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【メシアンのピアノ曲】優れた色彩感覚によって生まれた珠玉の作品たち

1908年にフランスのアヴィニョンで生まれ、作曲家、オルガン奏者、ピアニスト、音楽教育者として活躍したオリヴィエ・メシアンさん。

彼は神学者、鳥類学者としての一面も持ち合わせており、鳥に対する並々ならぬ思いは、作品にも色濃く反映されています。

また、音を聴くと色彩や模様を連想する「共感覚」の持ち主でもあり、その連想を楽譜に書き込む独特のスタイルで曲を完成させていったといいます。

本記事では、そんなメシアンさんが手掛けた作品のなかから、演奏機会の多いピアノ独奏曲やピアノを含む編成で演奏される作品をご紹介します!

【メシアンのピアノ曲】優れた色彩感覚によって生まれた珠玉の作品たち(1〜10)

幼子イエスに注ぐ20のまなざし 第15曲「幼児イエスの口づけ」Olivier Messiaen

メシアン/「幼子イエスに注ぐ20の眼差し」より 第15番 幼児イエスの口づけ ピアノ:伊藤悠里
幼子イエスに注ぐ20のまなざし 第15曲「幼児イエスの口づけ」Olivier Messiaen

フランスの作曲家、オリヴィエ・メシアンさんが手掛けたピアノ作品『幼子イエスに注ぐ20のまなざし』。

本作は、イエス・キリストの幼少期をテーマとする、全20曲からなる大規模な組曲です。

第15曲『幼児イエスの口づけ』は、幼子イエスへの愛情深い口づけを象徴的に描写した作品で、神秘的で詩的な美しさが際立つ1曲として知られています。

宗教的かつ神秘的なスタイルを持つメシアンさんならではの複雑なリズムと調和、そして革新的な旋律が絶妙に融合した本曲は、聴く者の心に深い感動をもたらします。

クラシック音楽になじみのある方はもちろん、初めて触れる方にもぜひ聴いていただきたい珠玉の1曲です。

鳥の小スケッチ 第1曲「ヨーロッパコマドリ」Olivier Messiaen

Olivier Messiaen : Petites esquisses d’oiseaux – 1. Le Rouge-gorge (Marie Vermeulin)
鳥の小スケッチ 第1曲「ヨーロッパコマドリ」Olivier Messiaen

20世紀を代表するフランスの作曲家、オリヴィエ・メシアンさんは、独創的な音楽言語と深い精神性で知られています。

『鳥の小スケッチ』は、彼の妻イヴォンヌ・ロリオにささげられたピアノ作品集で、ヨーロッパのさまざまな鳥の鳴き声を模倣した6つの短い楽章から成り立っています。

複雑で色彩豊かな和声とリズムが特徴的で、作曲家の宗教観と自然への愛が感じられる本作は、クラシック音楽ファンだけでなく、自然を愛する人にもおすすめの1曲です。

カンテヨジャヤーOlivier Messiaen

20世紀を代表するフランスの作曲家オリヴィエ・メシアンさんは、神秘的かつ宗教的なテーマを用いた音楽で知られ、複雑なリズム、豊かな音色、独特の和声言語によって個性を発揮しました。

彼のピアノ作品『カンテヨジャヤー』は、ヒンドゥー音楽のリズムとカルナティック音楽理論を基に作曲した挑戦的な作品です。

重層化と反復によって進行するこの曲は、メシアンの音楽的探求と成熟が反映された、彼の足跡をたどる上で欠かせない1曲。

クラシックとモダンが融合した深遠な世界観は、音楽愛好家だけでなく、精神性や哲学に興味がある方にもオススメです。

【メシアンのピアノ曲】優れた色彩感覚によって生まれた珠玉の作品たち(11〜20)

8つの前奏曲 第1曲「鳩」Olivier Messiaen

20世紀を代表するフランスの作曲家オリヴィエ・メシアンさんは、神秘的で宗教的なテーマを扱った音楽で知られています。

幼少期から音楽に傾倒し、11歳でパリ音楽院に入学。

彼の最初のピアノ作品でもある『8つの前奏曲』の第1曲『鳩』は、若き日の彼の作曲技術や音楽言語の探求が示された1曲です。

この小品には平和や穏やかさが感じられ、限られた旋法を用いた独特の和声進行が印象的。

音楽に自然や宗教的な象徴を織り交ぜるメシアンさんらしい作品といえるでしょう。

深い音楽性とともに比較的弾きやすい曲なので、初めてメシアン作品に触れる方にもオススメです。

世の終わりのための四重奏曲Olivier Messiaen

Messiaen: Quatuor pour la fin du temps / Weithaas, Gabetta, Meyer, Chamayou
世の終わりのための四重奏曲Olivier Messiaen

神秘的な音の世界を探求し続けた20世紀を代表する作曲家オリヴィエ・メシアンさん。

彼が第二次世界大戦中のドイツの捕虜収容所で作曲した『世の終わりのための四重奏曲』は、自然の美しさや宗教的な永遠性への思索を凝縮した渾身の作品。

極限状態のなかで完成された本作は、メシアンの音楽観が凝縮された深遠な世界を描き出します。

独特の色彩感覚と時間の概念を超越した表現力は聴く者の心を揺さぶり、音楽の可能性を大きく切り開きました。

苦難のなかで生まれた至高の名曲を、ぜひ一度耳にしてみてください。

幼子イエスに注ぐ20のまなざし 第1曲「父なる神のまなざし」Olivier Messiaen

20世紀を代表するフランスの作曲家、オリヴィエ・メシアンさん。

彼の宗教的なテーマを追求した作品のなかでも特に有名なのが、ピアノ独奏のための組曲『幼子イエスに注ぐ20のまなざし』でしょう。

全20曲からなるこの大作は、1944年のパリで作曲されました。

第1曲『父なる神のまなざし』では、全曲を通して繰り返されるモチーフ「神のテーマ」が印象的です。

複雑なリズムと和声、そして豊かな色彩感で、メシアンの信仰の深さと音楽的独創性が感じられる本作は高度な演奏技術を要しますが、その精神性の高さから、チャレンジしがいのある曲といえるでしょう。

鳥のカタログ 第2巻 第6番「モリヒバリ」Olivier Messiaen

Messiaen: L’alouette lulu (Catalogue d’oiseaux) ∙ Pierre-Laurent Aimard
鳥のカタログ 第2巻 第6番「モリヒバリ」Olivier Messiaen

20世紀を代表する作曲家オリヴィエ・メシアンさんは、音楽をひたむきに追求した作曲家。

神秘的で宗教的なテーマを軸に、複雑なリズムとハーモニーの探求により独自の音楽言語を確立した『鳥のカタログ』は、まさにメシアンの音楽世界の集大成といえるでしょう。

第2巻第6番『モリヒバリ』では、フランスの自然と鳥の声を細部まで音で再現。

この曲から、神の被造物である鳥たちへの深い愛と畏敬の念が伝わってきます。

クラシック音楽になじみのない方にこそ、ぜひ聴いていただきたい名曲です。