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【高齢者向け】12月の有名な俳句。冬の情景や年の瀬を詠む名句と作り方のヒント

12月は一年の終わりを感じる季節。

冷たい空気のなかで見上げる冬の夜空や、静かに舞い降りる雪の情景に、心が動かされる瞬間がありますよね。

今回は、名高い俳人たちが詠んだ12月の俳句をご紹介します。

大晦日に込められた深い思いや、ふわりと降る雪の美しさを表現した一句、寒い夜の月を描いた作品など、季語を活かした表現が魅力的です。

俳句は、日々の小さな発見や感動を自由に言葉にできる楽しさがあります。

高齢者の方と一緒に季節の移ろいを感じながら、俳句に親しむ時間を過ごしてみませんか?

季節を感じる表現のヒントがきっと見つかりますよ。

【高齢者向け】12月の有名な俳句。冬の情景や年の瀬を詠む名句と作り方のヒント(1〜10)

うつくしき 羽子板市や 買はで過ぐ高浜虚子

うつくしき 羽子板市や 買はで過ぐ高浜虚子

この句は、高浜虚子が晩秋から初冬、12月の年の瀬の風物詩を感じながら詠んだ俳句です。

「羽子板市」とは、正月に向けて羽子板を売る市のことで、色とりどりの華やかな羽子板が並びます。

「うつくしき」と感じながらも、「買はで過ぐ」とあるように、今回は手に取るだけで買わずに通り過ぎる様子を描いています。

虚子は、華やかさや楽しさを眺めつつ、あえて自分は参加せず、季節の移ろいを静かに味わう気持ちを込めたのでしょう。

12月の街角で、年の暮れの準備をそっと感じさせる、穏やかで優しい気持ちになれる一句です。

冬の蝶 日溜まり一つ 増やしけり小笠原和男

冬の蝶 日溜まり一つ 増やしけり小笠原和男

寒い季節の中で、日だまりに集まる冬の蝶の姿を優しく見つめて小笠原和男が詠んだ俳句です。

「冬の蝶」とは、寒さの中でも日差しに集まる蝶のことで、命のたくましさや自然の小さな生き物の存在を感じさせてくれますよね。

「日溜まり一つ増やしけり」とあるように、日差しの温かい場所に蝶がひとつ、またひとつと集まってくる様子をやさしく描いています。

小笠原は、冬の冷たさの中でも、命や光の温もりに心を寄せる思いを込めたのでしょう。

12月の穏やかな日差しの中で、自然の小さな喜びを感じられます。

あたたかき 今年の冬よ 冬至梅富安風生

あたたかき 今年の冬よ 冬至梅富安風生

「冬至梅」は梅の中でも最も早く花を咲かせる品種で、冬至のころに咲き始める花です。

このことから、冬至梅は12月の季語のひとつとして知られています。

12月はまだまだ冬本番で寒い日が続く季節ですが、この年は暖かかったのでしょう。

例年よりも暖かい冬に冬至梅の花が咲いている様子を表現しています。

俳句の世界では梅は春の訪れを告げる季語として使われることから、富安風生の春を待ち望んでいる気持ちが表現されていますね。

【高齢者向け】12月の有名な俳句。冬の情景や年の瀬を詠む名句と作り方のヒント(11〜20)

十二月 上野の北は 静かなり正岡子規

十二月 上野の北は 静かなり正岡子規

12月といえば師走、一年の最後の月です。

そんな師走は文字通り、どこか慌ただしさを感じますね。

正岡子規も同じで、師走の慌ただしさを感じながら詠んだ句が「十二月 上野の北は 静かなり」でした。

正岡子規は当時、上野の北にある根岸に住んでおり、上野の賑やかな喧騒とは対照的な自分の環境の静けさを表現しています。

病床についていたため上野の喧騒には加われず、病気を静かに受け入れながらも、一抹の寂しさを感じていたのでしょう。

大晦日 定めなき世の さだめかな井原西鶴

大晦日 定めなき世の さだめかな井原西鶴

「大晦日 定めなき世の さだめかな」。

江戸時代に俳諧師として人気を博した井原西鶴はこの俳句のなかで、「この世の中に守るべき秩序はなくなってしまい、何が起こるか分からない毎日でも、毎年大晦日だけはきっちりやってくるんだよ」と詠みました。

毎日を過ごすなかで、自分の思うようにいかないことは多くありますよね。

うまくいかない日々が続いても、良くも悪くも大晦日という日はやってきます。

今日という1日を、前向きに乗り越えていきたいものですね。

うまさうな 雪がふうはり ふわりかな小林一茶

うまさうな 雪がふうはり ふわりかな小林一茶

空から舞いながら降ってくる雪を見ていると、いろいろなものを想像することがありますよね。

すぐに消えてしまう雪のはかなさや、子供なら雪がたくさんつもってほしい期待感とか。

小林一茶の「うまさうな 雪がふうはり ふわりかな」からも冬の雪の様子を思い浮かべられる作品です。

俳句の意味は、ふうわりふわりとうまそうな雪が舞っているという意味です。

雪が降る様子をふうわりふうわりと表現することで、綿菓子を連想するように感じられます。

高齢者の方にも、俳句は自分が思ったことを楽しく表現できるので、作っていただきたいですね。

ともかくも あなた任せの としの暮小林一茶

ともかくも あなた任せの としの暮小林一茶

江戸時代の三大俳人として有名な小林一茶の「ともかくも あなた任せの としの暮」は、ある年の年末に詠まれた俳句です。

小林一茶は、浄土真宗の門徒の家に生まれた念仏者としても知られていますね。

この俳句のなかに登場する「あなた」とは、阿弥陀如来様を指しています。

「今年1年はつらいことも多くあったけど、どんな1年であっても変わらず、阿弥陀如来様が救いの手を差し伸べてくださる。

安心して前に進もう」という思いが伝わってきますね。