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【ヤナーチェクのピアノ曲】民族の誇りを反映した珠玉の名作

レオシュ・ヤナーチェクさんは、現在のチェコ東部にあたるモラヴィア出身の作曲家。

民族音楽研究に勤しんだ彼は、代表作であるオペラ『イェヌーファ』をはじめとする民族色の強い作品の数々を遺しました。

ピアノ曲は少ないものの、それらには書かれた時々の心情が非常に具体的に示されており、ヤナーチェクさんの作品のなかでも重要な作品群とされています。

本記事では、そんな重要な位置を占める彼のピアノ曲を、作曲の背景や作品の特徴とともにご紹介します。

【ヤナーチェクのピアノ曲】民族の誇りを反映した珠玉の名作

霧の中で 第1曲「アンダンテ」Leoš Janáček

L.ヤナーチェク作曲 「霧の中で」 第1曲 アンダンテ 古海 行子【国際音楽祭ヤング・プラハ in Tokyo コンサート 2020】
霧の中で 第1曲「アンダンテ」Leoš Janáček

レオシュ・ヤナーチェクさんは、モラヴィア地方の民族音楽の影響を受けた独特の作風で知られるチェコの作曲家。

そんな彼のピアノ曲『霧の中で』は、1912年に作曲された珠玉の名作です。

第1曲『アンダンテ』は、娘の死やオペラの上演拒否といった困難な時期に作曲された曲。

霧の中を歩くような不安定さと美しいコラールが織り交ぜられ、深い悲しみと希望が同居する幻想的な音世界が広がります。

技術的な難易度はそれほど高くないものの、繊細な感情表現が要求される1曲。

ヤナーチェクの人生の機微に触れてみたい人にオススメの作品です。

草かげの小径にて 第2集 第1曲Leoš Janáček

L.ヤナーチェク/草かげの小径にて 第2集 No.1 pf.伊藤仁美
草かげの小径にて 第2集 第1曲Leoš Janáček

チェコの偉大な作曲家レオシュ・ヤナーチェクさんの代表的なピアノ曲集『草かげの小径にて』。

第2集の第1曲は、特に感情を深く探求した作品です。

彼の娘の死や幼少期の思い出など、個人的な経験から生まれたこの曲には、深い悲しみと郷愁が込められています。

スラブの民俗音楽の要素を取り入れつつ、ときに不協和音を用いて心の機微を表現するヤナーチェクさん独特のスタイルが光ります。

内省的で感傷的な旋律は、聴く者の心に直接語りかけてくるよう。

ピアノ演奏に情感をこめることを学びたい方にオススメしたい名曲です。

草が茂る小道を通って 第1曲「我らの夕べ」Leoš Janáček

チェコの国民的作曲家レオシュ・ヤナーチェクさんは、モラヴィア地方の民謡に強い影響を受けた音楽で知られています。

彼のピアノ曲集『草が茂る小道を通って』は、個人的な思い出や自然との深い結びつきを表現した珠玉の作品です。

その第1曲『我らの夕べ』は、穏やかで叙情的なメロディが印象的。

故郷の夕暮れ時の静けさと美しさを感じさせる曲調は、深い感動を呼び起こします。

ヤナーチェクさんの音楽に触れたい方はもちろん、絶妙なタッチとニュアンスで聴かせるピアノ曲に魅了されたい方にもオススメの1曲です。

モラヴィア民族舞曲集 第1曲「トロヤーク」Leoš Janáček

L.ヤナーチェク: モラヴィア民族舞曲集 No.1 “トロヤーク”
モラヴィア民族舞曲集 第1曲「トロヤーク」Leoš Janáček

モラヴィアに生まれ、民俗音楽の研究と収集に注力した作曲家レオシュ・ヤナーチェクさん。

彼の研究成果が色濃く反映された作品の一つが、ピアノ独奏用に編曲されたモラヴィア民族舞曲集の第1曲『トロヤーク』です。

チェコ語で「三拍子の踊り」を意味するタイトルが付けられた本作は、民俗舞踊の形式を反映した軽快でリズミカルな小品。

当時のチェコの民族意識を音楽に込めた、モラヴィア地方の音楽的遺産を現代に伝える重要な1曲といえるでしょう。

民族の誇りと歴史に思いをはせながら、ぜひ演奏を楽しんでみてください。

ピアノソナタ 「1905年10月1日の街角で」第1楽章Leoš Janáček

L.ヤナーチェク/ピアノ・ソナタ「1905年10月1日の街角で」 第1楽章
ピアノソナタ 「1905年10月1日の街角で」第1楽章Leoš Janáček

モラヴィア出身の作曲家レオシュ・ヤナーチェクさんは、モラヴィア民謡の旋律や言葉のリズムを取り入れた独特の作風で知られています。

彼の人生を揺るがした衝撃的な事件をもとに作曲された『ピアノソナタ』は、不安と悲しみ、怒りが入り混じった感情が生々しく表現された作品です。

第1楽章では不穏なリズムと旋律が次第にクライマックスへと高まり、第2楽章では静かな嘆きと激しい絶望が交互に現れます。

深い洞察力を持つ演奏家によって、作品に込められた感情が聴衆の心に直接届けられるでしょう。

追憶にLeoš Janáček

Leos Janacek: “Na památku / Zum Andenken”
追憶にLeoš Janáček

チェコの作曲家レオシュ・ヤナーチェクっさんは、民族音楽研究に勤しみ、モラヴィアやスラヴの民謡に影響を受けた独自の音楽スタイルを確立しました。

そんな彼の代表的なピアノ曲の一つ『追憶に』は、深い感情と技術的な複雑さを兼ね備えた傑作です。

ポリリズムやポリトナリティを駆使した複雑な和声進行やクロマチックなテーマの変容により、ダイナミックで感情豊かな作品に仕上がっています。

本作は、ヤナーチェク自身の子供時代の記憶や娘の死といった個人的な経験が色濃く反映された、一種の音楽的自叙伝。

クラシック音楽に新しい表現を求めるすべての人にぜひ聴いていただきたい曲です。