魅惑の変拍子。奇数拍子や複雑なリズムを持つ不思議な音楽
突然ですが、皆さんは「変拍子」という音楽用語をご存じでしょうか。
音楽の授業で4拍子などの概念は学んだことがあるという方はいらっしゃるとは思いますが、一般的な4拍子や3拍子とは違い5拍子や7拍子など変則的な拍子が使われていたり、一つの楽曲にいくつかの違う拍子が含まれていたりすることも含めて「変拍子」と呼ばれるのですね。
何となくマニアックなイメージもあるかもしれませんが、実は皆さんが耳にしているポップスやアニソンなどに変拍子が採用されている場合もあるのですよ。
こちらの記事では、そんな不思議な魅力のある変拍子が使われている楽曲をジャンルを問わずまとめてご紹介。
ぜひ、曲を聴きながらカウントしてみてくださいね!
魅惑の変拍子。奇数拍子や複雑なリズムを持つ不思議な音楽(1〜10)
世界五分後神話有形ランペイジ

哲学的な仮説を音楽として昇華させた、複雑な変拍子が織り成す圧巻のプログレッシブロックです!
sasakure.UKさんが主導する有形ランペイジによる『世界五分後神話』は、前作『世界五分前仮説』の続編として位置づけられ、時間や存在についての深遠なテーマを5拍子や7拍子といった奇数拍子で表現した意欲作となっています。
2019年12月にリリースされたアルバム『ODYSSEY』収録のこの楽曲では、イントロから17/8拍子や16/8拍子などの複雑なリズムパターンが展開され、サビでは一転して4拍子の安定感を提示するなど、めまぐるしい拍子変化が楽曲のドラマ性を高めています。
音楽ゲーム『ノスタルジア Op.3』や『GITADORA FUZZ-UP』にも収録され、プログレッシブロックやフュージョンが好きな方、変拍子の魅力を体感したい方にぜひおすすめしたい傑作ですね!
みなしごのバラード新田洋

孤児として生きる主人公の心境を3拍子から4拍子への転拍子で表現した、アニメソング史に残る名作バラードです。
前半の3拍子では孤独や悲しみをワルツのリズムで切なく歌い上げ、サビで4拍子に転じることで希望への決意を力強く響かせる構成が秀逸ですね。
1970年にテレビアニメ『タイガーマスク』のエンディングテーマとして新田洋さんが歌唱、250万枚のヒットを記録したオープニングテーマとは対照的な哀愁漂う楽曲として話題を集めました。
変拍子という珍しい手法で物語性を演出したこの作品は、孤独を抱えながらも他者への愛を忘れない人の心に深く響くことでしょう。
シャングリラチャットモンチー

通常の4拍子に5拍子が織り交ぜられた独特のリズムパターンを持つこの楽曲は、高橋久美子さんの文学的な歌詞と橋本絵莉子さんによる印象的なメロディが見事に融合した傑作です。
携帯電話を川に落とすという現代的なエピソードから始まり、理想郷を表すタイトルが恋人の名前として使われるという独創的な発想が光ります。
サビ前やサビ中に挿入される変拍子は主人公の心の揺れや葛藤を巧みに表現しており、単なる技法を超えた感情的な演出として機能していますね。
2006年11月にリリースされたこの3枚目のシングルは、フジテレビ系アニメ『働きマン』のエンディングテーマに起用され、オリコン週間チャートで最高6位を記録しました。
恋愛関係の不安定さや自己肯定感に悩む方、また変拍子の魅力を体感したい音楽好きにぜひ聴いていただきたい一曲です。
絶対運命黙示録J.Aシーザー

変則的なリズムと荘厳な合唱が織りなす神秘的な世界観は、聴く者を圧倒する独特の魅力を持っています。
3/4、4/4、5/4、5/8、3/8といった多彩な拍子が頻繁に切り替わることで、不安定で幻惑的な雰囲気が醸し出され、まさに前衛音楽の真骨頂と言えるでしょう。
もともと演劇実験室「万有引力」の舞台『カスパー・ハウザー 一人間の謎への序章、あるいはわたしのモーシエのために一』のために作曲された本作は、1997年に放送されたテレビアニメ『少女革命ウテナ』の決闘シーンで使用されて広く知られるようになりました。
プログレッシブ・ロックやクラシック音楽に興味のある方、また従来のアニメソングとは一線を画した作品を求める方には特におすすめの楽曲です。
5/4Gorillaz

今となっては、バーチャルアーティストの先駆け的な存在として語り継がれるGorillazによるデビューアルバム『Gorillaz』収録の実験的楽曲。
2001年3月に発売された本作は、タイトルが示す通り5/4拍子のギターリフを軸としながら、ドラムは4/4拍子で進行するというポリリズム構造が最大の特徴です。
ギターとドラムが異なる周期でリズムを刻むことで生まれる独特の緊張感とスリルは、まさに変拍子の醍醐味を存分に味わえる仕上がりですね!
当初はシングル候補にも挙がったものの、その攻めた姿勢ゆえに商業的リリースは見送られましたが、ファンの間では初期の名曲として高い評価を獲得。
変拍子を使った楽曲のアレンジを勉強したい、というミュージシャン志望の方もぜひチェックしてみてください!
RememberDisturbed

過去の記憶と現在の感情の狭間で揺れ動く心境を、複雑な変拍子によって見事に表現した名曲です。
Disturbedが2002年にリリースしたアルバム『Believe』に収録された本作は、4/4拍子から5/4拍子、6/4拍子へと不規則に変化するヴァース部分が印象的で、記憶の断片的な性質やどこか落ち着かない心理状態をリズムで巧みに演出しています。
デイヴィッド・ドレイマンさんの内省的なボーカルと変拍子が織りなす緊張感は、過去のトラウマから解放されたい気持ちを切実に伝えてくれますね。
全米ビルボード・メインストリーム・ロック・チャートで6位を記録した本作は、特別なタイアップはありませんが、バンドの音楽的成熟を象徴する重要な楽曲として位置づけられています。
変拍子の魅力を堪能したい音楽ファンや、複雑なリズムパターンに挑戦したいプレイヤーの皆さまにもおすすめです。
closureTaylor Swift

アルバム『evermore』の中でもひときわ異彩を放つ本作は、5/4拍子という変則的なリズムが織りなす不安定な美しさが印象的なインダストリアル・フォーク・ナンバーです。
過去の関係に対する「終わり」を求める相手からの申し出を拒否し、自分自身で感情を整理する強さを歌った歌詞は、テイラーさんの成熟した表現力を物語りますね。
機械的なパーカッションと柔らかなボーカルが対比を成しながら、最初から最後まで貫かれた変拍子が楽曲全体に緊張感を与えています。
2020年12月にアーロン・デスナーさんとの共同制作でリリースされた本作は、関係の終わりに向き合う全ての人におすすめしたい実験的な傑作です。