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「これが今の松尾優です」赤い靴を履いたピアノレディ、松尾優インタビュー

赤い靴を履いたピアノレディ、松尾優。

シンガーソングライター、ピアニストであることはもちろん、時には音楽教室講師として音楽の素晴らしさを教えとく。

さらに、校歌や企業への楽曲提供、商品プロデュースなど幅広く挑戦をされています。

「これが今の松尾優です」と自信を持ってたくましく語られる姿に、シンガーソングライター・音楽家・表現者であることはもちろん、ひとりの女性としてこれからもどんどんスケールアップされていくのだろうという未来像さえ感じました。

留まることを知らず、音楽を軸にさまざまな世界で活躍を遂げる彼女が今、何を感じ、これから何を表現していきたいのか。

活動5周年を越えて、6年目のキャリアに突入しリリースする3rd full album『風とボヤージュ』(2017年11月3日リリース)への想いを含めてたっぷりとお話しを伺いました。

日常も旅と同じ。

あなた自身の日々を重ねてこの1枚を聴いて欲しい

松尾優

―――活動を重ねるにつれてそういった後世に向けての想いが、だんだん強くなっておられるんですね。

『君が大人になって』(1st single)や今回収録されるリード曲『Dear me.』(M-8)も次世代に向けてのメッセージ性が強い楽曲だと感じましたが、ご自身がそういったモードに変化しているということですか?

実は自分の中にあまり意識はなかったんですけど、周りの方に言っていただいて、私もだんだん曲の方向性が変わってきたんだなって初めて気付くというか。

「子供たちに聴かせたいです」って言ってもらえることも増えたので、やっぱり音楽の先生をしていた経験も大きいなと思いますね。

初期の曲は若さ故なのか恋愛を題材にした曲が多かったんです。

なので、昔の曲のほうが好きというお声をいただくこともあるんですけど「今の私はこれなんです」って自信をもって言えることも事実なので。

例えば『Dear me.』(M-8)の「きっと思うより世界は広い。

きっと思うより自由で良い。

一度きりの旅を自由に始めようか。

新しい自分に出逢うため」というこの歌詞も、先程お話ししたようなタイアップやご依頼などいろんな事を経験しないと書けなかったなと思いますし。

やっぱり、私自身が変わると生まれてくる曲も自然と変わってくるので、変化した部分も含めて世界観を楽しんでいただけたらなと。

―――今回のアルバムタイトル『風とボヤージュ』もご自身が経験されてきた人・もの・出来事との出逢いが反映されていますよね。

タイトルの元になったのは、先程のお話にも挙げた『leaves』(M-1)をモチーフにしていて。

1枚の葉っぱが風に乗っていろんな場所を旅するように、人と人が出逢う情景を表現したくて。

あとはアルバム1枚を通しても楽曲に“風”というワードが多かったので組み合わせました。

やっぱり日常も旅と同じだと思うんですよね。

もちろん、旅行に出かけた方が刺激も多いし知らない場所や人にも出逢うと思うんですけど、それは日常でも同じですよね。

同じ道だけじゃなくて知らない道を通るだけで新鮮な気持ちにも出逢えると思うし、日常にも旅と同じような感覚は転がっているなという想いも自分の中に芽生えていて。

そんな部分にも感化されて、今回『風とボヤージュ』というタイトルに辿り着きました。

人はいろんな過去を振り返ることも、未来を想い描くこともできる。

それぞれの人生の中のこれまでの出来事と照らし合わせて、風に乗って旅をするようにこのアルバムを聴いていただけるとうれしいです。

流行り廃りに動じない音楽を。

これが今の松尾優です

松尾優

―――今の優さんならではの等身大の想いがたくさん詰まったアルバムの制作ですが、今回もレコーディングはお馴染みのメンバーで実施されたんですか?

いつもベースとドラムはスタジオラグ西院店でエンジニアの阪本さんに作っていだいていますね。

レコーディングメンバーは前回とほぼ一緒のメンバーなんですけど『Dear me.』(M-8)は、リード曲ならではの特別感を出したくて、新たにSaxプレイヤーの内藤大輔さんに参加していただきました。

この楽曲には絶対サックスのサウンドが合うっていう自分の中のイメージもあって、自分の音源で初めてサックスを入れたんですけど、カラーが一気に変わりましたね。

―――今回ミックスにすごく時間をかけられたとのことですが、これだけは譲れないこだわりなどありましたか?

私の音源は、もちろん歌もですけど、ピアノを売りにしたいというのがあって。

ピアノをあえて少し大きめのボリュームにして、しっかり聴こえるようにしていただいています。

あと『leaves』(M-1)では、ピアノ1本の弾き語りとバイオリンだけで録ってもらってるんですけど、歌がなくてもインストだけで成立する音を作りたい想いがあって。

普通に出回っている音源よりも私の音源の場合、弦楽器の音も大きめに聞こえるように作ってもらっていて、そいういった部分をあえて聴かせたいというこだわりはありましたね。

今回の制作では、今の時代に流行っているかとかは関係無しに、自分らしい音のバランス感を大事にしました。

そのバランスの配分はすごく悩んだんですけど、やっぱり自分が納得できるものでないと世に出せないなと思ったので。

『Kiss and Fly』(1st full album)以来の揺らぎと悩みを経験しましたが、今の自分が1番納得できるものを妥協せずに作れたと思っています。

―――エンジニアの小倉ユウゴさんとも信頼関係が熱いですよね。

ミックスで「これで大丈夫」って思ってもマスタリングをしてみると、またミックスの時とは印象が変わって今回のレコーディングでは何回も小倉さんにやり直してもらっていたんですけど、小倉さん自身も音楽活動をされている方なので、アーティストならではの理解があるというのはすごく心強いですね。

例えば、いつもメインの主旋律のボーカルレコーディングをしてからコーラスを重ねて録るんですけど、楽器陣のサウンドが実際にレコーディングを始めると、考えてたイメージと異なることがあって。

今回コーラスのハモりも、もともと私が考えてたものでは、うまくいかなくて。

でも、うまくいかなくなった状況からその場でコーラスを考え直すことが特に今回は多かったので、その適応能力とアレンジセンスが素晴らしいって、いつも小倉さんは褒めてくれるんですよね。

タッグを組んでから長いと思いきや、意外と約3年前からなんですよね。

気軽にサクっと何でも自分でやってしまうというところが、私と小倉さんは似ているかもしれないですね。

私も最近MVを自分で編集し始めるようになったんです。

そんな高度なレベルなことはできないですけど、こだわりは自分で形にしようってなっちゃって。

―――MVといえば『カフカ』(M-5)では、初めてのドローン技術を使った撮影に挑戦されたということですが、映像越しでも躍動感や緊張感がダイレクトに伝わってきますよね。

この曲は3分半くらいしかないんですけど、実はスポーツ並みの体力を使って弾いているんですよ。

MVも実は全部で32テイク撮ってようやくOKを出せて。

気付けば6時間くらいずっと弾き続けていましたね。

レコーディングが終わった後の音源に合わせて弾くのが難しくて、いかに忠実に弾いて曲を完成させられるのかという難しさもこの撮影を通して学ぶことができた気がしますね。

『カフカ』(M-5)って実はチェコ語なんですけど、日本語に訳すとカラスという意味なんですよ。

カラスって人によってはあまり良いイメージがないかもしれないんですけど、私は見方によっては光と影のような2面性があると思うんです。

カラスならではのイケイケどんどんなかんじとか、野心に溢れている感じは、表立ってアーティストとして活動をしていく上で必要だなと。

そういった漲る(みなぎる)チャレンジ精神を曲にしようという気持ちが強くて、今回インストの曲として表現をしましたね。

―――言葉はなくとも、言葉を越えたアグレッシブな演奏から今後も貪欲に未来に向かって突き進んでいかれる像が自然と浮かびました。

では、最後にアーティストとしての今後の目標をお聞かせ下さい

近い目標としてはCMソングを作りたいっていう想いがあって、それこそテーマをいただいて音楽と映像組み合わせることができたら、よりドラマチックな世界が生まれるんじゃないかと想い描いています。

音楽×映像でいえば、ドラマ音楽の制作をしてみたいですね。

他ジャンルとのコラボレーションでいうと、絵本の読み聞かせのバックで演奏をしたいと思っていて、読み聞かせの内容によって自然に曲も即興で変えて演奏してというようなこともやってみたいです。

音楽と何かを一緒に組み合わせて、さらにパワーアップした表現を届ける瞬間に立ち会いたいですね。

将来的には”誰が聴いても分かってもらえる曲”を作りたいです。

小さい子供からお年寄りの世代まで「あぁ、この曲はこういうことか」って分かってもらえるような曲を作りたいんですよね。

もっとスケールの大きいことをいうと音楽の教科書に載せていただけるような曲ですね。

皆が困ったときに「あの曲あるやん」って自然と思い浮かべてもらえるような曲を作って、流行り廃りなく歌ってもらえるような曲をいつか作っていけたらなと思います。

「これが今の松尾優です」赤い靴を履いたピアノレディ、松尾優インタビュー

2017.11.3 Release松尾優 3rd full album「風とボヤージュ」

  1. leaves
  2. 君と見たい世界がある
  3. ワンピース
  4. 一番綺麗
  5. カフカ
  6. あまのじゃく
  7. 泣きたくなった時に
  8. Dear me.
  9. Soul melodyBonus track. 風花 feat.田中純

Recording musician

松尾優:Vocal & Piano & Synthesizer大江和基:Guitar渡辺健二:Bass森田諒:Drums梶谷遼平:Percussion水野万裕里:Violin河野明敏:Cello内藤大輔:Sax田中純:Bariton

Recording staff

小倉ユウゴ:Recording engineer & Mixing & Mastering阪本大雅:Recording engineer (Drums & Bass) at スタジオラグ西院店

松尾優

松尾優

幼稚園で習ってきた歌を覚え、家に帰ってはおもちゃのピアノで弾いて家族に聴かせていた子供だった。

4歳からピアノ、9歳からエレクトーンに親しみ、小学2年生の時に果たしたピアニスト小原孝のリサイタルでのゲスト出演が、後にアーティストとなる道に影響を与える。

一度聞けば虜(とりこ)になってしまうそのピアノの音色に、天使のような透き通る歌声がふわりと乗せられた時、人の心を柔らかく包み、癒していく。

京都が生んだシンガーソングライター、ピアニスト。

【WORK】

松尾優オフィシャルサイト

松尾優オフィシャルTwitter

松尾優オフィシャルインスタグラム

ライタープロフィール

ライター

稲本百合香

なぜか「ライブに行くのが意外!」と言われがちですが、休みの日はもっぱらライブで現実逃避!

「メジャーインディーズ問わず良いものは良い!」という想いを抱きながら日々、素敵なもの(音楽・アーティスト)を探し求めてライターとして日々奮闘しています。

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