美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い
ピアノは、弾き手や表現方法によってさまざまな表情に変化する魅力的な楽器です。
繊細でいてダイナミックな優美さや、言葉には表せないような深みなど、その多彩な音色と豊かな響きは、ピアノ1台でオーケストラに匹敵するほどと言われています。
今回は、そんなピアノの音色を十分に堪能できる作品の中から、「美しさ」にフォーカスした曲を選びました。
ピアノを演奏するのがお好きな方も、鑑賞するのがお好きな方も、繊細な音のひと粒ひと粒を味わいながら、ピアノの魅力に浸っていただけたら幸いです。
美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い(71〜80)
オブリヴィオンAstor Piazzolla

ピアソラはクラシックとジャズを融合した独自の道を貫いた特殊な作曲家です。
「リベルタンゴ」に次いで有名な「オブリヴィオン」は”忘却”という意味を持ちます。
ドラマティックで豊かな音楽を短い時間に詰め込んだ名作です。
忘れられた映像 第2曲「ルーヴルの思い出」Claude Debussy

3曲からなる『忘れられた映像』は、クロード・ドビュッシーの死後、およそ55年経過してから出版された作品です。
第2曲『ルーヴルの思い出』は、重厚さと優雅さをあわせ持った、とても美しい1曲。
「ルーヴルの思い出を記念する少し古びた肖像画の感じさえもって」という指示が書かれていることから、時を経て重厚感を増していく美術作品をイメージした楽曲であることがわかります。
1曲の中に詰め込まれた繊細さや華やかさ、もの悲しさなどのさまざまな表情を楽しみながら、演奏できるといいですね。
舟歌 第12番 変ホ長調 Op.105-2Gabriel Fauré

1921年に作曲された本作は、6/8拍子の流れるようなリズムに、温かみのある変ホ長調の響きが魅力のピアノ曲です。
穏やかな情感と深い精神性を感じさせます。
優雅な旋律の流れに、フランス音楽特有の洗練された和声が織り込まれており、心地よい余韻を残してくれます。
和声進行や転調の妙も楽しめますが、基本的な技術があれば演奏可能な難度となっています。
静かな時間の中でじっくりと音楽に向き合いたい方や、フランス音楽の繊細な表現を味わってみたい方におすすめです。
音楽大学の試験やコンクールでも取り上げられることがあり、教育的な観点からも価値のある作品となっています。
美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い(81〜90)
5つの小品(樹木の組曲) Op.75 第1曲 ピヒラヤの花咲くときJean Sibelius

フィンランドの作曲家ジャン・シベリウス作曲『5つの小品(樹木の組曲) Op.75』の第1曲目。
小さくかわいらしい花を想像させる軽やかで繊細なメロディが印象的な作品です。
タイトルにあるピヒラヤはフィンランドで「神の木」と呼ばれており、北欧生まれのキャラクター、ムーミンの絵皿にも描かれているのだそう。
そんなお花の様子を表す作品では、音の粒をそろえることと繊細なタッチで演奏することが大切!
部分的に取り出してリズムを変えて練習するなど練習方法を工夫しつつ、自分が奏でる音をよく聴きながら練習してみてくださいね。
巡礼の年 第3年 S.163/R.10 A283 第4曲「エステ荘の噴水」Franz Liszt

今回ご紹介する『エステ荘の噴水』は、ハンガリー出身のピアニスト兼作曲家で超絶技巧でも知られるフランツ・リストによるピアノ独奏曲集『巡礼の年』の『第3年』の第4曲で、代表作の一つとして知られる作品。
繊細かつ大胆なアルペジオで水の動きを表現した華麗な楽曲であり、後にモーリス・ラヴェルの『水の戯れ』やクロード・ドビュッシーの『水の反映』に直接的な影響を与えたとも言われています。
全編に渡ってアルペジオやトレモロの響きが実に美しくドラマチックですが、暑苦しいものではなくどこまでも繊細でロマンチックというのが素晴らしい作品です。
きらきらと舞う水をイメージしながらぜひ聴いてみてくださいね。
マ・メール・ロワ 第5曲「妖精の園」Maurice Ravel

ピアノ四手連弾組曲『マ・メール・ロワ』の第5曲『妖精の園』は、ヨーロッパに古くから伝わる古い民話『眠れる森の美女』をモチーフに作曲された作品。
眠りについた王女が王子の口づけで目を覚ます感動的なシーンが、キラキラと輝くアルペジオと希望や明るい未来を感じさせる和音で表現されています。
一度に鳴らす音数が多いため、和音をしっかりつかむことや和音で最も目立たせたいトップの音を響かせることが重要です。
大きな音を鳴らすだけにならないよう、ダイナミックな演奏を目指しつつも、練習は細かく分けて丁寧に行いましょう!
「6つの歌」より「歌の翼に」Felix Mendelssohn

メンデルスゾーンの歌曲集『六つの歌』の第2曲をリストが編曲した作品。
この歌曲の歌詞は、ハインリヒ・ハイネが1827年に発表した『歌の本』にある詩に基づいており、当時はおとぎの国と考えられていた遠い東洋の国インドに恋人である君を連れて行こうと歌うロマンティックな内容となっています。
穏やかな旋律は歌曲の雰囲気を残しつつも、リストらしい華やかで美しい響きを併せ持つ1曲となっています。