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ジャケットのアートワークが有名なアルバム

ジャケットのアートワークが有名なアルバムと聞くと、あなたはどんなジャケットを思い浮かべますか?

水中を泳ぐ赤ちゃんの写真やバナナのイラスト、メンバーが横断歩道を渡っている写真など、さまざまだと思います。

この記事では、そうしたどこかで目にしたことがあるジャケットの名盤を一挙に紹介していきますね!

中には「曲は聴いたことないけれど、ジャケットのデザインには見覚えがある」という作品もあるかもしれません。

それではさっそく見ていきましょう!

ジャケットのアートワークが有名なアルバム(1〜10)

Cool Struttin’Sonny Clark

『Cool Struttin’』というアルバム・タイトルにして、このオシャレすぎるアートワーク!

まさに50年代ジャズの粋が詰まった最高にクールとしか言いようがない、本国よりも日本で大人気となった1958年リリースの大名盤です。

31歳の若さで亡くなったジャズ・ピアニストの巨人、ソニー・クラークさんによるソロ・アルバムで、ハード・パップ~ファンキー・ジャズの古典的な傑作としていつまでも語り継がれる傑作であるということは、今さら説明するまでもないでしょう。

音もオシャレなアルバムはジャケットもオシャレと言わんばかりのアートワークは、スリットの入ったタイトなスカートとハイヒールというスタイルで街を歩く女性の足をフィーチャーしたもので、「世界で最も有名な女性の脚」とも言われているのだとか。

名門ブルーノートからリリースされるジャズ・アルバムはオシャレなジャケットの作品が多いイメージですが、本作はジャズに興味がなくとも「ジャケ買い」したくなるほどに魅力的ですね。

The Velvet Underground & NicoThe Velvet Underground

たとえバンドのことを知らずとも、このバナナのジャケットはほとんどの方が一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

1960年代のニューヨークが生んだ伝説のロック・バンドであるヴェルヴェット・アンダーグラウンドは、後のソロ・アーティストとして成功を果たすルー・リードさんやジョン・ケイルさんといったロックの歴史において重要なアーティストが在籍しており、バンドとしての商業的な成功には恵まれなかった彼らの提示した音楽の持つ圧倒的な先鋭性や芸術性は、音楽界のみならずあらゆるポップ・カルチャーへ影響を及ぼしたといっても過言ではありません。

そんなヴェルヴェット・アンダーグラウンドによるレガシーの中でもとくに有名なものが、冒頭で述べた1967年にリリースされたデビュー・アルバム『The Velvet Underground and Nico』のバナナ・ジャケットでしょう。

アメリカン・ポップアートのカリスマ的な存在のアンディ・ウォーホルさんがデザインを手掛け、世界で最も有名なアルバム・ジャケットの1つとしてさまざまなパロディが生まれることとなったのです。

ジャケットに書かれた「peel slowly and see」の文字にあるように、初期のレコード盤でバナナのステッカーをはがせるといった仕掛けもありました。

後に紙ジャケットのCDなどでリイシューされた際に、そのギミックを再現したバージョンもいくつかありますからぜひチェックしてみてくださいね。

NevermindNirvana

おそらく、世界で最も有名なロック・アルバムのジャケットの一つではないでしょうか。

90年代においてグランジ・ブームをけん引したニルヴァーナが、1991年にリリースしたメジャー・デビュー作にして通算2枚目となる『Nevermind』は、その後の音楽シーンを塗り替えた偉大な作品にして歴史的なヒットを記録したアルバムです。

ジェネレーションXと呼ばれた世代の鬱屈した本音をさらけ出し、天才的なソングライティング・センスとトリオならではの絶妙なバンド・アンサンブル、名プロデューサーのブッチ・ヴィグさんやミキサーを担当したアンディ・ウォレスさんによる巧みなプロダクションから生まれた珠玉の名曲がずらりと並ぶ本作は、リリースから30年以上が過ぎた今もその輝きを失うことはありません。

「1ドル札に向かって水中を裸で泳ぐ赤ちゃん」を起用したジャケットのアートワークも伝説となり、多くの分野でパロディ化されましたね。

とはいえ、赤ちゃんだった本人にとって本作のジャケットに対する評価は複雑であったようで、2021年にはニルヴァーナを相手取って裁判所へ提訴しています。

ジャケットのアートワークが有名なアルバム(11〜20)

DookieGreen Day

永遠のポップパンク・アルバムの金字塔にして、世界中で2,000万枚以上を売り上げたグリーン・デイの通算3枚目にしてメジャー・デビュー作『Dookie』は、ここ日本においてはメロコア・ブームを巻き起こした作品でもあり、多くのバンド・キッズたちに楽器を持たせるきっかけを作ったアルバムでもありますね。

『バスケット・ケース』や『ロングヴュー』に『ウェルカム・トゥ・ザ・パラダイス』など、2020年代を過ぎた今も色あせないパンク・アンセムが多く生まれた本作ですが、コミック風のキャッチーなアルバム・ジャケットに心を奪われて本作を手に取ったという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

こちらのアートワークを手掛けたアーティストのリッチー・バッカーさんによれば、本作のデザインはグリーン・デイが初期の活動拠点としたベイ・エリアのパンク・シーンを描いたものだそうです。

よく見てみると、AC/DCのアンガス・ヤングさんやビッグ・スターのアレックス・チルトンさん、パティ・スミスさんといった著名なミュージシャンが描かれており、その他にもさまざまなカルチャー作品からの引用なども発見できます。

リッチーさん自身がベイエリア・シーンにおいてミュージシャンとしても活動しており、ローカルなバンドのジャケットなども多く手掛けている存在ですから、そういったアーティストのデザインをメジャー・デビュー作品のアートワークに起用したグリーン・デイの心意気なんかも伝わってくるというものでしょう。

Rage Against the MachineRage Against The Machine

ロック・アルバム史上、これほど衝撃的なアルバム・ジャケットはそう何枚もあるものではないと断言しましょう。

「機械に対する怒り」という強烈すぎる名前を名乗ってシーンに殴り込みをかけた、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンが1992年に放ったセルフ・タイトルのデビュー・アルバムです。

カリスマティックなザック・デ・ラ・ロッチャさんによる政治的な思想を込めた歌詞を叫ぶラップと激烈なアジテーション、政治家の秘書というインテリジェンスな経歴を持ち、奇想天外なギター・プレイで後続のアーティストたちに多大なる影響を与えたトム・モレロさん、緩急自在の骨太なグルーヴを生み出す鉄壁のリズム隊を担うティム・コマーフォードさんとブラッド・ウィルクさんという、最強の4人が生み出したミクスチャー~オルタナティブロックは、あまりの完成度の高さに多くの人が度肝を抜かれ、過激な内容ながらも世界中で爆発的なヒットを記録した大傑作です。

アルバムの内容にまったく負けないインパクトを放つ本作のジャケットは、1963年にベトナム僧侶のティック・クアン・ドックさんが米大使館の前で行った政権からの弾圧に対する抗議の姿を、アメリカ人ジャーナリストのマルコム・ブラウンさんが撮影した有名な写真を起用したもの。

その時点で、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンというバンドがどのような思想を持っているのか、どのようなスタンスでバンド活動をしているのかが理解できるはず。

GooSonic youth

このアルバム・ジャケットの存在を知らなくとも、アパレルなど多くのデザインでオマージュされていますから、なんとなく目にしたことがある方も多そうですね。

オルタナティブロックの先駆的な存在であり、既存の音楽理論にとらわれない先鋭的なスタイルでニューヨークが生んだインディーズ・シーンの王者、ソニック・ユースが1990年にまさかのメジャー・デビューを果たした記念すべき名盤『Goo』のアルバム・ジャケットもまた、ロック史に残る名作ジャケットとして愛され続けています。

このような文字通りの「オルタナティブ」なサウンドでメジャー・デビューすること自体が画期的であり、翌年にリリースされてオルタナティブロック~グランジ・ブームが爆発する起爆剤となったニルヴァーナの名盤『Never Mind』が世に送り出されるための、いわば布石のような作品といっても過言ではありません。

そんな歴史的な名盤のジャケットを飾るデザインは、伝説的なハードコア・バンドとして知られるブラック・フラッグの創設者であるグレッグ・ギンさんの実弟、レイモンド・ペティボーンさんが手掛けたもので、モノクロのラフなイラストに描かれた男女と英文というクールさとオシャレさに目を引かれますね。

とはいえ、デザインの大元となるネタはイギリスで起きた凄惨な事件であり、そのことを理解した上で英文を訳すと思わずぞっとしてしまうかもしれません。

Never Mind the Bollocks, Here’s the Sex PistolsSEX PISTOLS

70年代ロンドンが生んだ世界で最も有名なパンク・バンド、セックス・ピストルズが1977年に発表した最初で最後のスタジオ・アルバム『Never Mind the Bollocks, Here’s the Sex Pistols』は、その過激な内容から本国の高級百貨店での販売拒否、メディアにおけるプロモーションも拒否されるなど賛否両論を生みましたが、見事全英チャートで1位に輝いた作品です。

日本では何ともストレートな『勝手にしやがれ!!』という邦題でも知られていますよね。

偉大なアルバムには歴史に残るアルバム・ジャケットがデザインされる、というのは必然とも言えますから、もちろん本作のジャケットもパンク・カルチャーを飛びこえて多くの分野でオマージュされるなどの影響力を誇ります。

デザインを担当したのは、ピストルズの主要な作品のアートワークを手掛けたイギリス出身のジェイミー・リードさん。

脅迫文を模したという物騒なアイデアを、シンプルな形であくまでポップに仕上げた手腕は最高にクールですよね。

アメリカでリリースされた初版のLPは色違いのデザインということもあり、コレクターであればチェックしていただきたいところ。

ともあれ70年代の英国ポップ・カルチャーを知る上でも重要な作品と言えますし、他のピストルズのアートワークも過激で秀逸なものばかりですから、深掘りしていくとおもしろいですよ。