これぞ元祖オーバードライブ!伝説の名機 BOSS OD-1 OverDrive
世界中のミュージシャンに愛用され、その性能の高さを誇るBOSSのエフェクター。
今ではコンパクト・タイプ以外にも数多くのラインナップが揃うBOSSブランドにおいて、1977年に記念すべき第1号機として発売されたエフェクターこそ、OD-1なのです。
当時、ギターの音を歪ませるエフェクターはファズやディストーションが既に広まっていましたが、それらのエフェクターのハードな歪みと比べて、もっとナチュラルな歪みは多くのギタリストに支持されました。
生産中止になった今でも、幻の名器としてOD-1を探し求める人は少なくありません。
そんな伝説のエフェクター、OD-1についてその特徴や音作りなどをご紹介します。
ギタリストの個性を邪魔しないマイルドな歪み
エレキギター・サウンドの歴史において、そもそもギターの音を意図的に歪ませるという考え方はほとんど無かったようです。
出来るだけ生の音に近いクリーンなギター・サウンドを聴かせようとアンプで増幅すると、その音量が大きくなるほど出音が歪んでしまいます。
つまり、アンプが生み出す歪みこそが、歪んだ音の原点だったのです。
60年代から70年代に掛けて開発されたファズやディストーションなどの歪み系エフェクターは瞬く間に多くのギタリストに広まり、歪んだ音もギタリストの個性として受け止められるまでに、さほど時間は掛からなかったでしょう。
しかし、アンプにしろエフェクターにしろ、音を歪ませることで得られるのは良いことだけではありません。
歪ませすぎた音がピッキングのニュアンスやフィンガリングのタッチなど、ギタリスト本来の個性を殺してしまうこともあります。
そんなギタリストの音作りが発展途上だった当時、ファズでもなくディストーションでもない歪みを得られるOD-1は、オーバードライブという新しい音のカテゴリーを生み出しました。
あのジェフ・ベックをして「まるでマーシャル・サウンドのような響きが得られる」と言わしめたサウンドは、ピッキングやフィンガリングのニュアンスはもちろん、歪んだサウンドでも潰れにくい豊かな倍音成分や伸びのあるサスティーンなど、弾き手の個性を残す生々しさが大きな特徴です。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ジェフ・ベック
初期型OD-1は中古市場で人気?
80年代の終わりに製造中止になるまで、OD-1は何度かのマイナーチェンジを繰り返してきました。
その仕様が異なることで、全く別物のサウンドと評する声もある中、特に初期型のOD-1のサウンドを魅力的として求めるマニアも多いようです。
OD-1の製造年を正確に分類するのは難しいのですが、最も有名なのがフット・ペダルの蓋を止めるネジの種類で見極めるというものです。
初期型はいわゆる銀ネジ、後期型が黒ネジとなっており、80年頃にネジの色が変更されたようです。

http://blog.livedoor.jp/masaaki_watanuki/archives/723832.html
銀ネジと黒ネジの違いで価値・価格が大きく変わるようで、銀ネジのOD-1は中古製品市場でも高値となっています。
外観だけでなく、内部の構造も年代によって色々と変更が為されています。
中でも最も重要な、音を作り出すオペアンプという回路については、最初期型のクワッドタイプに人気が集中しているようです。
現代となっては一度に複数のOD-1を弾き比べることは難しいので、なかなか初期型と後期型の音の違いを実感することはできませんが、OD-1の音が好きでどうしても手に入れたいと思うギタリストなら知っておいて損はないでしょう。
チューブ・アンプとの相性が最高

http://eu11.stripper.jp/pulcino/blog/archives/cat_boss_od1.html
OD-1には音量をコントロールするLEVELと、歪みをコントロールするOVER DRIVEの二つのツマミしかありません。
現代の歪み系エフェクターと比べると、OVER DRIVEをMAXにしても、歪みが物足りないと思うギタリストも少なくないでしょう。
OD-1の愛用者の多くが語るのが、「チューブ・アンプのブースターとして使用する」という使い方です。
OD-1単体での歪みを得るよりも、元の歪みをチューブ・アンプで作り、そこにOD-1の歪みを足してやるというものです。
中でもロックの王道であるマーシャルや、フェンダーのアンプとの相性が良いと感じます。
チューブ・アンプのマイルドな歪みを殺すことなく、更に豊かな倍音成分やサスティーンを加える音作りとして、やはりこれがOD-1の王道的な使い方でしょう。
世界で一番有名なエフェクターのひとつ
OD-1はオーバードライブ・サウンドの元祖とも言えるものですが、現代のギタリストから見るとOD-1のサウンドは、さほど特徴的なものに聴こえないかもしれません。
電子技術も進歩し、ノイズの少ないデジタルサウンドが簡単に手に入る今、OD-1のサウンドをシミュレートしたエフェクターも発売されています。
しかし、現在でもオリジナルのOD-1を手に入れたいとするギタリストが少なくないように、その温かみのある歪みは、やはりOD-1ならではのものと言えるでしょう。