魅惑の変拍子。奇数拍子や複雑なリズムを持つ不思議な音楽
突然ですが、皆さんは「変拍子」という音楽用語をご存じでしょうか。
音楽の授業で4拍子などの概念は学んだことがあるという方はいらっしゃるとは思いますが、一般的な4拍子や3拍子とは違い5拍子や7拍子など変則的な拍子が使われていたり、一つの楽曲にいくつかの違う拍子が含まれていたりすることも含めて「変拍子」と呼ばれるのですね。
何となくマニアックなイメージもあるかもしれませんが、実は皆さんが耳にしているポップスやアニソンなどに変拍子が採用されている場合もあるのですよ。
こちらの記事では、そんな不思議な魅力のある変拍子が使われている楽曲をジャンルを問わずまとめてご紹介。
ぜひ、曲を聴きながらカウントしてみてくださいね!
魅惑の変拍子。奇数拍子や複雑なリズムを持つ不思議な音楽(1〜20)
Ant-Man Main ThemeChristophe Beck

マーベル・シネマティック・ユニバースにおいて異彩を放つ音楽的個性を持つ作品として知られるこちらのテーマ曲。
7拍子という変則的なリズムで構成されたマーチ形式は、一般的なヒーロー映画音楽とは一線を画す特徴を持っています。
低音楽器や打楽器による8音のオスティナートが終始流れ、それが流麗なメインメロディーを下支えすることで、主人公の泥棒としての一面と映画全体の軽快なトーンを巧みに表現。
2015年7月に公開された『アントマン』のメインテーマとして使用され、シリーズ全体の音楽的アイデンティティを形成する重要な役割を果たしました。
変拍子好きの方や、従来のヒーロー映画音楽とは違った魅力を求める方におすすめです!
closureTaylor Swift

アルバム『evermore』の中でもひときわ異彩を放つ本作は、5/4拍子という変則的なリズムが織りなす不安定な美しさが印象的なインダストリアル・フォーク・ナンバーです。
過去の関係に対する「終わり」を求める相手からの申し出を拒否し、自分自身で感情を整理する強さを歌った歌詞は、テイラーさんの成熟した表現力を物語りますね。
機械的なパーカッションと柔らかなボーカルが対比を成しながら、最初から最後まで貫かれた変拍子が楽曲全体に緊張感を与えています。
2020年12月にアーロン・デスナーさんとの共同制作でリリースされた本作は、関係の終わりに向き合う全ての人におすすめしたい実験的な傑作です。
RememberDisturbed

過去の記憶と現在の感情の狭間で揺れ動く心境を、複雑な変拍子によって見事に表現した名曲です。
Disturbedが2002年にリリースしたアルバム『Believe』に収録された本作は、4/4拍子から5/4拍子、6/4拍子へと不規則に変化するヴァース部分が印象的で、記憶の断片的な性質やどこか落ち着かない心理状態をリズムで巧みに演出しています。
デイヴィッド・ドレイマンさんの内省的なボーカルと変拍子が織りなす緊張感は、過去のトラウマから解放されたい気持ちを切実に伝えてくれますね。
全米ビルボード・メインストリーム・ロック・チャートで6位を記録した本作は、特別なタイアップはありませんが、バンドの音楽的成熟を象徴する重要な楽曲として位置づけられています。
変拍子の魅力を堪能したい音楽ファンや、複雑なリズムパターンに挑戦したいプレイヤーの皆さまにもおすすめです。
Say A Little PrayerDionne Warwick

恋人への深い愛情を祈りという形で表現したこの名曲は、朝の身支度から始まる日常の中で、愛する人への想いを静かに捧げる女性の心境を繊細に描いています。
戦争という時代背景の中で離ればなれになった恋人同士の絆を歌ったテーマは、普遍的な愛の物語として多くの人の心を打ちました。
バート・バカラックさんとハル・デヴィッドさんによる1967年の作品で、アルバム『The Windows of the World』に収録後、ビルボードで4位のヒットを記録しています。
本作はヴァース部分で4拍子に2拍子を巧みに挿入し、サビでは4拍子から3拍子への変化で推進力を生み出す変拍子の妙技が光ります。
映画『ベスト・フレンズ・ウェディング』でも使用され、時代を超えて愛され続けています。
日々の生活の中で大切な人を想う瞬間や、遠距離恋愛中の方におすすめしたい永遠のスタンダード・ナンバーです。
あんたがたどこさ

地域によって歌詞やメロディが微妙に異なる口承の魅力を持つ熊本発祥の手まり歌は、子どもたちの遊びと密接に結びついた奥深い楽曲です。
歌詞中に11回登場する「さ」の部分で手まりをまたぐ動作が入るなど、身体運動と歌が一体となって成立する構造が興味深いですね。
この楽曲は伝統的なわらべ歌であり、兼田敏さんが手がけた吹奏楽作品『日本民謡組曲「わらべ唄」』に収録されるなど現代でも演奏されています。
本作は4拍子から始まり2拍子、3拍子が頻繁に入れ替わる変拍子構造を持ち、猫の目のように拍子が変化すると評される複雑なリズムパターンが採用されているのですね。