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美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い

ピアノは、弾き手や表現方法によってさまざまな表情に変化する魅力的な楽器です。

繊細でいてダイナミックな優美さや、言葉には表せないような深みなど、その多彩な音色と豊かな響きは、ピアノ1台でオーケストラに匹敵するほどと言われています。

今回は、そんなピアノの音色を十分に堪能できる作品の中から、「美しさ」にフォーカスした曲を選びました。

ピアノを演奏するのがお好きな方も、鑑賞するのがお好きな方も、繊細な音のひと粒ひと粒を味わいながら、ピアノの魅力に浸っていただけたら幸いです。

美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い(21〜30)

18の小品 Op.72 第5曲「瞑想曲」Pyotr Tchaikovsky

黒木 雪音/チャイコフスキー:18の小品 Op.72 より 第5番 「瞑想曲」(2019ピティナ 特級セミファイナル )Tchaikovsky – “Meditation” Op.72-5
18の小品 Op.72 第5曲「瞑想曲」Pyotr Tchaikovsky

ロシアの大作曲家チャイコフスキーの最晩年に作曲された作品です。

彼自身も少しずつ迫る死を意識していた時期だったかもしれませんが、この曲はとにかく美しい作品です。

この世への未練のような気持ちも感じ取れます。

3つのロマンス 作品11-1Clara Schumann

クララ・シューマン : 3つのロマンス 作品11-1 【36_暗い・悲しい楽譜と解説付きクラシックピアノ曲】
3つのロマンス 作品11-1Clara Schumann

抑制された表現の中に、深い叙情性を秘めたピアノ作品です。

全3曲からなるロマンティックな小品集の冒頭を飾るこの楽曲は、1839年に作曲家が19歳の頃、婚約者ロベルト・シューマンへの想いを込めて書かれました。

長く続くアルペッジョに支えられて歌われる主題は、内に秘めた愛情や切なさを繊細に映し出すかのようです。

本作は、映画『Geliebte Clara』でもクララ・シューマンの内面を描写する重要な鍵として登場します。

静かに物思いにふけりたい夜、ピアノの歌うような音色に耳を傾けながら、じっくりと自分の心と向き合いたいときにぴったりの一曲です。

水の戯れMaurice Ravel

近代クラシックで最も有名な作曲家の1人、モーリス・ラヴェル。

彼はクラシックに多様性をもたらした人物として知られており、それまでにはなかなか存在しなかった、ジャズやブルースを取り入れたクラシックをいくつも生み出しました。

そんな彼の代表的な作品が、こちらの『水の戯れ』。

4分の4拍子を徹底した作品であるにもかかわらず、楽曲のなかでもさまざまな変化を見せる作品です。

まるで風にあおられて不規則に揺れる水面のように目まぐるしく変化していくメロディーは、美しさとともに胸をざわつかせるような感覚におちいらせてくれます。

亡き王女のためのパヴァーヌMaurice Ravel

辻井伸行 / ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
亡き王女のためのパヴァーヌMaurice Ravel

テレビCMや映画の挿入歌として使用されており、モーリス・ラヴェルのピアノ作品の中で最も多く耳にする機会があるであろう『亡き王女のためのパヴァーヌ』。

パヴァーヌとは、16世紀から17世紀にかけて宮廷に普及していた舞踏の一種です。

初めて聴く人でも心地よい世界観に浸れ、印象派の美しさを感じられるこの作品は発表会曲としても人気で、それほど高難度でもありません。

しかし、優美さと繊細さを表現するためには、丁寧な練習が必要!

上品な雰囲気を出せるよう、角のないやわらかい音で演奏しましょう。

パガニーニ大練習曲集より第3曲「ラ・カンパネラ」Niccolò Paganini

ニコロ・パガニーニの代表的な作品の1つ、『ラ・カンパネラ』。

言わずとしれた、人類史上最高峰の演奏技術を持つバイオリニストですね。

作曲家としても偉大で、いくつもの名曲をのこしています。

この作品は悲壮感のただよう始まりから、徐々にコミカルでゴシックな雰囲気へと変わっていく構成が印象的ですね。

バイオリン協奏曲として作られた作品ですが、ピアノとも相性が良く、協奏曲よりもシュールな雰囲気に仕上がっています。

メロディOp.4-2Fanny Mendelssohn

ファニー・メンデルスゾーン : メロディOp.4-2【08_暗い・悲しい楽譜と説明付きクラシックピアノ曲】
メロディOp.4-2Fanny Mendelssohn

まるで歌曲のように歌う旋律が印象的な、嬰ハ短調の小品です。

この楽曲は、兄フェリックスとは異なる独自のピアノ様式を模索していたファニー・メンデルスゾーンのピアノ曲集『6 Melodies Op.4』に収録されています。

繊細な旋律に重なる濃密な和声は、ファニー・メンデルスゾーンならではの表現力。

感情の機微をただように描き出しており、少しでも表現を誤ると曲の持つ内省的な魅力が損なわれかねません。

1846年に自らの名で作品を出版したファニー・メンデルスゾーンの、静かながらも確固たる意志を感じさせます。

悲しみに深く沈みたい夜、一人でじっくりと味わいたい方にこそ聴いてほしいものです。

本作を弾く際は、旋律をどう歌わせるかが最大のカギとなるでしょう。

Claude Debussy

ドビュッシー「夢」羽田健太郎
夢Claude Debussy

ドビュッシーが作曲したピアノの独奏曲で日本語では「夢想」とも言います。

ピアノの独奏曲ですが海外ではこの曲をベースに歌詞をつけて演奏されています。

タイトル通り、まるで夢を見ているような心地のいい気分になれることでしょう。

ドビュッシー自身が持つ独特な感情や世界観がこの曲にとてもよく表現されており、心によく響きます。