今話題のアナログシンセサイザー14選
不安定な音色や、取り扱いの不自由さがこれまでに目立ってきたアナログシンセサイザーですが、ここに来て不便さの先に手に入る独特のサウンドに再び評価が高まっています。
PCM音源、物理モデリング、FM音源など、いろんな種類の音源方式がありますが、ここでは話題性のあるアナログシンセ(モジュラーシンセを除く)をピックアップし、特徴を挙げていこうと思います。
まず知っておきたい。
シンセサイザーでよく出てくる用語解説
オシレーター
音色の波形を作り込む機能を指します。
その起源は、アナログシンセサイザーの基本波形を作る発振器、VCO(Voltage Controlled Oscillator) の事をオシレーターと言っていたことに由来します。
基本波形は、ノコギリ波、パルス波、三角波、サイン波などのシンプルな波で、その波形の形をオリジナルに作り出すこともできます。
シンセボイス
シンセサイザーの同時発音数を表します。
例えば32ボイスと言えば、同時に32音までが出力が可能である事を示しています。
後述のポリフォニックやモノフォニックと同意であるとお考えください。
アルペジエーター
鍵盤で和音を弾くだけで連続的なアルペジオを演奏する事ができる機能を指します。
アルペジオのパターンは選択可能となっている事が多く、上昇、または下降方向に順次発音するのが基本で、上昇/下降を往復したりさらに複雑なパターンが選択、あるいは組み立てられるようになっているものも機材によっては準備されています。
フィルター
VCOで作られた音は次にVCF(Voltage-controlled filter)へ送ります。
フィルターという名称で呼ばれることが多いです。
主に「音色」の調整を行います。
アナログシンセサイザーでは倍音を「増やす」という概念はほとんどありません。
引き算的方法で音づくりを進めていきます。
いくつか種類があり、LPF(ローパスフィルター)、BPF(バンドパスフィルター)、HPF(ハイパスフィルター)などの減算方式があります。
ポリフォニック
シンセサイザーの場合は、同時に出せる音の数には制限が付いていることが多く、その音数を超える演奏情報を入れると、発音されないことがあります。
ポリフォニックは一つの音色について同時に複数の音が出せるかどうかであり、複数の音色を同時に出せる事をマルチティンバーとも呼ぶことがあります。
モノフォニック
楽器、シンセサイザーに関してモノフォニックというのは、一つしか音が出ず、和音を発音できません。
これに対して和音を出せる事を前述した「ポリフォニック」と言います。
初期のアナログシンセサイザーのほとんどが、モノフォニックでした。
最近のシンセサイザーはモノフォニック仕様である事はまれで、大抵の場合はモノフォニックのモードが準備されています。
つまり「ポリ/モノ」というような表記で切換が行えるようになっています。
リードやベースなどのパートで使用される事が多く、特にポルタメントをかける場合はモノフォニックでないとぎこちない音色になることも。
MIDI
「Music Instruments Digital Interface」の略であり、電子楽器間を接続し情報を共有する規格です。
ハードウェアの背面にコネクタを設け、ケーブルを介すことで、機材同士の設定などを同期させることができます。
例えば、ドラムマシーンとシンセサイザーをMIDIケーブルで接続し、テンポ情報を同期させたり、オーディオインターフェースと接続することで、パソコンにデータを送ることができます。
最近ではUSBがMIDIの役割を代換するようになりましたが、今なおビンテージ機材と互換性のないMIDIは世界中のスタジオやステージで活躍しています。
参考:MIDIが良く分かる。
バンドマンのためのDTMの基礎知識
触れてみよう!
まずはコスパの良いエントリーモデル
KORG(コルグ)|minilogue
主な仕様:アナログ・ポリフォニック/4ボイス/37鍵
価格相場:49,800円〜
暖かく、美しい……。
スタイリッシュなボディからは想像できないアナログサウンドを奏でます。
クラシックなサウンドに寄せることもできますし、今っぽい音色の作り込みも可能です。
価格もリーズナブルで、コストパーフォーマンスに優れていますので、入門機として一番オススメしたい製品です。
ARTURIA(アートリア)|MiniBrute
主な仕様:アナログ・モノフォニック/25鍵
価格相場:39,800円~
シンセサイザーは構造が複雑なので、思うようにコントロールできず、モチベーションが下がってしまうことがあります。
初心者の方はなおさらです……。
このシンセサイザーは極端に構造をシンプルにして、音作りの面白さに特化した製品です。
ゴージャスなサウンドではありませんが、これぞアナログシンセと言わんばかりの音色です。
アナログシンセの音作りを勉強したい初心者の方々にオススメです。
美意識高め!
シンセ女子のスタジオにもなじむ逸品
KORG(コルグ)|microKORG S
主な仕様:アナログ・モデリング・ポリフォニック/4ボイス/37鍵
価格相場:36,800円〜
厳密には、アナログシンセとは呼べません。
こちらはアナログサウンドをデジタルでシミュレーションしたシンセサイザーになります。
幅広い音色や重厚な音作りにはあまり向いていませんが、シンセサイザーサウンドを手軽に楽しむなら、ぜひオススメしたい製品です。
また、スピーカーを内蔵しているため、接続がいりません。
スタイリッシュなデザインがインテリアにも映えそうですね。
これなら女子ウケもよさそうです。
間違いなくシンセサイザーの中で最もかわいいです。
KORG(コルグ)|MS-20 mini-WM(White Monotone)
主な仕様:アナログ・モノフォニック/37鍵
価格相場:39,744円〜
あの名機を現代風に復刻!
サウンドはそのまま、クールさとスマートさを兼ね備えたトレンドセッターに。
MS-20といえば、強烈なサウンドで一世を風靡(ふうび)したシンセサイザーですが、見た目も音とよく似て無骨で、なかなかウケる層が極端でした。
今回新たにリリースされた、ニューカラーは白を基調とし女子でも手に取れる雰囲気に仕上がっています。
欲を言うと、サイドが木枠で仕上げてあれば完璧だったのですが……。
やはり、パッチングに興味のある人はオススメです!
この手のシンセは時が過ぎるのを忘れ音作りに没頭できるタイプです。
ライブセットの即戦力!
DJ機器との相性も◎
Pioneer DJ(パイオニア)|TORAIZ AS-1
主な仕様:アナログ・モノフォニック/13鍵
価格相場:59,400円~
Dave Smith Instruments社のprophet 6をベースにPionner DJから発売されたアナログシンセサイザーです。
DJ機器メーカーからのリリースに驚いた人も多いのではないでしょうか?
一番期待できるのは「直感的」であることです。
ダンスミュージックの作曲には最も必要な要素かもしれません。
Ableton Live、KAOSS PADなどがそれを証明してくれました。
今後ダンスミュージックに特化した制作を行いたい人にオススメします。
より簡単に、まるで踊りながら作曲できるツールです。
制作で大活躍!
たくさんの顔を持つ万能選手
BEHRINGER(ベリンガー)|DeepMind 12
主な仕様:アナログ・ポリフォニック/12ボイス/49鍵
価格相場:127,440円~
過去に当サイトでも、特集した話題になっている新製品です。
詳しい内容はこちらの記事をごらんになってください。
ベリンガーのアナログシンセサイザーDeepMind 12ってどうなの?
あらゆる音作りに対応した設計になっているので、使い方に正解がほとんどなく初心者の方は少し戸惑ってしまうかもしれません……。
中級者〜上級者向けのハイスペックな機材と言えるでしょう。
やはり、シンセサイザーを使っていろんなことがしたい人にオススメですね!
MOOG(モーグ)|Sub 37
主な仕様:アナログ・ポリフォニック/2ボイス/37鍵
価格相場:139,990円〜
非常にわかりやすいプロモーションですね!
Sub37はあらゆる音作りに対応しています。
それでいて強烈なオリジナリティを保っているところを見ると、やはりMoogブランドは別格だなぁと感じさせられます。
フラッグシップ機として常に世界中のスタジオやステージでそのサウンドを響かせています。
ハイスペックですが、決して高い値段ではありません。
Moogサウンドを取り入れたいプロデューサーの方々は、お近くの販売店で触れてみてください。
ELEKTRON(エレクトロン)|Analog KEYS
主な仕様:アナログ・ポリフォニック/4ボイス/37鍵
価格相場:139,990円〜
ELEKTRONはダンスミュージックのプロデューサーにはよく知られたブランドですが、周りを見ていると、バンド方面クリエイターの制作にはあまり知られていません。
だからこそ、そんな方々に狙い目の製品だと思います。
個人的には、音で魅せるインストバンド、中でもアブストラクトな雰囲気を持った音楽を発信する人たちに注目されて欲しいです。
この製品はステージのライブでも対応しやすい設計になっていますので、ぜひ一度触れてみてください。
きっと洗練されたアナログサウンドに魅せられると思います!
渋さで勝負!
人と差をつけるならコレで決まり!
ROLAND(ローランド)|SE-02
主な仕様:アナログ・モノフォニック/テーブルトップ・タイプ
価格相場:64,800円〜
Studio Electronics社とのダブルネームによって実現した、Rolandが贈る今までにない硬派なシンセサイザー。
モノフォニック、鍵盤なしとかなりシンプルな設計です。
1ボイス、フルアナログ回路が織り成す、暖かなサウンドと太いサウンドが魅力です。
RolandのButiqueシリーズからの100%アナログはこれが初めてでしょうか?
渋い魅力を取り入れたい人にオススメです!
Doepfer(ドエプファー)|Dark Energy II
主な仕様:アナログ・モノフォニック/テーブルトップ・タイプ
価格相場:64,584円〜
ドイツの老舗シンセサイザーブランドが贈るテーブルトップタイプのシンセサイザーです。
これもまた、シンプルで奥が深い設計です。
豊かな音色が、ほんのわずかな変化も鮮やかに発音します。
テーブルトップタイプ最大の魅力ですね。
小さなサイズのため、コストも抑え目です。
MIDIキーボードにつなげることで自在に音階を演奏できるようになります。
また、USBを経由してパソコンとの接続も可能です。
MOOG(モーグ)|Minitaur
主な仕様:アナログ・モノフォニック/テーブルトップ・タイプ
価格相場:68,904円 〜
非常にシンプルな設計です!
ベースパートのみをアナログで補いたい方はこちらを検討してみてください。
アナログ特有の太さをパソコンで再現できますが、慣れないと手間がかかってしまいます。
そういった意味では、初心者から上級者まで幅広い層にオススメできる製品です。
アナログシンセに興味がある、制作を始めたばかりの人は、ぜひチェックしてみてください。
いい音は歴史を作る!
伝説のサウンド!
MOOG|Minimoog Model D
主な仕様:アナログ・モノフォニック/44鍵
価格相場:422,280円〜
みんなが憧れるあのMiniMoogが今年復活しました。
もはやこれを手にいれる日本人は果たして何人いるのか?
という次元の製品になってきますが、最も注目されているとってもいいはずなのでピックアップしました。
たくさんのシンセサイザーが本製品のツヤのあるベースの音を模倣しています。
これがシンセサイザー界の生きる伝説です。
Dave Smith Instruments(デイブスミスインストゥルメント)|OB-6
主な仕様:アナログ・ポリフォニック/6ボイス/49鍵
価格相場:428,760円〜
こちらも伝説、Oberheim(オーバハイム)のOBになります。
コード系のウワモノなりが有名で、これもまたたくさんのメーカーが模倣しています。
知らなかった人は存在だけでも覚えていってくださいね。
Dave Smith Instruments(デイブスミスインストゥルメント)|Prophet 6
主な仕様:アナログ・ポリフォニック/6ボイス/49鍵
価格相場:397,440円〜
最後の伝説はProphet 6です。
鋭いリードが一斉を風靡(ふうび)しました。
今も、数々の楽曲でその音を模したサウンドを聞くことができます。
このシンセサイザーを弾いた人誰もが言うのは音がすごくキレイだということです。
機会があれば、ぜひそのサウンドを聞いてくださいね。
最後に
このページを見ている方々は今後シンセサイザーの購入を考えている方々だと思います。
用途によって、シンセサイザーにも向き不向きがあります。
ですが、これだけは言えるのが、初心者がシンセサイザーを買うなら、憧れのアーティストが使っているモノと同じモデルを買うべきということです。
ギターやベースと同じ発想だと思います。
入り口はその考えで大丈夫です。
憧れは愛着へと変わり、制作のモチベーションへと昇華されていくからです。
アナログシンセサイザーはあなたの制作意欲に火をつけることでしょう。