ギターサウンドはキャビネットで決まる!スピーカー搭載数による音の違い
ギターアンプやアンプシミュレーターを使う際に重要なキャビネット(モデル)の選択。
最近のアンプシミュレーターには、古今東西のさまざまなキャビネットモデルが収録されています。
ギターの音色はキャビネットで決まると思うわけを書いていこうと思います。
キャビネットこそが、ギターの音色作りおいて最も大きな影響力を持つ
アンプヘッドであればプレキシマーシャル!
ツイードフェンダー!
と強いこだわりがある人でも、キャビネットとなるとイマイチ決めきれず、なんとなくデフォルトの組み合わせを選んでしまうことも多いのではないでしょうか。
また、どこのリハスタやライブハウスでも自分のサウンドを出すために、コンパクトなアンプヘッドだけ購入して、キャビネットはレンタルして使おう!
と考えている人も多いかもしれません。
しかし、実はこのキャビネットこそが、ギターの音色作りにおいて最も大きな影響力を持つ部分。
キャビネットが変われば同じギターとアンプヘッドであっても、そのサウンドはまったく別ものです。
逆にキャビネットが一緒だと、たとえアンプヘッドだけ別ものに変えたとしても、思ったほどキャラクターが変化しないことも多いです。
かく言う私も、せっかく買ったマイアンプを意気揚々とスタジオ常設のマーシャルキャビにつないだら、いつもの音とあまり変わらなかった!
なんて経験があります。
キャビネットのキャラクターを決めている要因を分析してみると、以下の3つに大別できます。
- スピーカーの搭載数
- スピーカーの種類
- キャビネット自体のつくり
今回はその中でも、最も重要度の高い「スピーカーの搭載数」に焦点を当ててサウンドの違いを解説していきたいと思います。
アンプシミュレーターでの音作りから実機のアンプ選びまで、広く当てはまる内容ですので、ぜひ参考にしてみてください。
ワイドレンジな4発キャビ
アンプのキャビネットと聞くと、まずマーシャルの12インチ×4発を思い浮かべる方がほとんどだと思います。
皆さんもリハーサルスタジオやライブハウスで使う機会の多いモデルですね。
この4発キャビネット、なんと言っても特徴的なのはそのレンジの広さ。
鋭くきらびやかなトレブル+地をはうようにどっしりと伸びる低音は、大型のキャビにしか出せない魅力です。
とりわけ録音においてはローからハイまでまんべんなく含んだサウンドを収録できるので、2本のギターを両サイドに振って曲の背景をガッツリ埋めるようなバッキングパートに最適です。
一方で、強すぎる音圧感のため、音の芯がスッキリと抜けてくるようなサウンドは作りづらいかもしれません。
そのためクラシカルなロックンロールなどでは、4発だとハード&モダンな印象になり過ぎてしまいます。
ちまたで流れるJ-POPやロックバンドのCDは大抵が4発のキャビネットで演奏されているため、迷ったら4発のタイプを選んでおけば、誰もが聴き慣れた安心感のあるサウンドを出せるでしょう。
自然な響きのスピーカー1発
Fenderをはじめ、多くのコンボアンプに見られる12インチスピーカー1発の構成。
1発のキャビは4発とは対極的に、レンジがミドルに寄った素朴な響きを持っています。
音圧感こそあまり強くありませんが、一方でギターの芯がくっきりと浮き上がるような抜けの良いサウンドは、大型キャビにはない魅力です。
また、スピーカー1発のキャビは容積が小さいものが多いため、大きな音量を出すといわゆる「ハコ鳴り」と呼ばれるキャビネットの振動を強調できます。
これによってブルージーな雰囲気が出せるのはもちろん、生楽器に近い、空気感をたっぷり含んだ響きを出せるため、たとえばアコースティックな楽器が中心の小編成などにもすんなりとなじませられます。
迫力重視のJ-POP・ロックにおいては、どうしても敬遠されがちなスピーカー1発のアンプですが、かといって渋いジャンル専用かというとそんなこともなく、特に海外のバンドでは使われている所をよく見かけますね。
2発キャビでオイシイとこ取り
VOXやFenderの大型コンボアンプに採用されているほか、スタジオ系ギタリストの機材セットにも採用されることの多い12インチ2発のキャビネット。
2発のスピーカーが生むのはひらたく言えば1発と4発の中間的なサウンドです。
ほどよいレンジの広さを持ち、ナチュラルさと迫力のバランスが取れています。
4発キャビほど音圧のあるローは出ませんが、そのぶんガッツリ歪ませたフレーズでも抜けが良いので、シンセやピアノなど楽器がたくさん鳴るような楽曲でもスッキリと溶け込ませられるでしょう。
またスピーカー1発ほどではありませんが、ガツンと音量を入れれば、ほどよい「ハコ鳴り」を得られます。
このように書くと良いこと尽くめのように感じてしまいますが、音楽においてはバランスが取れていることが必ずしもベストであるとは限りません。
むしろ飛びぬけたキャラクターを持った音色が集まることで、音楽に彩りが生まれることも多いです。
ガツンと迫力がある曲ではやはり4発キャビの方が勢いある音が出せますし、スピーカー1発の軽快なサウンドが絶妙なグルーブにつながることもあるでしょう。
もちろん、2発キャビが持つ、ほど良いレンジ感がハマる曲も多いと思います。
結局はバンドや楽曲のキャラクターに合ったサウンドを作ることが何よりも大事だということですね。
まとめ
ということで、今回はスピーカーの数によるサウンドの違いに注目してみました。
一概にどのタイプが優れているということはないので、出したい音やジャンルに応じてキャビネットを選択していきたいですね。
ちなみに、何本もギターを重ねるような曲を録音する際に、すべてのトラックを同じアンプ・キャビネットで録ってしまうと音がぶつかり合って、分離が悪く感じられることがあります。
そのような場合は基本となるコードバッキングは4発で録っておき、サビで重ねるカッティングには2発を使う、といった具合に1曲の中で複数のキャビを使用してみましょう。
お手軽に立体感のあるアンサンブルを演出できるかもしれません。
今日の内容を頭の片隅に置いて、実際にキャビネットの違いを体験してみると、いろんなことに気がつけると思いますよ。
なお実機のキャビネットは重い上にスペースもとるので、とっかえひっかえ試すことは難しいですが、アンプシミュレーターであればそれも容易ですのでいろいろ研究してみるのも良いでしょう。
ライタープロフィール
ギタリスト・アレンジャー
べにまる
ギタリスト/アレンジャー。
曲を作ります。
三度の飯より楽器が大好き!
重度の機材オタクです。
ちょっぴりマニアックな機材のレビューや、ギター・宅録・MIXのノウハウを、他とは少し違った視点からお伝えしていきます。
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