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美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い

ピアノは、弾き手や表現方法によってさまざまな表情に変化する魅力的な楽器です。

繊細でいてダイナミックな優美さや、言葉には表せないような深みなど、その多彩な音色と豊かな響きは、ピアノ1台でオーケストラに匹敵するほどと言われています。

今回は、そんなピアノの音色を十分に堪能できる作品の中から、「美しさ」にフォーカスした曲を選びました。

ピアノを演奏するのがお好きな方も、鑑賞するのがお好きな方も、繊細な音のひと粒ひと粒を味わいながら、ピアノの魅力に浸っていただけたら幸いです。

美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い(41〜50)

無言歌集 第4巻 Op.53 第1曲 海辺でFelix Mendelssohn

Barenboim plays Mendelssohn Songs Without Words Op.53 no.1 in A flat Major
無言歌集 第4巻 Op.53 第1曲 海辺でFelix Mendelssohn

穏やかな波のうねりと海風のさざめきを思わせる、静かで詩情が豊かなピアノ曲です。

変イ長調で書かれた本作は、1841年にアルバム『無言歌集』第4巻の1曲目として公開された作品です。

透明感のある和音の響きと美しい旋律が織りなす優美な音の世界は、海辺の風景を目の前に広がるかのように感じさせてくれます。

シンプルながらも繊細な表現力が求められる作品ですが、ゆっくりと丁寧に練習を重ねることで、確実に演奏できるようになれます。

リラックスした雰囲気の中で練習したい方や、表現力を磨きたい方にぴったりの一曲といえるでしょう。

美しすぎるクラシックピアノの名曲。心洗われる繊細な音色の集い(51〜60)

ピアノ・ソナタ「1905年10月1日の街角で」Leoš Janaček

L.ヤナーチェク/ピアノ・ソナタ「1905年10月1日の街角で」 第1楽章
ピアノ・ソナタ「1905年10月1日の街角で」Leoš Janaček

ヤナーチェクは、とても珍しいチェコ出身の作曲家です。

この曲が持つメランコリックというよりは一種の虚無感にすら近い雰囲気は、当時怒ったデモと軍隊が衝突した事件に対する彼の怒りが表れているように感じられます。

舟歌 嬰ヘ長調 Op.60Frederic Chopin

【10 minutes concert】第5回 ピアノ:藤田 真央 ショパン/舟歌 Op.60 CT6 嬰ヘ長調
舟歌 嬰ヘ長調 Op.60Frederic Chopin

「舟歌」とはヴェネツィアのゴンドラで歌われる舟唄を模した楽曲であり、たとえばメンデルスゾーンによる『無言歌集』に収められた『ヴェネツィアのゴンドラの歌』などが有名ですね。

多くの著名なクラシック音楽作曲家がそれぞれの『舟歌』を残していますが、こちらのフレデリック・ショパンによる『舟歌』も非常に有名でショパンの晩年に作曲されたピアノ独奏曲です。

舟歌の特徴といえばゆったりとした8分の6拍子ですが、ショパンの『舟歌』は4拍子系の8分の12拍子であり、3部形式で9分以上に及ぶ大作なのですね。

同じ嬰ヘ長調で書かれた『夜想曲第5番』と近しい雰囲気も感じ取れ、ゴンドラの不規則な動きを表現したかのような左手の特徴的な伴奏と、時に繊細に時に情熱的な右手の旋律はとても美しいものですが、同時に晩年のショパンがどのような思いでこの曲を作ったのかを想像させるドラマ性に思わず心を奪われることでしょう。

エチュード第13番変イ長調Op.25-1「エオリアンハープ」Frederic Chopin

ショパン – エチュードOp.25-1「エオリアンハープ」Chopin:Etude Op.25 No.1 “Aeolian Harp” – クラシックピアノ- CANACANA
エチュード第13番変イ長調Op.25-1「エオリアンハープ」Frederic Chopin

春の息吹を感じさせるこの曲は、流麗なアルペジオの連続が特徴的です。

右手が奏でる絶え間ない音の流れは、まるで風に揺れるハープの音色のよう。

その中に左手で紡がれる繊細な旋律が織り込まれ、牧歌的な風景を思い起こさせます。

1836年から1837年にかけて作曲されたこの作品は、技術的な練習曲でありながら、深い音楽的表現を追求しています。

演奏時間は約2分30秒ですが、その短い時間に芸術性と技巧が凝縮されています。

ピアノ学習者はもちろん、美しい音楽に心を癒されたい方にもおすすめの1曲です。

ノクターン 第19番Op.72-1 ホ短調「遺作」Frederic Chopin

1827年頃、わずか17歳で作曲されたとは思えないほど深い哀愁を湛えた夜想曲です。

左手の絶え間なく続く三連符のアルペジオが心の揺らぎを表現し、その上に乗る右手の素朴で物悲しい旋律が、胸の内に秘めた想いを静かに語りかけます。

本作はホ短調で始まりながら、最後は温かい長調で静かに終わる構成が特徴的で、涙のあとの穏やかな安らぎを感じさせます。

ドラマ『Fringe』でも使用されました。

感傷的な夜に一人でじっくり向き合いたい、そんな気分に寄り添ってくれる一曲です。

練習曲 Op.2-1Alexander Scriabin

Horowitz – Scriabin: Etude for piano in C# minor, Op. 2 no. 1
練習曲 Op.2-1Alexander Scriabin

独特の世界観を持ったスクリャービンの音楽は、ショパンの影響を強く受けています。

その要素が特に際立っているのがこの作品で、ほの暗い情熱を音楽に閉じ込めたような印象を受けます。

スクリャービンの入門にも最適な難易度のため、演奏機会は多いです。

24の前奏曲 Op.28 第15番「雨だれ」Frederic Chopin

フレデリック・ショパンが29歳の頃に作曲した『24の前奏曲』。

そのなかの第15番、『雨だれのプレリュード』という名で有名な本作は、その名のとおり雨音のような断続的に連打されるA♭音が特徴的。

その音にのせて奏でられる穏やかな旋律は、聴く人の心を優しく包み込みます。

中間部では短調に転じ、不安げな雰囲気が漂いますが、最後は再び穏やかな表情を見せて静かに終わります。

静かな雨の日に聴きたくなる、心落ち着く1曲です。

ぜひ、ゆったりとした気分で楽しんでみてください。