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ジャケットのアートワークが有名なアルバム

ジャケットのアートワークが有名なアルバムと聞くと、あなたはどんなジャケットを思い浮かべますか?

水中を泳ぐ赤ちゃんの写真やバナナのイラスト、メンバーが横断歩道を渡っている写真など、さまざまだと思います。

この記事では、そうしたどこかで目にしたことがあるジャケットの名盤を一挙に紹介していきますね!

中には「曲は聴いたことないけれど、ジャケットのデザインには見覚えがある」という作品もあるかもしれません。

それではさっそく見ていきましょう!

ジャケットのアートワークが有名なアルバム(11〜20)

Weasels Ripped My FleshFrank Zappa & The Mothers of Invention

ロックの歴史の中でも屈指の天才にして、奇人・変人と評される不世出のアーティストであるフランク・ザッパさん。

破天荒な活動スタイルと検閲などの権力と徹底的に争う自由な思想を持ち、52年の人生の中でミュージシャンとしての卓越した才能に裏打ちされた膨大な楽曲を生み出し続けた存在です。

ザッパさんの残した名言の数々は、SNS時代においておそらく本人の意図とは違った形で広まってしまうほどのインパクトを放っているほどです。

そんなザッパさんは1964年から1975年にかけて「マザーズ・オブ・インヴェンション」というバンド名義で活動しており、本稿で紹介しているアルバム『Weasels Ripped My Flesh』は、1970年に同バンド名義でリリースされた作品です。

ザッパさんの作品の邦題はキャラクターに沿った形なのか、インパクトの強すぎるタイトルが多いことでも知られていますが、本作の邦題は『いたち野郎』です。

原題の意味そのままに「イタチが男性の頬肉を引き裂いている」という強烈なアルバムのアートワークを作成したのは、アメリカ人イラストレーターのネオン・パークさん。

後にリトル・フィートの作品のほぼすべてを手掛けたことでも著名なパークさんの名前を世に知らしめたのが、本作『いたち野郎』のデザインなのですね。

ザッパさんがどのような意図でパークさんに本作のアルバム・ジャケットのデザインを依頼したのか、といったエピソードも実にパンチのきいたものですから、ぜひ調べてみてくださいね!

Rage Against the MachineRage Against The Machine

ロック・アルバム史上、これほど衝撃的なアルバム・ジャケットはそう何枚もあるものではないと断言しましょう。

「機械に対する怒り」という強烈すぎる名前を名乗ってシーンに殴り込みをかけた、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンが1992年に放ったセルフ・タイトルのデビュー・アルバムです。

カリスマティックなザック・デ・ラ・ロッチャさんによる政治的な思想を込めた歌詞を叫ぶラップと激烈なアジテーション、政治家の秘書というインテリジェンスな経歴を持ち、奇想天外なギター・プレイで後続のアーティストたちに多大なる影響を与えたトム・モレロさん、緩急自在の骨太なグルーヴを生み出す鉄壁のリズム隊を担うティム・コマーフォードさんとブラッド・ウィルクさんという、最強の4人が生み出したミクスチャー~オルタナティブロックは、あまりの完成度の高さに多くの人が度肝を抜かれ、過激な内容ながらも世界中で爆発的なヒットを記録した大傑作です。

アルバムの内容にまったく負けないインパクトを放つ本作のジャケットは、1963年にベトナム僧侶のティック・クアン・ドックさんが米大使館の前で行った政権からの弾圧に対する抗議の姿を、アメリカ人ジャーナリストのマルコム・ブラウンさんが撮影した有名な写真を起用したもの。

その時点で、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンというバンドがどのような思想を持っているのか、どのようなスタンスでバンド活動をしているのかが理解できるはず。

GooSonic youth

このアルバム・ジャケットの存在を知らなくとも、アパレルなど多くのデザインでオマージュされていますから、なんとなく目にしたことがある方も多そうですね。

オルタナティブロックの先駆的な存在であり、既存の音楽理論にとらわれない先鋭的なスタイルでニューヨークが生んだインディーズ・シーンの王者、ソニック・ユースが1990年にまさかのメジャー・デビューを果たした記念すべき名盤『Goo』のアルバム・ジャケットもまた、ロック史に残る名作ジャケットとして愛され続けています。

このような文字通りの「オルタナティブ」なサウンドでメジャー・デビューすること自体が画期的であり、翌年にリリースされてオルタナティブロック~グランジ・ブームが爆発する起爆剤となったニルヴァーナの名盤『Never Mind』が世に送り出されるための、いわば布石のような作品といっても過言ではありません。

そんな歴史的な名盤のジャケットを飾るデザインは、伝説的なハードコア・バンドとして知られるブラック・フラッグの創設者であるグレッグ・ギンさんの実弟、レイモンド・ペティボーンさんが手掛けたもので、モノクロのラフなイラストに描かれた男女と英文というクールさとオシャレさに目を引かれますね。

とはいえ、デザインの大元となるネタはイギリスで起きた凄惨な事件であり、そのことを理解した上で英文を訳すと思わずぞっとしてしまうかもしれません。

Sticky FingersThe Rolling Stones

大写しのジーンズにYKKのジッパー、というロックンロールの濃厚な香りが匂い立つようなジャケットはいつ見てもカッコいいですね!

現存する最古のロック・バンド、1962年の結成から2020年代の現在に至るまで、多くのトラブルに見舞われながらも一度も解散せずに活動を続け、バリバリの現役としてシーンに君臨し続けるローリング・ストーンズが1971年に発表した大名盤『Sticky Fingers』です。

オリジナル・メンバーのブライアン・ジョーンズさんの悲劇的な死を乗りこえて、新たに加入したミック・テイラーさんがメンバーとして参加した初の作品でもあり、現在もライブの定番曲となった多くの名曲を収録した傑作アルバムとして、全英・全米チャートともに1位を獲得したバンドにとっても代表作の1つなのですね。

そんな名盤と同じくアルバム・ジャケットも名作といえる本作ですが、レコード時代には本物のジッパーが取り付けられており、CDとしてリイシューした際にもいくつかのバージョンではそのままのギミックが再現されています。

仕掛け人はポップ・アートのカリスマであるアンディ・ウォーホルさんですが、実際にデザインしたのはカーペンターズの諸作品にもクレジットされているグレッグ・ブラウンさんです。

余談ですが、当時のスペインではこのアルバム・ジャケットのデザインはNGとされ、まったく違うジャケットとして流通しました。

そのジャケットの方が問題なのでは、と感じる人も多そうなデザインですから、興味のある方はチェックしてみてください!

WeezerWeezer

冴えない自分を赤裸々にさらけだした歌詞と圧倒的にキャッチーな泣きのメロディ、オルタナティブロック~グランジ以降のノイジーなギターを融合させたスタイルでシーンに衝撃を与えたウィーザーは、ここ日本でも多くのファンを持つロック・バンドです。

彼らに影響を受けたミュージシャンも多く、ウィーザー自体も日本にちなんだジャケットを起用したセカンド・アルバム『Pinkerton』をリリースするなど、親日家として知られていますよね。

とくにソングライティングを担当するボーカリスト兼ギタリストのリヴァース・クオモさんは日本人女性と結婚、同じく親日家のミュージシャンとタッグを組んで日本語の楽曲をリリースしたこともあるほどです。

そんなウィーザーのデビュー・アルバムにして300万枚をこえるヒットを記録した1994年の『Weezer』は、その後のキャリアでも数枚のセルフタイトルの作品を出していることもあって、通称「ザ・ブルー・アルバム」とも呼ばれ、日本ではシンプルに「青盤」と呼ばれて親しまれている大名盤です。

内容の素晴らしさはもちろん、ロックスターとはかけ離れた地味なメンバー4人が所在なさげに立ち尽くしているジャケットは、派手な80年代メタルを一掃してしまったグランジ・ブームの終わりとともに生まれた、非常にエポックメイキング的なものだと言えましょう。

余談ですが、このジャケットにはメンバーの全体像が写っているバージョンも存在しており、アナログで本作を探されている方は要チェックです!

Definitely MaybeOasis

1990年代のイギリスが生んだ最強のロック・バンドにして、カリスマティックなボーカリストであるリアムさんと天才的なソングライターのノエルさんというギャラガー兄弟が率いたオアシスの作品のアートワークは、破天荒なバンドのイメージとは反するようにアルバムにしてもEP作品にしても実に英国的でオシャレなものが多いです。

初期メンバーのギタリスト、ボーンヘッドさんの家のリビングルームで撮影された写真が起用された、イギリスのロック史に残る伝説のデビュー・アルバム『Definitely Maybe』のアルバム・ジャケットも最高にクールでカッコいいですよね。

のんびりと午後の一時を過ごすバンド・メンバーといったような雰囲気のアルバム・ジャケットには、偉大な作曲家のバート・バカラックさんや地元マンチェスター・シティの選手として知られるロドニー・マーシュさんの写真が置かれ、部屋の奥にはエピフォンのギター、テレビに映っているのはクリント・イーストウッドさんの若き日の名作映画『続・夕陽のガンマン』など、彼らの趣味が伝わってくるようなアートワークとなっているのですね。

その他にも、回転している地球儀や無造作に置かれたグラスなど、さまざまなイメージを想起させるちょっとしたセンスも絶妙です。

なお、寝転がっているリアムさんのポーズもちゃんとした意味がありますから、興味を持たれた方は調べてみるとおもしろいですよ。

おわりに

ジャケットのアートワークが有名な名盤を一挙に紹介しました。

曲は聴いたことがなくてもジャケットだけは見たことがあるものがたくさんあったと思います。

この記事で紹介した曲はジャケットにまつわるエピソードやそのデザインセンスだけで話題になっているわけではなく、もちろん収録楽曲の魅力もあって現在まで名盤として語られてきました。

かつてジャケ買いという言葉があったように、もし気に入ったジャケットのアルバムがあれば実際に楽曲を聴いてみてくださいね。