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音楽CDが生き残るためにはどのような考え方が必要か?

音楽CDが生き残るためにはどのような考え方が必要か?

皆さんは最近CDを買ったのはいつでしょうか?

私は丁度1ヶ月くらい前に買ったのが最後です。

今回はCDが売れなくなったと言われていることに対して考えてみたいと思います。

CD不振の要因と音楽との関わり方

一方でライブは…

ここまでで、お金を払わずに好きな音楽を聴く事ができる環境が整った事でCDが売れなくなっているという事を述べましたが、無料で聴ければCDを買わない理由として、音楽がコピー出来るものとなってしまった事が挙げられるのではないでしょうか。

CDはデジタルな音楽データを円盤に焼いたものであるため、パソコンの性能が上がるにつれてコピーをする事ができるようになりました。

また、インターネット技術の向上によってそのデータをアップロード出来るようになりました。

つまり、CDの中身の音楽にのみ着目して言えば音楽はコピー出来るものになってしまったのです。

その一方で、ライブエンターテイメント市場の拡大が話題となっていて、CDが売れないからと言って音楽産業が一概に右肩下がりであるとは言い切れない状況となっています。

図表2 年間公演数の推移

年間公演数の推移

出展 一般社団法人コンサートプロモーターズ協会のウェブサイト 基礎調査推移表のページ(2015年11月28日)

このグラフは国内で行われるライブやコンサートの年間公演数の推移をまとめたものです。

このグラフを見て頂ければ分かるように、2000年に入ってからの増加が著しく、2005年から2014年までの10年間で2倍以上の公演が行われています。

ではなぜ今ライブが増加しているのでしょうか?

それは、音楽がコピー出来るものになってしまった今、私たち音楽ファンは「生の体験」としてのコピー出来ない音楽を求めているからという事ができると思います。

ライブは映像として記録する事はできますが、会場の空気やアーティストとの身体的・心理的距離、演奏の迫力は映像に記録する事はできません。

つまりライブとは会場に居た人しか経験することの出来ないコピー出来ない音楽なのです。

このようにコピー出来る音楽が当たり前となった現在だからこそ、コピー出来ない音楽の体験の価値が見直されているのではないでしょうか?

360度契約

そしてライブが増えているもう1つの要因がレコード会社とアーティストとの間の契約方法が変わってきていることです。

というのは、従来の契約方法ではレコード会社の権利はアーティストのCDの売り上げのみで、ライブやグッズの売り上げ、テレビやCM出演のギャラなどはすべてアーティストの所属するプロダクションの権利でした。

しかし、今話題になっている新しい契約はこれらのかつてプロダクションの権利であった部分もレコード会社が得られるというものです。

この契約を様々な方面の権利を包括した契約という意味で360度契約と呼びます。

CDが不振となっているレコード会社がアーティストとこのような契約を結んだ上でライブを開催すれば、その売り上げはレコード会社が管理することが出来るのでライブが増えていると言うことが出来ると思います。

最後に

ここまでCD不振の要因とその一方で増加するライブの増加要因、360度契約に至るまでまで比較的幅広く書かせて頂きましたが、最後に私個人の意見や望みも含めたまとめを書いて終わりにしたいと思います。

結局CDはどうなる?

この記事で述べてきた要因に加え、今年に入って話題になっている月額制の音楽聴き放題サービスなども踏まえればCDがこのまま衰退していってしまう事は実際避けられない状況にあると言えると思いますし、至極当然の流れであると思います。

新しい「入れ物」が登場すれば古い「入れ物」は衰退します。

しかし私たち音楽ファンがCDに対する意識を変えることでCDの絶滅だけは避けられるのではないかと考えています。

というのも、ジャケット・歌詞カード・盤面・帯など、CDのパッケージ全てを自らの手でデザインしているアーティストもおり、そこには音楽と同じくメッセージが込められています。

CDを「音楽の入れ物」として捉え中身の音楽のみに関心を持つのではなく、CDを1つの作品として捉える事が重要だと思います。

このような認識は現在のレコードに対する認識と近いものがあるように思います。

音楽を聴くためのメディアとしてのポジションはCDに奪われてしまったものの、いまだにレコードに対して特別な価値を見出しているファンの方も多く、現在でもレコードは新しくリリースされています。

つまりCDも私たちの認識次第でレコードのようにメインストリームからは外れても生き続けることが出来るのではないのかと思うのです。

個人がCDに価値を見出すことが活路を開く

冒頭でも述べたように私自身CDをあまり沢山買う方ではないのですが、数年前から心がけている事がありまして、それはデータのみで音楽をやり取りしないという事です。

私自身バンドをやっていてCDを作った経験があり、1枚のCDを作る大変さや出来た時の喜びを実際に体験しました。

このように一度作り手側に回ってみればCDを1つの作品として考えられるようになりました。

方法は1つだけではないと思いますが、音楽ファンの方それぞれが何らかの方法でCDという作品に対する思いを持って頂ければこれからもCDがなくなる事なく生き続けるのではないでしょうか?

ライタープロフィール

羽根佳祐

音楽フェスマスター・編集長

羽根佳祐

RAG MUSIC編集長で音楽フェス担当。

大学1回生のとき、初めて行った音楽フェスで「こんなに自由でこんなに楽しい場所があるんだ」とその魅力に取り憑かれました。

すてきな音楽フェスの情報をお届けし、音楽フェスファンを増やすべく、日々発信中。

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