ドラム打ち込みのコツ。ゴーストノートの入れ方
前回の続きです。
ゴーストノートとは「強拍と強拍の間に入る聞こえるか聞こえないかの小さい音」まさに積み重ねられる微妙なニュアンスです。
ほとんど聴こえない小さな音でもビートの中で決定的に大事な存在であったりします。
このゴーストノートを打ち込みで表現するためにはどうしたらいいのでしょうか?
もくじ
はじめに
ゴーストノートと16ビート
ゴーストノートはすべて裏拍に入るため、16ビートにこそその重要性があります。
ゴーストノートを使いこなせれば、8分音符を主に構成される8ビートであっても十分に16ビートらしく聴かせることが可能です。
というわけでここでは少しハネた16ビートで、各パート(スネア・ハイハット・キック)ごとにその入れ方のコツを紹介していきます。
設定と基本パターン
以後の記載は以下の設定・基本パターンをもとに進めます。
- すべて右利き(右手ハイハット、左手スネア、右足キック、左足ペダルハイハット)の奏者の想定です
- 今回はBPM96。
16分の3連符マップを使用し、3連の真ん中を消すことでハネさせます
- 基本パターンはこれ↓ハイハットは裏拍にアクセントを置いています。
ここにゴーストを足していきます
- 基本パターンのMIDIノート↓ここに少しずつノートを足して作っていきます
スネア
イメージ
スネアのゴーストノートは「自由な左手が自然に動いて出てくるものであり、身体全体でノリを出す中で自然発生的に出てくるもの」です。
ハイハットを刻み続ける右手に比べ、2拍目と4拍目しかスネアを叩かない左手は圧倒的に自由。
スネアのゴーストノートが「自然発生的」なのは自由な左手が「貧乏ゆすり」のごとく自然に動くからと言えましょう。
打ち込み方
ゴーストノートに使うサンプルは他とは違うものを使用する。
できれば強拍に使っている音色より軽い音を使う。
ベロシティはかなり低めに設定。
ハイハットとは同時に鳴らさない。
ロールやフラム(スネアの上にスティックを転がしてゴロゴロ鳴らす奏法…笑)を上手に使うと良い。
特にキックにつなげる形で使うと効果的。
↓こんなかんじです。
スネアのゴーストの例外
↓スネアが強烈に裏拍を打つ場合もありますが、これはゴーストノートと分けて考えましょう。
演者が「叩こう」と思って意識しないとこの音量は出ませんから。
ハイハット
イメージ
スネアのゴーストノートが自然発生的に出てくるものであるのに対し、ハイハットのゴーストノートは「意図的に鳴らそうとしない限り出てこないもの」と言えましょう。
これはスネアに比べハイハットはスティックの跳ね返りが強く、弱い音でも鳴らそう意識しないと鳴らないためです。
ハイハットのゴーストノートを打ち込む時は「ドラマーさんがんばって!」の気持ちをぜひ忘れないで頂きたい。
例えばテンポが上がるとゴーストノートを入れるのはしんどくなったりします。
奏法から考える
ハイハットのゴーストノートには
- 右手のアップダウン奏法
- 腕をクロスさせずに左手でもハイハットを叩く奏法
のざっくり2種類があります。
ドラム未経験者には分かりにくいと思うので参考動画を見ましょう。
前者がこれ↓
後者がこれ↓この方の動画大変分かりよい。
要は裏拍を右手で鳴らすか左手で鳴らすかの違いです。
前者であれば右手だけで入れられますので、フレーズのどこでも入れることができますが、後者であればスネアの位置次第で鳴らすのが難しい場合もあります。
また前者ではその奏法の性質上、裏拍となるゴーストノートはチップ(スティックの先でトップシンバルだけ叩く)の音にする方が自然。
後者では左手と右手で交互に鳴らすので音色は同じようなものの方が自然です。
打ち込みのコツ
- スネアと同時には鳴らさない。
- ベロシティは低めに。
- 前者の奏法(右手のアップダウン)ならば、裏拍にはチップの音、もしくはそれに類する軽い音を。
- 後者の奏法(左手でハイハットを叩く)ならばゴーストノートも右手と同じような音色で、ただし
- 音は詰め込みすぎないこと。
アップダウンでゴーストを入れたもの↓
左手でもハイハットを叩いているもの↓同じ音色でベロシティだけ変えています。
キック(バスドラム)
キックにはゴーストノートなるものは存在しません。
あるのはゴーストノートではなく、
しっかり意図的に踏み込んだ裏拍(16分音符)キックを16分音符で2連続で鳴らすダブルという奏法
のみです。
ペダルで踏むので「踏むぜ!」と思わない限り鳴りません。
この辺はハイハットと同じです。
キックはゴーストがどうのこうのよりも、その位置の方が圧倒的に重要です。
これについては別記事で書いています。
バスドラムのダブルについて
まずは実際の叩き方から↓
バスドラムのダブルの最大の特徴は2打の音量の違いです。
1打目はつま先で踏んでビーター(バスドラムのヘッドに当たっている部分)を跳ね返らせるため、アタックが少しだけ弱くなります。
言ってしまえば特徴はそれくらい。
ベロシティで調整すればOKですね。
こんなかんじ↓
MIDIはこうなります。
一番下の紫のノートがそれです。
組み合わせる
全部をバランス良く組み合わせること。
これが一番大事です。
やっと生ドラムらしくなってきました!
こんなかんじ↓
MIDIノートはこうなります↓
以上、ゴーストノートについてのお話でした!
- ドラム経験者によるドラム打ち込みの解説。
まず必要性を考える
- ドラム打ち込みのコツ。
グルーブの支配者を理解しよう!
- ドラム打ち込みのコツ。
アクセントのコントロール方法
- ドラム打ち込みのコツ。
ゴーストノートの入れ方
- ドラム打ち込みのコツ。
キックの位置の重要性
- ドラム打ち込みのコツ。
ランダマイズの考え方
- ドラム打ち込みのコツ。
フィルインの組み立て方
- ドラム打ち込みのコツ。
パーカッションによる補強
- ジャズドラムの打ち込みのコツ
ライタープロフィール
作曲家・ギタリスト
odasis
サウンドクリエイター・ギタリスト。
・島村楽器「録れコン2017」グランプリ。
・島村楽器「録れコン2015」ベストプレイ賞。
・クレオフーガ「ラフ・ダイアモンドVOL.2」入賞。
ウェブサイト:http://odasis.net
Twitter:odasis