【DTM初心者のための】アンプシミュレーターを使ったギターの音作りのコツ
最近のKemperやAxe-FX2をはじめとするアンプシミュレーターの台頭によって、ギターの自宅録音におけるスタンダードはマイク録りからライン録りへとすっかり移行しましたね。
皆さんの中にも、演奏動画やボカロなどの録音でアンプシミュレーターを使われている方は多いと思いますが、果たして満足なサウンドで録音することができていますでしょうか?
いろんなパラメータをいじっているうちによくわからなくなってしまったり、MIXを進めるうちに段々と違和感が出てきたり。
そういった経験は誰しもあると思います。
そこで今回は、アンプシミュレーターを使って録音する際に意識したい音作りのポイントを紹介したいと思います。
私もElevenRackやAxe-FX2といったアンプシミュレーターを使って、試行錯誤しながらたくさんの曲を録音してきました。
そんな中で培ったノウハウを、みなさんのお役に立てていただけたら幸いです。
ギターの音はキャビネットで決まる
アンプシミュレーターといえば基本的に、
- アンプヘッド
- キャビネット
- マイク
という3つのセクションによって音を作っていきますが、皆さんはプリセットを使わずに0から音色を作るとき、どこから始めますか?
おそらくアンプヘッドから手をつける人が多いのではないかと思います。
しかし、実際のギターレコーディングにおいて、音色のキャラクターを決める要因のうち、そのほとんどをキャビネットが担っているといっても過言ではありません。
ぜひ一度、お手持ちのアンプシミュレーターで試していただきたいのですが、
- Fenderのヘッド(Deluxe Reverbなど)+12インチ4発のMarshallキャビ
- Marshallのヘッド(JCM800など)+12インチ1発のFenderキャビ
この2つの組み合わせを弾き比べた時に、どちらがマーシャルの音だと感じますか?
おそらく前者の方がマーシャルらしいサウンドに聞こえる方が多いのではないかと思います。
アンプヘッドを変えれば、もちろんゲインや歪みの密度などは変わりますが、硬い・柔らかいといった音の質感や、ロー・ハイの出方など、いわゆる「サウンドキャラクター」は意外にもキャビネットによって作られているのです。
これは実際のアンプ録音でも同じことが言えます。
現実には小さなスピーカー1発のキャビに100Wのマーシャルを繋ぐといったことは危険なのでできませんが、アンプシミュレーターであればそんな無茶なセッティングも可能です。
お気に入りのキャビネットモデルを見つけることが、理想のサウンドへの近道となります。
ぜひ最高の組み合わせを見つけてください。
他の楽器が入ることを忘れない
録音する前は最高のサウンドが出来たと思っていたのに、ミックスが進むにつれて「なんか微妙なサウンドだな……」「ギターの音が聞こえにくい……」と感じてしまうことはないでしょうか。
アンプシミュレーターでギターを録音する際によく忘れがちなのは、これからベースやボーカルなど、他の楽器が加わるということです。
アンプシミュレーターで音を作る際、ほとんどの場合はギターの音だけを聴いていると思います。
ギターしか鳴っていない時は、低音から高音まで目一杯ギターの音に使うことができますが、そこにベースが入るとどうでしょうか。
それぞれの低音がぶつかり合って互いの音色が濁ってしまいます。
そこで、ギターの低音をやや控えめにしてベースに音域を譲ってみましょう。
ギターだけで聴くとちょっと物足りない音色になるかも知れませんが、ベースと合わせるとお互いの芯となる帯域がうまく噛み合って、より迫力のあるサウンドに聞こえると思います。
他の楽器を意識して音を作る、というと難しく聞こえるかもしれませんが、まずは実際に他パートの音を鳴らしながら音を作ってみるとイメージが掴みやすいのではないかと思います。
スピーカーで音色の確認を
自宅でアンプを鳴らす代わりにアンプシミュレーターを使っている場合、必然的にヘッドホンで音色作りをされる方がほとんどだと思います。
そういった方はぜひ一度、同じ音をスピーカーで聴いてみてください。
おそらくヘッドホンとは全く違った音の聞こえ方に、驚かれる方が多いのではないかと思います。
ヘッドホンは耳のすぐ近くで音を鳴らすため、少しくらい音色のバランスが崩れていても良い音で聞こえてしまうことがあります。
良い音で録音できたと思っていたら実はかなりブーミーに録れてしまっていて、ミックスが進むに従って段々と音色のバランスの悪さが露呈してしまう、なんてこともあるでしょう。
一方、スピーカーは空間的な広がりを持って再生できるので、ヘッドホンよりも音色のバランスを自然に聴き取ることができます。
また我々は、日ごろギターアンプの音をキャビネットから空気を通して聴いていますよね。
やはりギターの音色を作る際には、同じように空気を通して聴いた方が、ナチュラルに音作りができます。
大きな音で鳴らす必要はありませんし、高額なモニタースピーカーでなくても構いません。
ぜひ一度スピーカーで鳴らして、どれだけヘッドホンと違いがあるのかを体験してみてください。
まとめ
ということで、今回はアンプシミュレーターを使って自宅録音する際のコツを紹介して参りました。
- キャビネットが一番大事
- 他の楽器が入ることを忘れない
- スピーカーで音色の確認を
最近のアンプシミュレーターは非常にレベルが高く、十分にプロのCDに使えるようなレベルのサウンドで録音できてしまいます。
ぜひ使いこなして、楽曲のクオリティを高めていきましょう。
また今回紹介したコツは、シミュレーターに限らず、生アンプのレコーディングでも重要なことなので、もし生アンプの録音に挑戦してみたくなった時にも役に立ちますよ。
ライタープロフィール
ギタリスト・アレンジャー
べにまる
ギタリスト/アレンジャー。
曲を作ります。
三度の飯より楽器が大好き!
重度の機材オタクです。
ちょっぴりマニアックな機材のレビューや、ギター・宅録・MIXのノウハウを、他とは少し違った視点からお伝えしていきます。
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