第3番』の第3楽章は、静かで穏やかな音楽が特徴です。

「エタ・ダム(魂の状態)」という副題がつけられた本作は、スクリャービン自身の内面を反映しており、魂が悲しみやメランコリー、そして漠然とした愛や欲望の感情に包まれて浮遊しているようなイメージが描かれています。

さらに、彼自身がこの曲を演奏したとき「ここで星たちが歌う!」と叫んだことから、「星が歌う」という名でも知られています。

穏やかな海に浮かぶような繊細な感情表現は、聴く人の心を静かに洗い流してくれることでしょう。

静かな夜に、ぜひ星を眺めながら聴いてほしい作品です。

映像第1集 第1番「水に映る影」Claude Debussy

ドビュッシー: 映像 第1集 – 第1番 水に映る影[ナクソス・クラシック・キュレーション #おしゃれ]
映像第1集 第1番「水に映る影」Claude Debussy

印象派音楽の先駆者として知られるクロード・ドビュッシー。

彼が1905年に作曲した本作は、全4集ある『映像』のうちの第1集のなかの1曲目『水に映る影』です。

水面に映る光や影の揺らぎを繊細な音色で描写しており、複雑な和音進行と流動的な旋律が特徴的。

それはまるで、水の動きを目で見ているかのような感覚に包まれます。

ドビュッシーは伝統的な音楽形式にとらわれず、非線形的な音楽の流れを重視しました。

本作は、ピアノの新しい音色を探求する試みでもあったのです。

水をテーマにした作品を好む方や、繊細な音の表現に興味がある方にオススメですよ。

美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い(11〜20)

子供の情景 Op.15 第7曲「トロイメライ」Robert Schumann

フジコ・ヘミング「トロイメライ(子供の情景 作品15 ~ 第7曲)/ シューマン」
子供の情景 Op.15 第7曲「トロイメライ」Robert Schumann

夢見心地な美しい旋律に思わずうっとりしてしまう、ロベルト・シューマンの『トロイメライ』。

子供心を描いた大人のためのピアノ作品として作曲された曲集『子供の情景 Op.15』の第7曲目に収録されている楽曲です。

曲集のなかでも特に有名なこの曲は、ピアノだけでなく、バイオリンやチェロ、フルートなど、さまざまな楽器で演奏されており、クラシックファンのみならず、多くの人の心をとらえています。

じっくり聴いて味わうもよし、ピアノで演奏としてその旋律と和声の美しさにひたるもよし!

静かな秋の夜長に、ゆったりとお楽しみください。

ピアノソナタ 第8番「悲愴」第2楽章Ludwig van Beethoven

ベートーヴェンの初期のピアノ作品を代表する『ピアノソナタ 第8番 悲愴』。

なかでも第2楽章は、ベートーヴェンが書いたメロディーのうちでもっとも美しいといわれ、多くの映画やドラマの挿入曲として使用されています。

シンプルなメロディーで音域もそれほど広くありませんが、それ以外のパートの音に厚みがあるため、バランスを注意深く聴きながら演奏しないとメロディーが埋もれてしまいがち。

聴く者の心を温かく包み込んでくれるゆったりと流れる優雅なメロディーと、それを支える重厚な和音を意識しながら、穏やかに演奏してみましょう。

カンタータ「主よ、人の望みの喜びよ」 BWV147J.S.Bach=Hess

Daniil Trifonov – Bach: Cantata BWV 147: Jesu, Joy of Man’s Desiring (Transcr. Hess for Piano)
カンタータ「主よ、人の望みの喜びよ」 BWV147J.S.Bach=Hess

ヨハン・ゼバスティアン・バッハが1723年に作曲したカンタータの一部として知られる本作。

イギリスのピアニスト、マイラ・ヘスによる1926年のピアノアレンジが特に有名です。

華麗な三連符のアルペジオに乗せて、美しい旋律が緩やかに流れていきます。

まるで清らかな小川のせせらぎのよう。

イエス・キリストへの信仰と喜びを歌った詩をもとにした本作は、クリスマスやイースターなどの祝祭でもよく演奏されます。

心洗われるような優しい音色に包まれながら、静かな祈りのひとときを過ごしたい方にオススメの1曲です。

映像 第2集 第2番「荒れた寺にかかる月」Claude Debussy

Debussy: Images II, CD 120: II. Et la lune descend sur le temple qui fut
映像 第2集 第2番「荒れた寺にかかる月」Claude Debussy

印象派音楽の巨匠クロード・ドビュッシーが手掛けた『映像 第2集』。

そのなかの第2番『荒れた寺にかかる月』は、荒廃した寺院に差し込む月光の神秘的な情景を描いた作品です。

東洋の絵画にインスピレーションを得たこの曲は、1907年に作曲されました。

並行和音の響きが特徴的で、簡素でありながら微妙な陰影を醸し出す本作。

ピアノの残響を巧みに活用し、静寂と神秘的な雰囲気を見事に表現しています。

ドビュッシーの繊細な音楽性が存分に発揮された1曲で、ピアノ音楽の新たな可能性を切り開いた意欲作といえるでしょう。

クラシック音楽に興味のある方はもちろん、静かな音楽で心を落ち着かせたい方にもオススメです。