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美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い

ピアノは、弾き手や表現方法によってさまざまな表情に変化する魅力的な楽器です。

繊細でいてダイナミックな優美さや、言葉には表せないような深みなど、その多彩な音色と豊かな響きは、ピアノ1台でオーケストラに匹敵するほどと言われています。

今回は、そんなピアノの音色を十分に堪能できる作品の中から、「美しさ」にフォーカスした曲を選びました。

ピアノを演奏するのがお好きな方も、鑑賞するのがお好きな方も、繊細な音のひと粒ひと粒を味わいながら、ピアノの魅力に浸っていただけたら幸いです。

美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い(71〜80)

8つの小品 Op.84 第1番 カプリッチョGabriel Fauré

8つの小品 Op.84より1.カプリッチョ(フォーレ) 8 Pieces breves Op.84 “Capriccio” (Faure)
8つの小品 Op.84 第1番 カプリッチョGabriel Fauré

フランス声楽曲の繊細な美しさをピアノで表現した作品が、1902年にパリのニーデルメイエール音楽学校から公開された作品です。

曲の序盤には流れるような軽やかな旋律が印象的で、明るく心躍る音の流れが心を魅了します。

終盤に向かうにつれて和声の変化に富んだ展開が続き、フランス音楽ならではの洗練された響きを堪能できます。

本作はもともとパリ音楽院の視奏試験のために書かれた曲で、音楽理論をしっかりと学んだ上で作られた古典的形式美と独創性を感じられる1曲です。

フランス音楽の魅力に触れたい方や、優雅な雰囲気の中にも意外性のある和声進行を楽しみたい方におすすめの作品といえるでしょう。

ジュ・トゥ・ヴErik Satie

サティ「ジュ・トゥ・ヴ」 羽田健太郎
ジュ・トゥ・ヴErik Satie

ドビュッシーやラヴェルといった近代クラシックの作曲家たちに大きな影響を与えた、偉大なフランスの作曲家、エリック・サティ。

革新的な技法を積極的に取り組み、現代音楽にも多大な影響をもたらしています。

そんなエリック・サティの名曲といえば、こちらの『ジュ・トゥ・ヴ』を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?

いわゆるシャンソンと呼ばれるジャンルで、日本でも多くのCMやゲーム作品で使用されています。

りんとした雰囲気と淡さが見事に絡み合い、独特の美しさを表現していますね。

舟歌 第4番 変ホ長調 Op. 36Gabriel Fauré

穏やかに流れるような雰囲気の中に、温かな和声とフォーレ独自の旋律が絶妙に調和する美しい作品です。

1884年、フランスの出版社アメル社から公開された本作は、友人のメルシ=アルジャントー伯爵夫人に献呈されました。

鐘の響きを思わせる4度下降の音程が印象的で、静謐な雰囲気と抒情的な表現が見事に融合しています。

中間部では短調のエピソードが挿入され、穏やかな冒頭部分との対比が際立ちます。

演奏技術的にもゆったりとしたテンポで取り組みがしやすく、フォーレの世界観を楽しみながら練習できる一曲です。

フランス音楽の優雅さと繊細さに触れたい方におすすめの作品ですよ。

美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い(81〜90)

トロイメライRobert Schumann

トロイメライ/子供の情景7.Op.15/シューマン/Traumerai/Kinderszenen7,Op.15/Schumann/クラシック ピアノ/classic piano/CANACANA
トロイメライRobert Schumann

ヘ長調の4分の4拍子で紡がれる美しい夢見るような旋律は、聴く人の心を優しく包み込みます。

アルバム『Kinderszenen』の中から生まれたこの楽曲は、1839年2月にライプツィヒで出版され、映画『転校生』のオープニングとエンディングで使用された思い出が深い1曲です。

穏やかで透明感のある音色が心に染み入り、まるで子供の頃の純粋な感情や大人になってからの郷愁を呼び起こすかのよう。

本作は4小節の旋律が8回繰り返される中で、和声の変化や音域の広がりによって、夢の中での情景の移ろいを見事に描き出しています。

時に物憂げな表情を見せながらも、最後は温かな余韻を残して終わります。

ゆったりとした演奏時間ながら、深い感動を呼び起こす芸術性の高い作品なので、心静かに音楽に浸りたい方におすすめです。

グノシェンヌ第1番Erik Satie

悲しんでいたり悩んでいたりする時に聴きたい曲。

どうしようもないことで心がモヤモヤして、何も手がつかない。

その時にこの曲の旋律がすっと心に入ってきます。

いったん考えるのをやめて、ピアノに耳を傾けてみてください。

重い気分がすぐに変わるわけではないけど、マイナス思考のループにおちいらずにすみますよ。

この曲の淡々としたテンポが、がんじがらめになった思考をほぐしてくれるのです。

3つの演奏会用練習曲 第3番「ため息」Franz Liszt

ロマン派の巨匠フランツ・リストが1849年に作曲した『3つの演奏会用練習曲』。

そのなかの第3曲『ため息』は、甘美な旋律が流れるように歌われる名曲です。

リストといえば超絶技巧を連想しがちですが、本作からは繊細な感性と詩情豊かな音楽性が感じられます。

ピアノ1台で奏でられる優美な音色は、心を癒し、深い安らぎをもたらしてくれることでしょう。

ため息という名のとおり、リラックスして聴いてみてくださいね。

24の前奏曲 Op.28 第15番「雨だれ」Frederic Chopin

フレデリック・ショパンが29歳の頃に作曲した『24の前奏曲』。

そのなかの第15番、『雨だれのプレリュード』という名で有名な本作は、その名のとおり雨音のような断続的に連打されるA♭音が特徴的。

その音にのせて奏でられる穏やかな旋律は、聴く人の心を優しく包み込みます。

中間部では短調に転じ、不安げな雰囲気が漂いますが、最後は再び穏やかな表情を見せて静かに終わります。

静かな雨の日に聴きたくなる、心落ち着く1曲です。

ぜひ、ゆったりとした気分で楽しんでみてください。