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美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い

ピアノは、弾き手や表現方法によってさまざまな表情に変化する魅力的な楽器です。

繊細でいてダイナミックな優美さや、言葉には表せないような深みなど、その多彩な音色と豊かな響きは、ピアノ1台でオーケストラに匹敵するほどと言われています。

今回は、そんなピアノの音色を十分に堪能できる作品の中から、「美しさ」にフォーカスした曲を選びました。

ピアノを演奏するのがお好きな方も、鑑賞するのがお好きな方も、繊細な音のひと粒ひと粒を味わいながら、ピアノの魅力に浸っていただけたら幸いです。

美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い(91〜100)

春に寄すEdvard Grieg

グリーグ:抒情小品集 第3集 春に寄す,Op.43-6  pf. 関 晴子:Seki, Seiko
春に寄すEdvard Grieg

ピアノ曲集『抒情小曲集』に収められている、グリーグの作品の中で最もよく知られる名曲の一つ。

春の息吹と自然の美しい情景が目に浮かぶような情緒あふれる作品です。

グリーグがデンマークへ旅行中ホームシックになり、祖国ノルウェーの美しく雄大な自然をたたえるべく作曲したと言われています。

春の温かさを感じさせるような甘美な旋律をお楽しみください!

ラ・カンパネラFranz Liszt

長富彩 / ラ・カンパネラ ~パガニーニによる大練習曲 第3番
ラ・カンパネラFranz Liszt

鐘の音を模した繊細な旋律が印象的で、高音域での跳躍や装飾音が美しく響き渡ります。

1851年に改訂されたピアノ曲は、ロマン派音楽の真髄を感じさせる情熱的な表現力と、技巧的な演奏が特徴です。

フランツ・リストは、1831年にパガニーニの演奏に感銘を受け、ヴァイオリン協奏曲の主題をピアノ用に編曲。

映画やテレビ番組のBGMとしても度々使用され、多くの人々の心を魅了してきました。

本作は、静かな環境で集中して勉強したい方にオススメです。

鐘の音のような透明感のある音色は、心を落ち着かせながらも適度な緊張感を保ってくれるでしょう。

ジュ・トゥ・ヴErik Satie

サティ「ジュ・トゥ・ヴ」 羽田健太郎
ジュ・トゥ・ヴErik Satie

ドビュッシーやラヴェルといった近代クラシックの作曲家たちに大きな影響を与えた、偉大なフランスの作曲家、エリック・サティ。

革新的な技法を積極的に取り組み、現代音楽にも多大な影響をもたらしています。

そんなエリック・サティの名曲といえば、こちらの『ジュ・トゥ・ヴ』を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?

いわゆるシャンソンと呼ばれるジャンルで、日本でも多くのCMやゲーム作品で使用されています。

りんとした雰囲気と淡さが見事に絡み合い、独特の美しさを表現していますね。

夜のガスパール 第1曲「オンディーヌ」Maurice Ravel

フランスの文学に詳しい方であれば、この『夜のガスパール』というタイトルを目にして19世紀のフランスで生まれたルイ・ベルトランによる詩集を思い出すかもしれませんね。

本稿で取り上げているのはモーリス・ラヴェルによるピアノ独奏のための組曲で、実際にルイ・ベルトランの詩集に収録された3編に着想を得た同名の作品です。

全3曲ありますが、今回はそのなかの第1曲『オンディーヌ』を紹介します。

「オンディーヌ」とは四大精霊のうちの水をつかさどる精霊の名前で、日本人としては「ウンディーネ」という名称の方が馴染みがあるかもしれませんね。

ラヴェルによる水をテーマとしたピアノ曲といえば『水の戯れ』が思い浮かべられますが、こちらの『オンディーヌ』もぜひ知ってほしい作品です。

人間に恋したオンディーヌの物語を描いており、恋に破れた精霊のエモーションと激しい雨が降る様を、ラヴェルらしい高度な技術で表現した繊細かつドラマチックな逸品ですよ。

前奏曲集第1集「沈める寺」Claude Debussy

沈める寺「前奏曲集第1集」: ドビュッシー|Debussy : La cathédrale engloutie [Préludes Book 1]
前奏曲集第1集「沈める寺」Claude Debussy

神秘的な霧の中から浮かび上がる壮大な大聖堂を描いた印象的なピアノ曲です。

フランス・ブルターニュ地方に伝わる「イースの伝説」をモチーフに、1910年に作曲されました。

深い静寂から始まり、遠くから鐘の音が響き、荘厳な聖歌が聞こえてくるような幻想的な情景が、豊かな音色で表現されています。

本作の魅力は、優しい響きの中にも力強さを併せ持つ和音の重なりと、自然な流れを感じさせる音の移ろいにあります。

音楽を通して絵画のような世界を描くクロード・ドビュッシーならではの作品で、和音の響きを大切にしながら、ゆったりとしたテンポで演奏できる曲です。

物語性豊かな音楽に触れてみたい方や、音の重なりの美しさを味わいたい方におすすめです。

無言歌集 第7巻 Op.85 第4曲「エレジー」Felix Mendelssohn

こちらの『エレジー』は、メンデルスゾーンが亡くなった後に遺作として出版された『無言歌集 第7巻 作品85』の4曲目にあたる作品です。

難易度としては同じ『無言歌集』の中でも特に有名な『春の歌』と同程度、まったくの初心者には厳しいレベルではありますが、基本的なテクニックを学んだ方であれば十分対応できるでしょう。

この楽曲で特徴的な、装飾音的な16分音符は主旋律と同じ強さで弾くのではなくあくまで伴奏として静かに、かつ表情をつけながら弾くことが非常に重要です。

臨時記号もそれなりの頻度で出てきますから、譜読みを完ぺきにした上でゆっくりと丁寧に練習してみてくださいね。

無言歌集 第2巻 Op.30 第3曲「慰め」Felix Mendelssohn

Mendelssohn : Lieder ohne Worte Op.30 “Consolation” Op.30-3 / メンデルスゾーン:無言歌集より “慰め” Op.30-3
無言歌集 第2巻 Op.30 第3曲「慰め」Felix Mendelssohn

比較的難易度が低く、子どもの練習用の教材としても使われる『無言歌集』ですが、全48曲の中で多少難易度も変わってきます。

こちらの『第2巻 作品30 慰め』はおそらく最も難易度が低い部類の楽曲ですから、初めて『無言歌集』に取り組むにはもってこいの作品と言えそうですね。

複雑な構造の楽曲ではありませんが、スラーや強弱記号はしっかり意識して弾いてみてください。

落ち着いてゆっくりとしたテンポながらあまり遅くなりすぎず、場面場面でしっかり表情をつけてあげることで楽曲の上品な美しさが表現できるようになりますよ。