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コピーバンドとオリジナルバンドのメリット・デメリット

コピーバンドとオリジナルバンドのメリット・デメリット
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皆様、日頃からバンド活動に勤しまれていると思いますが、コピーバンド・オリジナルバンド、いずれをされていますでしょうか。

中には両方、という方もおられるかもしれませんね。

それぞれに、それぞれの良さや楽しみがあり、「どちらがよい」というものではありませんが、「どちらも経験されて、自分にあったスタイルを見つける」というのが、音楽を続けていく上では大事なことかもしれません。

そこで今回は、コピーバンド、オリジナルバンド、それぞれの良さや楽しさについて考え、また私の経験から、是非オリジナルバンドをやってみることをおススメさせていただければと思います。

また、今回の話は「バンド」というくくりに限定したいと思います。

ソロ・アーティストの場合は、コピーにしろオリジナルにしろ、また若干違った観点からの楽しさ・良さがあると思うからです。

コピーバンドの楽しさ・良いところ

ゆくゆくはオリジナルバンドをされる方も、最初はまずコピーバンドを経験される方がほとんどでしょう。

気のおけない仲間達と、大好きなあのバンドのあの曲を演奏するのは、それだけでとても楽しいことですよね♪

王様

王様のRock’N Roll TOWN
http://www.osama.co.jp

仲間と手軽に楽しめる

すでに楽曲はある訳ですから、「楽曲を作る」という作業が必要ないので(コピーする作業は必要です)、すぐに集まって演奏することが出来ます。

メンバーを決めて、曲を決めて、一緒に合わす日を決めたら、後はひたすらコピーと練習!

楽器や歌が上達する・引き出しが増える

単純に演奏・歌唱する機会ができることで上達に繋がりますし、他人の楽器演奏や歌唱を真似することは、自分にないものを吸収することにも繋がります。

いわゆる「引き出しが増える」というやつですね。

敢えてプログレなどの難曲にチャレンジして、自分達の演奏力の底上げをすることもできます。

普段あまり聞かないジャンルの要素が入っていたりすると、例えばロック調の曲の中で急にレゲエ調になったりしたら、「こういう要素がレゲエのエッセンスか!」などと発見できたりもしますよね。

作曲やアレンジの知識を得られる

同様に、作曲やアレンジの知識を得ることもできます。

王道コード進行を抽出したり、クリシェや部分転調など、その楽曲の「美味しいところ」を発見したら、オリジナル楽曲にも活かせます。

楽曲の構成においても、やはり王道パターンというものが存在するのでそれを理解したり、また王道ではないのに高い支持を得ている楽曲の構成を研究したり、コピー曲には様々な有益情報が溢れています。

場合によっては譜面が既に存在する

有名なバンドや、ヒット曲ならバンドスコアもありますので、コピーの手間すら省けてしまう場合もあります。

スタンダードな曲なら、コード進行くらいネットで検索すればすぐ出て来るスゴい世の中。

活用しない手はありません。

耳コピーの練習になる

譜面がない場合は「耳コピー」をするしかありませんが、耳コピーをすることで、似通った響きのコードを聞き分けられるようになったり、アーティキュレーション:細かな表現技法までじっくり聴くことになります。

最初は時間がかかるかも知れませんが、ある程度耳コピーになれたら、「こういうコード進行で、ここはこのスケール使ってるのね」という感じにすぐ分ってくるようになります。

スタンダード曲をやっておくと後々セッション等で役立つ

例えばスティーヴィー・ワンダーの「Overjoyed」やBEN E. KINGの「Stand by Me」、ジャズで言うと「枯葉」などはセッション等でも良く演奏される定番曲ですので、一度コピーしておくと音楽を続けていく将来必ず役に立つと思います。

演奏すること自体が目的に出来る

オリジナルバンドだと、曲を作って、演奏を良くして、ライブをして、レコーディングして、ひいてはその道で食っていくかなど、演奏する先に控えているものがたくさんあります。

しかし、コピーなら、スタジオで一緒に演奏すること自体を楽しめますし、大体はライブで締めくくりと、いい意味で「終わりが見えて」います。

ライブでお客さんも知っている曲だと、ある程度演奏が雑でも盛り上がる

そしてライブでは、お客さんも知っている曲だと一緒になって盛り上がれます。

盛り上がってしまうと、細かい演奏の善し悪しよりノリが大事になってきますので、ある程度ミスっても許容されます(笑)。

コピーバンドのデメリット

ライブハウスに出演しにくい

ライブハウスはどうしてもオリジナルバンド主体のところが多いので、コピーバンドが出演できる機会は多くはありません。

しかし、最近では「コピーバンドの日」を設けたり「コピーバンドOK」なライブハウスさんもありますので、「ライブハウスで演奏してみたい!」というバンドさんはお店に聞いてみたらいいかも知れませんね。

…デメリットはそれくらいでしょうか?

コピーはやっておいて損することは、ありませんよね!

オリジナルバンドの楽しさ・良いところ

さて、それではオリジナルバンドについて暑苦しく語りたいと思います(笑)。

私がオリジナルバンドを始めたのは、高校2年生の時でした。

きっかけは、もちろん「オリジナルがしたい!」という強い意志はありましたが、正直に言うと「若干コピーがめんどくさい、あまり得意でない」という理由もありました。

しかし高校2年生の私達にとって、「オリジナルバンドをやる」ということは、まったく初めての経験でとてもワクワク、もはやゾクゾクする大冒険でした。

サモナイタチ

サモナイタチオフィシャルサイト
http://samonaitachi.net/about.html

世界でたった一つの自分達の曲

オリジナルソングですから、この広い世界中探しても、たった一つしか存在しない自分達の楽曲です。

もちろん似たような曲は存在するでしょうし、最初は似たような曲を作ることからのスタートかも知れません。

しかし、自分の、そしてメンバーのアイデアの結集で生まれた、世界で唯一の曲。

それはそれは、我が子のように愛おしく、そんな楽曲で聴いてくれる人にも共感してもらえたら最高ですよね。

より強いメンバー内での絆感・仲間感

「自分達のやりたいことを共に実現する」メンバーですので、やはりその絆は家族のように強いものがあります。

長期にわたって時間を共有するので当然と言えば当然ですが、友達よりももっと「特別な存在」になる場合が多いのではないでしょうか。

私もオリジナルバンドを共に経験したメンバーとは、だいたい今も交流があります。

オリジナルとは何か?

→自分のやりたい音楽の発見

さて、いざオリジナル曲を作ろうとなった際に必ず自分達に返ってくるのが、「自分はどういう音楽をやりたいのか?

メンバーはどういう音楽をやりたいのか?

バンドという集合体としてどういう音楽がやりたいのか?」ということです。

最初はやはり、真似事のようなものから始めると思いますが、段々曲の作り方にも幅が出来てくると、「ああ、こういう曲をやりたかった!」という楽曲も生まれます。

オリジナルバンドをやることは、ある意味自分探しの旅と言えるでしょう。

新しいものを作り上げるというチャレンジ性

「ワクワク、もはやゾクゾク」と書きましたが、ゼロからイチを生むことは容易なことではなく、それだけにやりがいのある挑戦でもあります。

最初はもちろん産みの苦しみを味わうでしょうし、慣れてきても「なんかどれも似通ってない?」となったりもします。

私も最初のオリジナルバンドから言うともう20年も曲を作っていることになりますが、いまだに新しい曲を書くことはチャレンジの連続です。

音楽という自由な表現において、その挑戦は絶えることなく続いていくことでしょう。

演奏に必要なテクニックが自分達である程度制御できる

コピーだと、その曲を演奏するのに必要なテクニックを身につけなければなりませんが、オリジナルだとその辺りが自分達で設定できます。

例えば、ニルヴァーナの曲を演奏するのに、ポール・ギルバートのギターテクやチャド・スミスのドラミングは必要ないですよね(笑)?

それは極端な例かも知れませんが、基本的には自分達の演奏できる範囲内で曲を作る・フレーズを決めることになります。

もちろん、基礎的な演奏力を伸ばし続ける努力は必要ですが、「技術がないからオリジナルをしてはいけない」というものではありません。

作曲やアレンジの経験をコピー曲にもフィードバック

オリジナルバンドをやられている方でも、他方ではスタンダード曲の演奏をされている方などもおられます。

「名曲」と呼ばれる楽曲は、やはり時代を超えて歌い継がれる・演奏され続けるものですし、そういうものを求められるリスナーの方もおられます。

私も何度かそういう演奏の機会がありましたが、やはり自分なりの色をつけたいなと思うもの。

そういう時に、作曲やアレンジの経験が活かされ、その演奏メンバーでのコピー曲はもはやカバー曲と言って過言ではなかったと思います。

曲を作っていく上で出会う新しい自分

そして私が最大限主張したいのがこの点です。

継続して曲を作っていくと、「こういう曲を作ろう」と思って作る場合もありますが、時として「自分の中にそんなルーツなどあっただろうか?」というような、思いもしない楽曲が沸き上がってくることがあります。

「自分の中からそういうものが出てくる」ということが、今まで認識していなかった自分との遭遇であり、とても新鮮な驚きを覚えます。

人間の脳には、無意識の領域が意識の領域よりはるかに多いらしく、その無意識の領域に触れたかのような不思議な体験で、自分にはまだまだ可能性が秘められてるのでは?

などど思ってしまいます(笑)。

これは、私がオリジナルバンドを続けていて発見した、一番大きいベネフィットだと感じています。

オリジナルバンドのデメリット

オリジナルバンドには魅力も満載ですが、残念ながらコピーバンドよりデメリットも多くあります。

どうやってオリジナル曲を作ったらいいか分らない

まずもって曲の作り方で最初は戸惑ってしまうと思います。

これはもう、「◯◯に似てる」とか「なんかイマイチ。

。」そう評価されるのを恐れず、やってみるしかないと思います。

最初から名曲が書けるなんて無茶だと思いますので、数を重ねて経験を積みましょう。

メンバー間で喧嘩になりやすい

メンバー間の絆が強いと書きましたが、それが故によく喧嘩もします。

「よりいいものにしたい」思いも強いですし、場合によってはバンドでデビューの夢を追っている方もおられます。

やはり本気な分、妥協はできないので、時として激しくぶつかり合ってしまうことも避けられないことでしょう。

お客さんにも共感してもらえる曲が作れるか・演奏ができるか

音源制作のみを活動とされているオリジナルバンドさんもごく稀におられますが、多くのバンドさんはやはりライブでお客さんに聴いてもらうことが活動の中心でしょう。

どんなオリジナル曲を作るかは自由ですが、お客さんにまったく共感してもらえない楽曲だと集客も出来ませんし、ライブハウスのブッカーさんも次の話はしにくいでしょう。

そのあたりの芸術性と大衆性的な話は難しい問題ですのでまた回を改めたいと思いますが、少なくとも楽曲の評価は他者によってされるものでしょう。

また、「曲はいいのに、演奏がなぁ。

。」というのも残念な話ですので、曲の魅力を伝えられる演奏力は身に付けたいところです。

バンドを継続していくことが出来るか

これがオリジナルバンドにおいて一番厄介な問題ではないでしょうか。

コピーバンドには「終わりが見えている」と書きましたが、オリジナルバンドは明確な「終わり」が不明瞭だからです。

例えば、「武道館でワンマンライブできたら解散しよう。

それを目標に頑張ろう!」といったバンドさんなら潔いですが、多くの方は続けていくうちにその魅力にハマり、「頑張ればもしかしたらバンドでデビューできるかも?」そんな夢を抱いて続けられている方も多いと思います。

その夢がいつ実現するのか、本人の努力はもちろん必要ですし、時代性や運にも左右される要素です。

しかし、人は確実に毎年歳を重ね、結婚や出産もするでしょうし、そうなるとそれなりの経済力も必要となります。

イコール、バンドに割ける時間も減ってしまいますし、ますますチャンスを掴みづらくなります。

私は完全に趣味と割り切っているのでこの点で悩むことはありませんが、夢を追って活動を続けるバンドマンの方には深刻な問題かと思います。

ただ現在は、メジャーデビューだけが単一の価値観ではなく、様々な活動の仕方で継続されているオリジナルバンドさんもおられますので、目標設定や工夫次第で乗り越えられる気もします。

なぜオリジナルバンドをおススメするか

最後に、以上踏まえた上でオリジナルバンドは1度は経験されることをおススメします。

理由としては、

からです。

また繰り返しますが、コピーもオリジナルも「どちらがいい」という優劣のつけられるものではないと考えています。

どちらも、相互補完する要素を持っていますので、どちらも経験されるのがやはりよいと思います♪