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美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い

ピアノは、弾き手や表現方法によってさまざまな表情に変化する魅力的な楽器です。

繊細でいてダイナミックな優美さや、言葉には表せないような深みなど、その多彩な音色と豊かな響きは、ピアノ1台でオーケストラに匹敵するほどと言われています。

今回は、そんなピアノの音色を十分に堪能できる作品の中から、「美しさ」にフォーカスした曲を選びました。

ピアノを演奏するのがお好きな方も、鑑賞するのがお好きな方も、繊細な音のひと粒ひと粒を味わいながら、ピアノの魅力に浸っていただけたら幸いです。

美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い(51〜60)

海辺の夕暮れ H.128 第3曲「嵐の海辺」Bohuslav Martinů

マルティヌー: 海辺の夕暮れ H.128:第3曲[嵐の海辺][ナクソス・クラシック・キュレーション #おしゃれ]
海辺の夕暮れ H.128 第3曲「嵐の海辺」Bohuslav Martinů

夏の暑さを忘れさせてくれるピアノ曲で、おすすめの曲はこちら。

ボフスラフ・マルティヌーが1921年に作曲したピアノ独奏のための小品集『Evening at the Shore H.128』より、その第3曲「海辺の夕暮れ」です。

この楽曲は、嵐の海辺にいるかのような情景が目に浮かぶようで、アルペジオが織りなす波の揺らぎと、しっかりとした音楽の形式美が巧みに表現されています。

中間部では嵐を思わせる激しさが展開され、技巧的なカデンツァを経て、最後は穏やかな再現で落ち着きを取り戻す構成も、本作の聴きどころとなっています。

夏の気だるさを忘れさせ、心に涼やかな風を届けてくれるでしょう。

情景が豊かな音楽に浸りたい方や、ドラマティックな曲調がお好きな方に聴いてほしい1曲です。

12の歌 作品21 第7曲「ここは素晴らしい場所」Sergei Rachmaninov

原曲は、ロシアの大作曲家セルゲイ・ラフマニノフが、妻のナターシャへ捧げた歌曲作品です。

ロマンティックな雰囲気とメランコリックな雰囲気が融合したとても美しい曲です。

シンプルな作品でありながら、思わず涙があふれそうになるメロディは、アンコール曲にもぴったり。

この曲には、E.ワイルドなどが華やかな編曲を施した版もあります。

ぜひ弾いてみてくださいね。

ピアノソナタ 第21番 変ロ長調 D.960Franz Schubert

★シューベルト ピアノソナタ 第21番 変ロ長調 D.960 ホロヴィッツ Schubert Piano Sonata in B Flat Major
ピアノソナタ 第21番 変ロ長調 D.960Franz Schubert

フランツ・シューベルトが最晩年に作曲したピアノ独奏曲。

生涯最後のピアノソナタで、亡くなる2ヶ月前の1828年に書かれました。

4つの楽章からなる大作で、シューベルトの音楽性が凝縮されています。

第1楽章の広大な開放感、第2楽章の瞑想的な美しさ、第3楽章の軽快な舞曲、第4楽章の力強さが印象的。

静かな始まりや深い憂いを帯びた旋律からは、どことなく「死の予感」が漂います。

本作からは、シューベルトの内面世界や感情の深さを感じとれます。

ピアノの繊細な音色や表現力を堪能したい方にオススメの1曲です。

巡礼の年 第3年 S.163/R.10 A283 第4曲「エステ荘の噴水」Franz Liszt

巡礼の年 第3年から 「エステ荘の噴水」  フランツ・リスト
巡礼の年 第3年 S.163/R.10 A283 第4曲「エステ荘の噴水」Franz Liszt

今回ご紹介する『エステ荘の噴水』は、ハンガリー出身のピアニスト兼作曲家で超絶技巧でも知られるフランツ・リストによるピアノ独奏曲集『巡礼の年』の『第3年』の第4曲で、代表作の一つとして知られる作品。

繊細かつ大胆なアルペジオで水の動きを表現した華麗な楽曲であり、後にモーリス・ラヴェルの『水の戯れ』やクロード・ドビュッシーの『水の反映』に直接的な影響を与えたとも言われています。

全編に渡ってアルペジオやトレモロの響きが実に美しくドラマチックですが、暑苦しいものではなくどこまでも繊細でロマンチックというのが素晴らしい作品です。

きらきらと舞う水をイメージしながらぜひ聴いてみてくださいね。

美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い(61〜70)

夜想曲第2番 変ホ長調 作品9-2Frederic Chopin

ショパン/ノクターンOp.9-2/Chopin/NocturneOp.9 No.2/ピアノ/Piano/弾いてみた/CANACANA
夜想曲第2番 変ホ長調 作品9-2Frederic Chopin

夏の暑さを忘れさせてくれる、フレデリック・ショパンによる珠玉のピアノ作品がありますよ。

1830年から1832年にかけて作られたこの作品は、名盤『Nocturnes, Op. 9』に収められており、甘く切ない旋律がたいへん美しいと評判です。

右手の歌うようなメロディは、まるで夜空にまたたく星のようで、左手の伴奏がそれを優しく支えます。

聴いていると、心が洗われるようですね。

映画『127時間』(2010年)やアニメ『少女終末旅行』(2017年)でも印象的に使われていますので、ご存じの方も多いことでしょう。

本作は、静かな夜に美しいピアノの音色で涼を感じたい方に、ぴったりの一曲と言えるのではないでしょうか。

練習曲 Op.2-1Alexander Scriabin

Horowitz – Scriabin: Etude for piano in C# minor, Op. 2 no. 1
練習曲 Op.2-1Alexander Scriabin

独特の世界観を持ったスクリャービンの音楽は、ショパンの影響を強く受けています。

その要素が特に際立っているのがこの作品で、ほの暗い情熱を音楽に閉じ込めたような印象を受けます。

スクリャービンの入門にも最適な難易度のため、演奏機会は多いです。

忘れられた映像 第2曲「ルーヴルの思い出」Claude Debussy

3曲からなる『忘れられた映像』は、クロード・ドビュッシーの死後、およそ55年経過してから出版された作品です。

第2曲『ルーヴルの思い出』は、重厚さと優雅さをあわせ持った、とても美しい1曲。

「ルーヴルの思い出を記念する少し古びた肖像画の感じさえもって」という指示が書かれていることから、時を経て重厚感を増していく美術作品をイメージした楽曲であることがわかります。

1曲の中に詰め込まれた繊細さや華やかさ、もの悲しさなどのさまざまな表情を楽しみながら、演奏できるといいですね。