【山田耕作のピアノ曲】日本の童謡唱歌の名作曲家が遺したピアノ作品たち
日本語の抑揚を生かしたメロディが印象的な童謡唱歌の生みの親、そして日本人初の交響曲作曲家として、日本音楽史に多大な影響を与えた作曲家、山田耕作さん。
クラシック音楽の普及にも尽力した彼は、歌曲や管弦楽曲だけでなく、和と洋のエッセンスが見事に融合した麗しいピアノ作品も数多く遺しています。
本記事では、山田耕作さんのピアノ曲のなかから、日本らしさを感じさせる美しいメロディを持つ作品を厳選してご紹介していきます!
【山田耕作のピアノ曲】日本の童謡唱歌の名作曲家が遺したピアノ作品たち(1〜10)
ピアノのための「からたちの花」山田耕筰

日本の音楽史に多大な影響を与えた作曲家、山田耕筰さん。
彼の作品のなかでも特に美しいメロディを持つ『ピアノのための「からたちの花」』は、1928年に発表された珠玉のピアノ曲です。
本作は、原曲である日本歌曲の持つ叙情性を残しつつ、ピアノならではの表現力を存分に引き出した名作。
春に咲く白い花と秋の黄色い実を持つからたちの情景が、繊細なタッチと豊かな響きで見事に描かれています。
作曲家自身の幼少期の思い出が投影されたノスタルジックな世界観は、聴く人の心に強く訴えかけてくるでしょう。
青い焔山田耕筰

日本音楽史に大きな功績を残した作曲家、山田耕筰さん。
ヨーロッパ留学で得た西洋の作曲技法を日本の伝統音楽と融合させた作品の数々は、今なお多くの音楽ファンを魅了しています。
『青い焔』は、人間の情念や苦悩を象徴的に描いた舞踊詩曲。
ピアノの美しい旋律とハーモニーに乗せて、炎のように燃え上がる感情が表現されます。
クラシック音楽に親しみのある方はもちろん、日本人作曲家の作品に興味がある方にもオススメの1曲です。
組曲「夢の桃太郎」第1曲「夢路」山田耕作

日本に古くから伝わるおとぎ話『桃太郎』をテーマとする『組曲「夢の桃太郎」』は、山田耕作さんの東京音楽学校時代の同窓であり、バイオリンを専攻していた守屋東さんに献呈された作品。
『夢路』『流れの桃』『誕生の喜び』『森のたわむれ』『鬼ヶ島』『凱旋』の6曲で構成されており、各曲のタイトルを追うだけも、流れてきた桃から生まれた桃太郎が見事鬼退治に成功する物語をイメージできます。
1曲目の『夢路』は、物語の始まりを告げる幻想的な1曲です。
前奏曲「聖福」山田耕作

1917年に作曲された『聖福』は、家族ぐるみで付き合いがあり山田耕作さんが「女史」と呼び尊敬の念を示していた作詞家、寺崎悦子に献呈された作品で、妻との間に長女が生まれた喜びを表しているとされています。
山田耕作は女性関係が派手であったことでも知られている人物。
そんな彼にとってもやはり実子の誕生は特別なことだったことが、「聖なる幸福」を意味するタイトルや、一音一音を丁寧に紡ぎながら響きを作り上げていく曲想からうかがえますよ。
スクリャービンに捧ぐる曲 第1曲「夜の詩曲」山田耕筰

山田耕筰さんが1913年12月にモスクワで聴いたスクリャービンのピアノ曲『詩曲』に感銘を受けて作曲した『スクリャービンに捧ぐる曲』の第1曲『夜の詩曲』は、「夜の静けさと、その深くに燃ゆる情熱」をテーマに、夜の情景と内面的な感情の動きを繊細に描いた作品です。
静寂のなかに感じられる激しい情熱や哀愁、そしてそれが徐々に消えていく過程を表現しており、スクリャービンの影響を受けたロマンティックでありながらも神秘的な雰囲気を持っています。
独特の間や響きが美しい一方で、感情豊かな演奏が求められる挑戦的な作品です。
ソナチネ山田耕筰

日本人初の交響曲作曲家として知られる山田耕筰さんは、歌曲や管弦楽曲だけでなく、和洋折衷のピアノ曲も数多く残しています。
彼のソナチネは、短く演奏しやすい形式でありながら、日本語の抑揚を生かした美しいメロディが特徴的。
愛の成長とはかなさを描いた詩的な雰囲気と、自由への渇望や生の実感を探求するテーマが感じられる作品です。
色使いや夏の情景が織りなす景色は、過ぎ去る時間とともに色あせていく記憶や感情を象徴しているかのよう。
ピアノ学習者にとって重要な教材であり、山田耕筰さんの世界観に触れる良い機会となるでしょう。
ピアノ五重奏曲「婚姻の響き」山田耕筰

山田耕筰さんは、私たちにとって身近な多くの童謡唱歌や、日本で初めての交響曲を残した偉大な作曲家。
そんな彼が、ドイツ留学時代に生み出した唯一のピアノ五重奏曲『婚姻の響き』は、クラシックの洗練された形式の中に日本的な感性を織り込んだ、実に魅力的な室内楽作品です。
各楽器のパートが見事に絡み合いながら奏でられるハーモニーからは、夫婦の深い絆と調和が感じられ、特別な日のお祝いにもぴったり。
クラシック音楽ファンはもちろん、山田耕筰さんの新たな一面を発見したい方にもオススメしたい、美しい響きに包まれる1曲です。





