サンクトペテルブルクの音楽一家に生まれ、著名な音楽家らからその楽才を認められていたロシアの作曲家、アナトーリ・リャードフ。
彼は、早くから音楽的才能を発揮しまわりから注目を集めていたものの、音楽に対する強い情熱は持ち合わせていませんでした。
そのため、作曲に関しても非常にマイペースだったといいます。
ただ、のんびりとした作曲活動のなかで生まれた作品はいずれも、才能を感じさせる秀作ばかり!
本記事では、そんなリャードフが遺した作品のなかから、彼が演奏を得意としていたピアノのための作品をご紹介します。
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2つの小品 Op.9 第1曲「ワルツ」Anatoly Lyadov

ロシアの作曲家、アナトーリ・リャードフは、サンクトペテルブルクに生まれ、幼少期から音楽的才能を発揮し、リムスキー=コルサコフのもとで学びました。
彼のピアノのための小品は、洗練された美しさと繊細な感性にあふれ、ロマン派音楽の特徴を色濃く反映しています。
『2つの小品 Op.9』の第1曲は、優雅でリリカルな旋律が印象的な作品です。
ヘ短調で始まりヘ長調で終わる曲の構成や、特有の感傷的な雰囲気は、リャードフならではの美しい音楽世界を表現しています。
ロシアの民謡的な要素を感じさせつつ、ピアノ1台で巧みに表現されたこの曲は、ロマン派音楽や美しい旋律、繊細な音色を味わいたいピアノ愛好家の方にぜひオススメしたい1曲です。
舟歌 Op.44Anatoly Lyadov

ロシアの作曲家アナトーリ・リャードフは、早くからその音楽的才能を発揮し、周囲から注目を集めていました。
サンクトペテルブルク音楽院でリムスキー=コルサコフに師事し、後にプロコフィエフやミャスコフスキーなどの著名な作曲家を育てた教師としても知られています。
『舟歌』は、彼の代表的なピアノ作品の一つ。
穏やかでリズミカルな8分の6拍子に乗せて、優美で叙情的なメロディが流れるように奏でられます。
まるでゴンドラに揺られているような心地よさを感じさせるこの曲は、ロマン派音楽の魅力をたっぷりと味わえる1曲です。
豊かな音楽性を持ち合わせた演奏者はもちろん、繊細な表現力を求めるピアノ愛好家の方にもオススメです。
音楽玉手箱(おどけたワルツ)Op.32Anatoly Lyadov

ロシア音楽史において重要な地位を占める作曲家、アナトーリ・リャードフの代表的なピアノ作品『音楽玉手箱』。
この作品は、小さな音楽箱が奏でる繊細でチャーミングなメロディを巧みに表現した軽快なワルツです。
細かい音符と軽やかなテンポが、まるで音楽箱から流れ出る美しい響きをほうふつとさせます。
高音部のトレモロが振動する音を模倣し、洗練された作曲技法が随所に光る名曲。
大人から子供まで、幅広い世代に愛される作品です。
バラード「古い時代から」 Op.21Anatoly Lyadov

ロシアの作曲家アナトーリ・リャードフは、その才能と独特なスタイルで知られています。
彼のピアノ作品『バラード「古い時代から」Op.21』には、中世ロシアの叙事詩からインスピレーションを得た古風な響きが込められています。
簡潔さを重んじるリャードフならではの線的な旋律と、豊かな和声が織りなす世界は、聴く者をはるか昔の物語の世界へと誘います。
ロシアの文化的遺産に敬意を表しつつ、古の時代への憧れを感じさせるこの作品は、ピアノ音楽のなかでもひときわ魅力的な存在といえるでしょう。
練習曲 ヘ長調 Op.37Anatoly Lyadov

アナトーリ・リャードフは、ロシアが生んだロマン派の作曲家です。
サンクトペテルブルクの音楽一家に生まれ、若くして才能を発揮しながらも作曲に強い情熱は持ち合わせていなかったようです。
そんな彼が手掛けたピアノ小品『練習曲 ヘ長調 Op.37』は、1895年に完成した作品。
繊細で美しい音の織りなす世界は、まさにリャードフならではの魅力にあふれています。
本作は技術的な難易度はそれほど高くありませんが、細やかなニュアンスを表現するのは簡単ではありません。
しかし丁寧に音に向き合えば、誰もがその美しさを感じられるはず。
ロマン派音楽の魅力を味わいたい方に、ぜひオススメしたい1曲です。