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不要なノイズを減らせ!エレキギターに関するノイズの原因と対策

不要なノイズを減らせ!エレキギターに関するノイズの原因と対策
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不要なノイズを減らせ!エレキギターに関するノイズの原因と対策

ライブ中、ギターを弾いてないパートでもギターアンプから「サー」「ジー」や「ブーン」などのノイズが出てしまったり、音量をあまり出していないのにフィードバック、ハウリングが発生して困ってしまう。

特に静かなパートだと気になりますよね。

さらに、ノイズが多いギタートラックをレコーディングで多重録音をすると、ノイズがさらに際立って残念なことになってしまいます。

誰もが一度は悩まされているエレキギターのノイズ、今回は各種ノイズの原因を探って、なるべく発生しないようにする対策をご紹介していきます。

ノイズの種類

エレキギター周りのノイズは、大きく分けると外来ノイズと機器から発生する内部ノイズに分けられます。

ここからは、ノイズの発生箇所別にどのようなノイズがあるのかをみていきましょう。

外来ノイズ

外来ノイズとは、読んで字のごとく、ギターやエフェクター、アンプ以外の外部から来るノイズのことを指します。

主にエレキギターのピックアップやシールドなどの伝送経路からノイズが侵入し、ギターの信号経路を通ってアンプから出力されます。

外来ノイズには主に以下のようなものがあります。

電磁波などの空気中からのノイズ

電子機器や携帯電話などは常に電磁波を発生させています。

この電磁波をエレキギターのピックアップが拾うことでノイズが発生してしまいます。

DTM環境ではコンピューターから発生する電磁波をピックアップが拾ってしまうことでノイズが発生します。

デスクトップPCを使用している場合は、長めのディスプレイケーブルなどを使用して、ギター本体から可能な限り遠ざけるのがよいでしょう。

また、スタジオやライブハウスでは携帯電話の影響を受けている場合があります。

携帯電話をアンプの上に置いたり、ポケットに入れたまま演奏しないようにすることで、ノイズの発生を抑えられます。

電源からのノイズ

コンセントから電源を取っている機器がある以上、避けられないのがこの電源ノイズです。

電源コンセントに流れている電流は交流電源です。

交流電源では、周期的に電源の向きが代わりますが、その周期によってノイズが発生します。

交流周波数50/60Hzから発生するノイズで、主に「ブーン」という低音のハムノイズを発生させます。

内部ノイズ

内部ノイズはエレキギター本体や周辺機器から発生するノイズです。

主に以下のようなものがあります。

エフェクターのホワイトノイズ

歪みエフェクターなどの信号増幅回路を持つエフェクターは、エフェター単体でも出力端子からノイズを発生させるものもあります。

「シャー」とか「ジー」とかいうノイズを伴うものが多いです。

ギターアンプのホワイトノイズ

信号増幅回路そのものであるギターアンプからも当然ノイズは発生します。

これもエフェクターのノイズ同様「シャー」とか「ジー」というノイズが主です。

ポット類のガリノイズ

パーツの劣化などによって、エレキギター本体のボリュームなどを操作するときに「ガリガリ」というノイズが発生する場合があります。

また、症状が重い状態では、ポットやスイッチ類に触れていなくても同様のノイズが発生したり、突然音が出なくなったりする場合があります。

また、ギター本体だけでなく、エフェクターやギターアンプのボットやスイッチ、ジャックのガリによってノイズが発生したり、音が出なくなったりする場合もあります。

ノイズの発生箇所を特定する

ノイズの種類について解説したところで、実際にノイズの発生源をつきとめてみましょう。

エレキギター本体のノイズ

エフェクターを使用せずにエレキギターをギターアンプに直接接続することで、ノイズの発生源を絞り込むことができます。

エレキギター本体から発生するノイズは、主に外部から来る電磁ノイズです。

この電磁ノイズの対策として、一般的なエレキギターにはノイズ対策として弦アースというものが存在します。

弦アースとは?

弦アースとは電源のアースをギターアンプの電源、インプットジャック、ギター本体のジャック、ポット類、ブリッジと経由して弦に接続することで、ギターを持っている人体にアースを取る方法です。

文章で説明するととてもわかりにくくなってしまうのですが、簡単にいうと、エレキギターは、弦に触っていればノイズが抑えられる構造になっています。

一部のアクティブピックアップを搭載したギターやレスポールタイプの一部のギターでは弦アースを取っていないこともありますが、ほとんどのエレキギターはこの弦アースでノイズ対策がされています。

エフェクター周りからのノイズ

エフェクターから発生するノイズは、主に増幅回路からのホワイトノイズです。

エフェクターをOFFにしてもノイズが止まらない場合は別の発生原因やエフェクターの故障も考えられますが、歪みエフェクターでハードな歪みサウンドを作っている場合はある程度避けることのできないノイズになります。

また、エフェクターの切り替えをおこなった時に発生する「バツッ」というようなノイズは主にトゥルーバイパス仕様のエフェクターで発生します。

このノイズは構造上のもので取り除くことはできません。

複数のエフェクターがある場合は、すべてのエフェクターを外した状態から一つずつエフェクターを戻していくことでノイズを発生させているエフェクターを突き止めることができます。

また、エフェクター間を接続するシールドの接触不良によるノイズも多く見受けられます。

ギターアンプ周り

ギターアンプ本体から発生するノイズは、増幅回路のホワイトノイズか電源からくるハムノイズが考えられます。

擬音化すると、ホワイトノイズは「シャー」でハムノイズは「ブーン」です。

発生箇所別ノイズ対策

ノイズの発生原因、発生箇所を調べたところで、今度はノイズを可能な限り小さくしていきましょう。

ここからは、発生箇所別のノイズ対策について解説していきます。

エレキギター本体のノイズ対策

エレキギターのノイズは本体内部の電気パーツの消耗や、アースが浮いていることが原因になっていることが多いです。

また、ギター本体が拾う外来ノイズの影響は構造上、アクティブピックアップよりもパッシブピックアップの方が、ハムバッカーピックアップよりもシングルコイルピックアップの方が受けやすくなっています。

パッシブのシングルコイル搭載ギターはノイズ対策をより入念におこなう必要があります。

また、現在のサウンドを変化させたい場合などは、ノイズ対策も兼ねて、ノイズの少ないピックアップに交換するのも大変効果的です

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アースでのノイズ対策

エレキギターのノイズは前述の弦アースで対策が取られています。

エレキギターの弦に素手で触れてもノイズが減らない場合、弦アースが正常に接続されていない可能性があります。

ストラトやディンキータイプのギターの場合、バックプレートを外すことで弦アースが正常に接続されているかを確認することが可能です。

弦アース画像の丸内に導線が一本半田付けされています。

この導線が各パーツと出力ジャックに接続されているのが正常な状態です。

ポットアース

どこかのパーツの半田が浮いていたりすると正常にアース接続ができず、外来ノイズに弱い状態になります。

自分で半田ごてを使用して修理をするか、楽器屋さんに相談するのがよいでしょう。

また、黒系のカラーなので少しわかりづらいですが、このギターはキャビティ内に電導塗料が塗ってあり、バックプレートが金属製です。

つまり、電装系全体が電気的には金属の箱に入っている状態と同じになります。

弦に手を触れていることで、この金属の箱全体がアースに落ち、箱の内部は外部からのノイズの影響を非常に受けづらくなります。

また、このノイズに強い箱構造はギター内部では終わらず、楽器用シールドのシールド部分とも接続され、ギターアンプのシャーシにも接続されています。

こうした伝送をおこなうことで回路全体がノイズに強い状態になっています。

楽器用シールドのノイズ対策構造に関しては以下の記事もご参照ください。

意外と音が変わる!

シールドの構造、選び方とおすすめシールド5選

パーツの洗浄、交換による対策

ボリュームを操作するときにノイズが発生する場合や、ギター本体に挿さっているシールドに触れた際にノイズが発生する場合は、ポット類や出力ジャックの磨耗、劣化による接点不良の可能性が高いです。

ジャック内部の接点不良には、接点洗浄剤を綿棒に付けてジャック内部を洗浄するのが効果的です。

スプレータイプの洗浄剤を直接ジャック内部に吹き付けると木部を痛めたり、内部に残ったスプレー剤がホコリを吸い付けてしまったりするので、必ず綿棒を使用しましょう。

CUSTOM AUDIO JAPAN / CLEANSABLE

CUSTOM AUDIO JAPAN / CLEANSABLE

CLEANSABLEのようにスプレータイプではなく、接点に塗るタイプの洗浄剤が無駄がなくオススメです。

私は接点洗浄の前に無水エタノールを使用してから使用するようにしています。

そうすることで、前回の洗浄剤の塗膜を剥がしてから新しい塗膜を張ることができます。

また、洗浄をおこなっても接触不良が残る場合やギターに挿したシールドがガタつく場合には、ジャックパーツを交換する必要があります。

こちらも自分で交換するか、楽器屋さんに相談しましょう。

SWITCHCRAFT / 11

SWITCHCRAFT / 11

エフェクター周りのノイズ対策

エフェクター本体から発生するノイズは主にエフェクターの増幅回路からのホワイトノイズです。

先ほども説明した通り、歪みエフェクターで深い歪みサウンドを作っている場合はある程度避けて通れないものです。

歪みエフェクターのノイズ対策としては、歪みを抑えるか、ノイズサプレッサーを導入するくらいしか方法がありません。

歪みエフェクターを電池で駆動している場合は、AC電源を使用することで電源供給が安定し、ノイズが減少する場合もあります。

ノイズサプレッサーを使用する場合はROCKTRONのHushがおすすめです。

ノイズといえばHushというくらい有名なエフェクターで、ギターサウンド自体にあまり影響を与えずにノイズを抑えてくれます。

Micro Hushは小型でエフェクターボード内でスペースを取りません。

ROCKTRON ( ロックトロン ) / Micro Hush

ROCKTRON ( ロックトロン ) / Micro Hush

また、トゥルーバイパスのエフェクターはスイッチの切り替え時にポップノイズが発生します。

これについては対策のための改造などをされている方もいらっしゃいますが、残念ながらトゥルーバイパススイッチの構造上避けられないものです。

バッファードバイパスのラインセレクターやスイッチャーを使用する方法も考えたのですが、本末転倒ですよね。

エフェクター本体以外では、接続に使用するパッチケーブルもしっかりシールドされているものを使用しましょう。

また、シールド長が長くなればなるほど外来ノイズの影響を受けやすくなります。

パッチケーブルは必要以上に長いものをしようしない方が賢明です。

ギターアンプ周り

Marshallアンプギターアンプ本体から発生するノイズのほとんどは電源に起因するものです。

同系統の電源からデジタル機器などの電源を取っている場合は、電源の取り口を変えてみたり、電源ケーブルを変えてみることでノイズが減少することがあります。

アース接続がおこなわれていないことが原因でノイズが発生している場合もあります。

逆にアースにノイズが乗ってしまっている可能性もあります。

現在アースが接地している場合は、アースカットを使用してアースを浮かせてみるのも一つの手です。

こちらも前述ですが、コンピュータやタブレット、スマートフォンなど電磁波を発生させる機器をアンプの上に置いたりすると、発生した電磁波がノイズの原因になってしまうので、置かないようにしましょう。

まとめ

最後に

今回の記事はギター周りで発生するノイズについてでした。

結局はノイズの原因は総当たりで追求するしか方法がないのですが、発生要因の切り分け方法などお役に立てていれば幸いです。

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