ドラム打ち込みのコツ。ランダマイズの考え方
これまでに
を解説してきましたが、続いてはDTM界隈(かいわい)でよく聞くランダマイズ。
今回はその概要と接し方についての記事です。
ランダマイズとは
人間が弾く楽器の音は正確なようで正確ではありません。
ピッチしかりタイミングしかり音色しかり。
一方でコンピューターは正確に発音できるわけですが、正確に音を発することができたとて、それが音楽的であるとは限りません。
人間による微妙なズレが心地よいグルーヴになるわけですが、それが判明したのはつい最近のこと。
そう!
コンピューターが音楽制作の中核に構えるようになって初めて、人間の演奏が出す微妙なズレの重要性が相対的に認識されるようになったのです。
生っぽく打ち込むコツで「できるだけ生の楽器に触ってみよう」と叫ばれる理由もここにあります。
ドラムにおけるランダマイズ
DTMにおけるランダマイズとは
ピッチ、タイミング、音の強さ(狭義にはベロシティ)などをランダムにズラすことで、機械の演奏に人間らしさを持たせるための処理、を意味します。
しかし!
一部のジャンル(ジャズなど)を除きドラムにランダマイズは必要ないとodasisは考えています。
もっと正確に言うならばランダマイズさせて良い部分とさせてはいけない部分があると言ったところです。
理由は簡単!
ドラマーは均一に叩ける方が優秀だから。
これに尽きます。
コンピューターと対比されることで見失いがちですが、ドラマーは正確さを目指して努力します。
できればみんなコンピューターになりたいのです。
「コンピューターみたく正確になりたいけれどもなれない……」
ドラマーの端くれとして自分より圧倒的に上手に叩けるコンピューターに嫉妬心すら持ちながらも、やってもよいことといけないこと(望ましくないこと)を簡単に整理しました。
やってはいけないこと
ランダマイズさせてはいけないのは(させるのが望ましくないのは)
- 2拍目と4拍目(強拍)のスネア
- キック
ドラマーはスネアの音色を均一に保つために多大な神経を使います。
スネアの音が毎回違うようでは共演者も不安になりますし、上級者であればあるほどスネアの音は毎回同じ音です。
キックは言わずもがな。
録音後のキックに施す処理の半分くらいはタッチのムラを是正するものです。
何回でも同じ音が出せるスーパーマンの想定で胸を張って打ち込みましょう。
(ダブルなどの特殊な奏法やジャズドラムは除く)
やってもよいこと
- ハイハット(ライド)のランダマイズ
- スネアのゴーストノートのランダマイズ
ハイハットはドラマーが一番多く叩く楽器です。
スティックを当てる位置で音色も大きく変わり、均等に鳴らし続けるのが難しい楽器ゆえ、ランダマイズの余地も他に比べて大きい。
ただし、ランダマイズでザクッと処理する前に手で処理を加える方が良いことが多いです。
ランダマイズが不要と断言するのもアクセントを含めた手処理で十分だと考えるからですね。
またランダマイズを行う場合もアクセントが崩れない程度に留めることが重要です。
スネアのゴーストノートはノリの中で自然に出てくるという性質があるため当然ながらムラがあります。
まとめ
- 「人間味を持たせる=ランダマイズ」といった短絡的な発想はしないこと。
あくまでひとつの選択肢であって万能薬として捉えるのは非常に危険
- ドラマーは正確に叩けるほど優秀。
ゆえにドラムにはランダマイズは基本的に不要
- ランダマイズさせるときもやってもよい部分といけない部分を頭においておくこと。
そしてランダマイズの前に手修正で対応できないか考えること。
ランダマイズは手処理の補助として使おう
- ドラム経験者によるドラム打ち込みの解説。
まず必要性を考える
- ドラム打ち込みのコツ。
グルーブの支配者を理解しよう!
- ドラム打ち込みのコツ。
アクセントのコントロール方法
- ドラム打ち込みのコツ。
ゴーストノートの入れ方
- ドラム打ち込みのコツ。
キックの位置の重要性
- ドラム打ち込みのコツ。
ランダマイズの考え方
- ドラム打ち込みのコツ。
フィルインの組み立て方
- ドラム打ち込みのコツ。
パーカッションによる補強
- ジャズドラムの打ち込みのコツ
ライタープロフィール
作曲家・ギタリスト
odasis
サウンドクリエイター・ギタリスト。
・島村楽器「録れコン2017」グランプリ。
・島村楽器「録れコン2015」ベストプレイ賞。
・クレオフーガ「ラフ・ダイアモンドVOL.2」入賞。
ウェブサイト:http://odasis.net
Twitter:odasis