前回のコラムでは、発声と縁の深い器官「咽(のど)」と「喉(のど)」のお話をした上で、咽と喉を守ってくれる力強い味方が「舌」だとご紹介しました。
今回はその「舌」のお話をします。
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舌って、何者?

http://health.goo.ne.jp/medical/body/jin038
舌は何でできているのでしょう?
舌はさまざまな方向に走っている7種類ほどの筋肉の総称で、医学では「舌筋(ぜっきん)」と呼びます。
つまり、筋肉です。
表面は粘膜に覆われています。
皆さんは牛タンを食べた事はありますか?
牛タンは牛さんの舌のお肉です。
カットしていないホール(全体)の牛タンをご覧になった事はありますか?
私はテレビで初めてホールの牛タンを見たとき、その大きさに驚きました。
人間の舌も同じ。
きっと皆さんが想像しているよりも舌全体は大きいと思います。
「あーん」と口を開けて見える舌は、舌のほんの一部分で、奥に長く、厚み(深さ)もあります。
舌の役割
舌は、人体の筋肉の中でも、素早く、俊敏な動きが取れる筋肉です。
食べ物を食べるときに、適切な歯に食べ物を動かすのも舌。
噛み砕いた食べ物を飲み込むときに、食道の方へ送り出すのも舌。
ゴミや髪の毛など口の中に異物が入ったときに、異物を口の外へ出してやる手助けをしているのも舌。
また、食べ物の味を感じ取るセンサーや、唾液を分泌する腺もあります。
という具合に、舌は日常生活のあらゆる場面で大活躍してくれているのです。
舌と発声の関係性
声帯で発声した音を、医学では「喉頭原音(こうとうげんおん)」と呼んでおり、それは「ブー」とか「ビー」とかブザーのようなとても小さい音です。
喉頭原音が咽頭や口腔内の空洞を通る際に、音量やある周波数帯が増幅して、口の外へ出ていきます。
口腔内の空洞の大きさを変えるのも舌。
そして、舌の形を変える事によって、声に発音(母音や子音)が加えられます。
あなたの舌はどこにありますか?

http://www.irasutoya.com/
ボイトレの受講生に「安静時(つまり、食べたり喋ったりしていない、黙っているとき)、あなたの舌はどこにありますか?」という問いを投げかけると、ほとんどの方が同じような反応を示します。
「ん?」と言って、空を見て、しばらく考え込んでしまうのです。
なかなか答えが返ってこないので、次に私はこのような質問をします。
「安静時、あなたの舌の先はどこにありますか?」
この質問なら、すぐに答えてくれる人は急増します。
- 上の前歯の裏にくっついている
- 下の前歯の裏にくっついている
- 上と下の歯の間に挟まっている
- 歯のどこにもくっついてはおらず、下の歯の裏の歯茎の付け根にくっついている
ほとんどの方は上記4つのどれかをお答えになります。
しかし、残念ながら全て正解ではありません。
そう、正解があるのです。
実は、舌には定位置があります。
最後に
安静時のあなたの舌はどこにありましたか?
前回のコラムで私は「舌は、咽と喉を守る救世主」だと申し上げました。
しかし、舌が「然るべき位置」にないと、のどを守る威力は発揮されにくいのです。
次回のコラムでは、舌の定位置についてお話しします。






