美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い
ピアノは、弾き手や表現方法によってさまざまな表情に変化する魅力的な楽器です。
繊細でいてダイナミックな優美さや、言葉には表せないような深みなど、その多彩な音色と豊かな響きは、ピアノ1台でオーケストラに匹敵するほどと言われています。
今回は、そんなピアノの音色を十分に堪能できる作品の中から、「美しさ」にフォーカスした曲を選びました。
ピアノを演奏するのがお好きな方も、鑑賞するのがお好きな方も、繊細な音のひと粒ひと粒を味わいながら、ピアノの魅力に浸っていただけたら幸いです。
美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い(61〜70)
4つの即興曲 Op.90-3Franz Schubert

澄み渡る音色と繊細な表現が心を打つシューベルトの名作。
1827年に作曲された『4つの即興曲 Op.90』の第3番は、シューベルトの円熟期の作品として知られています。
長い旋律が途切れることなく流れ、祈りのような静寂さを感じられます。
ピアノ1台で奏でられる音色の中に、シューベルトの豊かな感性と深い情感が込められています。
心洗われるような美しい旋律は、日々の喧騒から離れ、穏やかな時間を過ごしたい方におすすめ。
秋の夜長に、ゆったりと耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
練習曲 作品25-1「エオリアンハープ]Frederic Chopin
![練習曲 作品25-1「エオリアンハープ]Frederic Chopin](https://i.ytimg.com/vi/rrNE9aHJlzw/sddefault.jpg)
ショパンがこの作品をシューマンの家で弾いた時に、シューマンが「エオリアン・ハープを思い浮かべた」と語ったことから、この愛称で親しまれるようになりました。
エオリアンハープとは、箱状の木に複数の弦が張られている弦楽器のこと。
自然の風で音が奏でられ、風の強さや方向、勢いによって、振動する弦が異なり、さまざまな音色が奏でられます。
両手が奏でる分散和音のニュアンスの微妙な変化が、まさにこのエオリアンハープを想起させますよね。
舟歌 第4番 変ホ長調 Op. 36Gabriel Fauré

穏やかに流れるような雰囲気の中に、温かな和声とフォーレ独自の旋律が絶妙に調和する美しい作品です。
1884年、フランスの出版社アメル社から公開された本作は、友人のメルシ=アルジャントー伯爵夫人に献呈されました。
鐘の響きを思わせる4度下降の音程が印象的で、静謐な雰囲気と抒情的な表現が見事に融合しています。
中間部では短調のエピソードが挿入され、穏やかな冒頭部分との対比が際立ちます。
演奏技術的にもゆったりとしたテンポで取り組みがしやすく、フォーレの世界観を楽しみながら練習できる一曲です。
フランス音楽の優雅さと繊細さに触れたい方におすすめの作品ですよ。
舟歌 第7番 ニ短調 Op.90Gabriel Fauré

6/8拍子の優美なリズムに乗って、波のように揺らめくピアノの旋律が心地よく耳に入ってくる作品です。
ゆったりとした穏やかなテンポの中に内省的な情感が溶け込んでおり、左手の伴奏が波のような揺らぎを表現する一方で、右手は繊細な旋律を紡ぎ出します。
1913年の作品ながら、和声の美しさと独創性は色あせることなく、聴く人の心に深い感動を与え続けています。
ピアノを学ばれている方なら、シンプルな構造ながら豊かな表現が可能な本作を、ぜひレパートリーに加えてみてはいかがでしょうか。
フランス音楽特有の優雅さと、ロマン派から近代への過渡期ならではの新鮮な響きを体験できる一曲です。
「白鳥の歌」より第4曲「セレナーデ」Franz Schubert

うつうつとした気分、壁にぶつかった時に聴きたい曲。
仕事や学業、家庭など、生活上いろいろな問題に出会います。
解決の手を打たなければいけませんが、何より気持ちがきゅうしてしまいますね。
忙しい中でひと息つくひまもなく、いつの間にかエネルギーを消耗していたことに気付きます。
そんな時、この曲のせつなく悲しい旋律が手を止めて休むきっかけになります。
考えるのは必要です。
でもひとまずはこの曲の世界に身をゆだねて落ち着きませんか。
ノクターン 第1番 変ホ短調 Op. 33Gabriel Fauré

静寂から始まる内省的な旋律が、情熱的な中間部へと展開していく音楽の流れは、まるで心の奥底で渦巻く感情が徐々に表出していくかのようです。
1875年に書かれた本作では、波のように起伏する伴奏と繊細なタッチが織りなす独特の音の世界が広がります。
とりわけ低音のうねりと高音の旋律が交差する中間部分では、重厚感と透明感が絶妙なバランスで融合し、聴く人の心を強く揺さぶります。
演奏時間は約7分から8分ほどで、ピアノの基本的な演奏技術があれば挑戦できる作品です。
フランス音楽の優美さに触れたい方や、表現力を磨きたい方におすすめの一曲といえるでしょう。
ピアノソナタ 第21番 変ロ長調 D.960Franz Schubert

フランツ・シューベルトが最晩年に作曲したピアノ独奏曲。
生涯最後のピアノソナタで、亡くなる2ヶ月前の1828年に書かれました。
4つの楽章からなる大作で、シューベルトの音楽性が凝縮されています。
第1楽章の広大な開放感、第2楽章の瞑想的な美しさ、第3楽章の軽快な舞曲、第4楽章の力強さが印象的。
静かな始まりや深い憂いを帯びた旋律からは、どことなく「死の予感」が漂います。
本作からは、シューベルトの内面世界や感情の深さを感じとれます。
ピアノの繊細な音色や表現力を堪能したい方にオススメの1曲です。