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【メシアンのピアノ曲】優れた色彩感覚によって生まれた珠玉の作品たち

【メシアンのピアノ曲】優れた色彩感覚によって生まれた珠玉の作品たち
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【メシアンのピアノ曲】優れた色彩感覚によって生まれた珠玉の作品たち

1908年にフランスのアヴィニョンで生まれ、作曲家、オルガン奏者、ピアニスト、音楽教育者として活躍したオリヴィエ・メシアンさん。

彼は神学者、鳥類学者としての一面も持ち合わせており、鳥に対する並々ならぬ思いは、作品にも色濃く反映されています。

また、音を聴くと色彩や模様を連想する「共感覚」の持ち主でもあり、その連想を楽譜に書き込む独特のスタイルで曲を完成させていったといいます。

本記事では、そんなメシアンさんが手掛けた作品のなかから、演奏機会の多いピアノ独奏曲やピアノを含む編成で演奏される作品をご紹介します!

【メシアンのピアノ曲】優れた色彩感覚によって生まれた珠玉の作品たち(1〜10)

幼子イエスに注ぐ20のまなざし 第11曲「聖母の初聖体拝領」Olivier Messiaen

PTNA2014コンペ全国決勝/グランミューズ部門 B2カテゴリー 第1位 寺村優 幼子イエスに注ぐ20のまなざし より 聖母の初聖体拝領
幼子イエスに注ぐ20のまなざし 第11曲「聖母の初聖体拝領」Olivier Messiaen

20世紀を代表するフランスの作曲家オリヴィエ・メシアンさんは、神秘的で宗教的なテーマを扱った作品で知られています。

彼の音楽は複雑なリズム、豊かな音色、独特の和声が特徴的。

1944年に作曲されたピアノ組曲『幼子イエスに注ぐ20のまなざし』は、深い宗教的感覚と自然への愛が反映された珠玉の作品です。

第11曲『聖母の初聖体拝領』は、神のテーマを奏でながら鳥のさえずりを表現するなど、メシアンらしい神秘的な美しさにあふれた曲。

信仰の有無に関わらず、感動的で深い内省を促す作品として広く愛されています。

4つのリズムのエチュード 第1番「火の島 第1」Olivier Messiaen

メシアン :4つのリズムのエチュードより”火の島第1” /O. Messiaen :Quatre études de rythme  ”Ile de feu I”
4つのリズムのエチュード 第1番「火の島 第1」Olivier Messiaen

音から色彩を連想する共感覚の持ち主であった20世紀を代表する作曲家、オリヴィエ・メシアンさんは、音と色彩をリンクさせた独自の作曲スタイルで知られています。

『4つのリズムのエチュード』の第1番『火の島 第1』では、複雑なリズムと音色の絡み合いによって生み出される、神秘的で力強い音楽世界が展開されます。

大胆な表現と繊細なタッチを併せ持つ演奏が求められますが、現代音楽になじみのある上級者の方にぜひチャレンジしていただきたい作品です!

8つの前奏曲 第8曲「風のなかの反映」Olivier Messiaen

メシアン:前奏曲集より「風の中の反映」Pf.高木早苗  O.Messiaen:Préludes “Un reflet dans le vent” Pf.Sanae TAKAGI
8つの前奏曲 第8曲「風のなかの反映」Olivier Messiaen

20世紀を代表するフランスの作曲家、オリヴィエ・メシアンさんは、独自の作風で知られています。

彼の初期の作品集『8つの前奏曲』の第8曲『風のなかの反映』は、クロード・ドビュッシーの影響を受けつつ、色彩と音の独創的な結びつきを感じさせる1曲。

曲の前後を飾る小さな嵐の描写では、オレンジと緑、黒の斑点が交互に現れ、中間部では青とオレンジの色合いが美しいメロディラインを彩ります。

若き日のメシアンさんの感性が凝縮された作品を、ぜひ色鮮やかな響きでお楽しみください。

8つの前奏曲 第1曲「鳩」Olivier Messiaen

20世紀を代表するフランスの作曲家オリヴィエ・メシアンさんは、神秘的で宗教的なテーマを扱った音楽で知られています。

幼少期から音楽に傾倒し、11歳でパリ音楽院に入学。

彼の最初のピアノ作品でもある『8つの前奏曲』の第1曲『鳩』は、若き日の彼の作曲技術や音楽言語の探求が示された1曲です。

この小品には平和や穏やかさが感じられ、限られた旋法を用いた独特の和声進行が印象的。

音楽に自然や宗教的な象徴を織り交ぜるメシアンさんらしい作品といえるでしょう。

深い音楽性とともに比較的弾きやすい曲なので、初めてメシアン作品に触れる方にもオススメです。

ポール・デュカスの墓前への小品Olivier Messiaen

Olivier Messiaen – Pièce pour le tombeau de Paul Dukas for Piano (1936) [Score-Video]
ポール・デュカスの墓前への小品Olivier Messiaen

20世紀を代表するフランスの作曲家オリヴィエ・メシアンさん。

深いカトリック信仰と鳥の鳴き声への興味から生まれたその音楽は、リズムや調和、旋律が非常に複雑で革新的な作曲スタイルで知られています。

そんな彼が敬愛する恩師ポール・デュカスさんをしのんで作曲したピアノ曲『ポール・デュカスの墓前への小品』は、師への深い敬意と感謝の意が込められた1曲。

オレンジ、白、金の光が落ちるような静的で荘厳な曲想が印象的な本作は、メシアンさんの音楽の深淵を味わいたい方にぜひオススメしたい1曲です。

世の終わりのための四重奏曲Olivier Messiaen

Messiaen: Quatuor pour la fin du temps / Weithaas, Gabetta, Meyer, Chamayou
世の終わりのための四重奏曲Olivier Messiaen

神秘的な音の世界を探求し続けた20世紀を代表する作曲家オリヴィエ・メシアンさん。

彼が第二次世界大戦中のドイツの捕虜収容所で作曲した『世の終わりのための四重奏曲』は、自然の美しさや宗教的な永遠性への思索を凝縮した渾身の作品。

極限状態のなかで完成された本作は、メシアンの音楽観が凝縮された深遠な世界を描き出します。

独特の色彩感覚と時間の概念を超越した表現力は聴く者の心を揺さぶり、音楽の可能性を大きく切り開きました。

苦難のなかで生まれた至高の名曲を、ぜひ一度耳にしてみてください。

幼子イエスに注ぐ20のまなざし 第15曲「幼児イエスの口づけ」Olivier Messiaen

メシアン/「幼子イエスに注ぐ20の眼差し」より 第15番 幼児イエスの口づけ ピアノ:伊藤悠里
幼子イエスに注ぐ20のまなざし 第15曲「幼児イエスの口づけ」Olivier Messiaen

フランスの作曲家、オリヴィエ・メシアンさんが手掛けたピアノ作品『幼子イエスに注ぐ20のまなざし』。

本作は、イエス・キリストの幼少期をテーマとする、全20曲からなる大規模な組曲です。

第15曲『幼児イエスの口づけ』は、幼子イエスへの愛情深い口づけを象徴的に描写した作品で、神秘的で詩的な美しさが際立つ1曲として知られています。

宗教的かつ神秘的なスタイルを持つメシアンさんならではの複雑なリズムと調和、そして革新的な旋律が絶妙に融合した本曲は、聴く者の心に深い感動をもたらします。

クラシック音楽になじみのある方はもちろん、初めて触れる方にもぜひ聴いていただきたい珠玉の1曲です。

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