アンリ・デュティユーさんは、20世紀後半から21世紀初めにかけてのフランスを代表する作曲家のひとり。
1916年にフランス西部のアンジェで生まれ、パリ音楽院での学びを経て、作曲家、音楽教師、コンクールの審査員として活躍しました。
1994年には「第6回高松宮殿下記念世界文化賞音楽部門」を受賞しており、日本にゆかりのある音楽家としても知られています。
本記事では、そんなデュティユーさんの作品のなかから、ピアノのために書かれた楽曲をピックアップ!
作曲の背景や作品の特徴とともにご紹介します。
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【デュティユーのピアノ曲】20世紀後半のフランスを代表する作曲家による名作(1〜10)
ピアノソナタ 第3楽章「コラールと変奏」Henri Dutilleux

20世紀後半のフランスを代表する作曲家、アンリ・デュティユーさん。
彼の唯一のピアノソナタである本作は、1948年に完成した大作です。
全3楽章からなるこの作品のなかでも、『コラールと変奏』と題された第3楽章は特に注目に値する1曲。
重厚なコラールに続く4つの変奏は、それぞれ個性的な表情を見せながら、主題を巧みに展開していきます。
華麗なパッセージが駆け巡る部分や、繊細で優美な響きが印象的な部分など、演奏効果抜群の内容となっています。
高度な技術を要しますが、その分弾きごたえは十分。
意欲的なピアニストの方にぜひチャレンジしていただきたい、スリリングな名曲です!
田園詩Henri Dutilleux

『田園詩』は、フランス近代音楽界を代表する作曲家、アンリ・デュティユーさんの作品世界をピアノ曲から垣間見ることができる1曲です。
まるで牧歌的な風景を思わせるような叙情的な旋律とともに、印象派の影響を感じさせる洗練された和声が特徴的な本曲は、穏やかな情景描写から一転、ドラマティックな展開を見せる中間部では聴き手をぐいぐい引き込んでいきます。
初期の習作的な側面もありますが、すでに作曲家としての才能の片りんが感じられる、魅力的な小品といえるでしょう。
ピアノソナタ 第1楽章Henri Dutilleux

1916年にフランス・アンジェに生まれた20世紀を代表する作曲家、アンリ・デュティユーさん。
彼の『ピアノソナタ』は、妻で著名なピアニストのジュヌヴィエーヴ・ジョワさんにささげられた渾身の大作です。
第1楽章は、複雑なリズムと和声が特徴的。
調性が絡み合うシンフォニックな趣きのなか、2つの主題が交互に現れ、聴く者を飽きさせません。
作曲には長い時間をかけ推敲に推敲を重ねたというこの曲は、20世紀ピアノ曲の最高峰として、今なお世界中のピアニストたちを魅了し続けています。
ブラックバードHenri Dutilleux

20世紀後半のフランスを代表する作曲家アンリ・デュティユーさんによるピアノ曲『ブラックバード』は、ドビュッシーやラヴェルなどの影響を受けつつ、独自の音楽語法を確立した彼の作風が色濃く反映された作品といえるでしょう。
本曲は複雑なリズムと洗練された和声が特徴的で、鳥の内面的な特性を捉えることを目指した非自然主義的なアプローチが魅力です。
音が黒いキャンバスに描かれる光のように共鳴し、深い表現力をたたえた音楽が聴く者の心を揺さぶります。
現代音楽に興味のある方にオススメしたい、アーティスティックな1曲です!
月の光(「ベルガマスク組曲」より)Debussy=Dutilleux

フランスを代表する作曲家アンリ・デュティユーさんが、同じフランス出身の偉大な作曲家クロード・ドビュッシーの名曲『月の光』を2台ピアノ用にアレンジ。
原曲の雰囲気を受け継ぎつつ、デュティユーさんならではの繊細で夢幻的な音楽に仕上げられています。
『月の光』は、静けさと美しいメロディラインが印象的な人気曲。
ゆったりとしたテンポで奏でられるこの曲は、夜空に浮かぶ月を思わせる幻想的な雰囲気を醸し出しています。
本作の演奏は非常に静かなため、繊細なタッチと豊かな表現力が求められます。
美しい旋律を奏でながら独特の世界観を表現できれば、聴き手を魅了すること間違いなし!
ぜひじっくりと練習して、気品あふれる演奏を目指してみてくださいね。
3つの前奏曲 第3曲「対比の遊び」Henri Dutilleux

20世紀後半から21世紀初めにかけてのフランスを代表する作曲家アンリ・デュティユーさん。
『3つの前奏曲』のうち、第3曲「対比の遊び」では、彼の得意とする精緻なオーケストレーションや複雑なリズム、アトナリティとモダリティの使用が見られます。
対比的な要素を巧みに組み合わせた構造は、まるで時間と記憶の概念を反映しているかのよう。
デュティユーさんの深い芸術的探求心と、現代クラシック音楽に残した足跡を感じ取れる1曲です。
波のまにまに(ピアノのための6つの小品集)第1曲「子守歌の前奏曲」Henri Dutilleux

フランスの作曲家アンリ・デュティユーさんは、20世紀を代表する音楽家のひとり。
パリ音楽院で学んだ彼は、フランス近代音楽の流れをくみつつ、独自の世界を築き上げました。
『波のまにまに』は、1940年代に書かれた6つの小品からなるピアノ曲集。
その1曲目『子守歌の前奏曲』は、繊細で美しい旋律が印象的な作品です。
ゆったりとしたテンポのなかに、わずかな揺らぎを感じさせるリズムが、まるで穏やかな波のように、音の一つひとつがあたたかく包み込んでくれます。
ピアノ演奏に慣れている方はもちろん、初めてデュティユーさんの曲に触れる方にもオススメの1曲です。