【難易度低め】ラヴェルのピアノ曲|難易度低め&さらっと弾ける作品を厳選!
ピアノ独奏曲、ピアノ協奏曲、オペラ、バレエ音楽、室内楽曲など、幅広いジャンルの作品を世に送り出したフランスの作曲家、モーリス・ラヴェル。
ドラマティックな要素よりも、気分や雰囲気の表現に重きを置いた「印象派」の作曲家として知られ、まるで絵画を音楽に表したような繊細で優美な作風で広く愛されています。
本記事では、ラヴェルのピアノ作品の中から、比較的難易度が低く気軽に取り組みやすい作品をご紹介します。
ラヴェルの作品は、繊細タッチや表現を磨いていきたい方にピッタリ!
ぜひ、心がひかれた曲からチャレンジしてみてくださいね。
【難易度低め】ラヴェルのピアノ曲|難易度低め&さらっと弾ける作品を厳選!(1〜10)
クープランの墓 第2曲 フーガNEW!Maurice Ravel

第一次世界大戦で犠牲となった友人への追悼の思いが込められた、モーリス・ラヴェルの組曲『Le Tombeau de Couperin』。
その第2曲にあたる本作は、1919年4月に初演され、ジョアン・クルッピ少尉にささげられました。
この楽曲はラヴェルが手掛けた唯一のフーガで、3つの声部が対話するように静かに重なり合います。
悲しみだけでなく、今は亡き友人との穏やかな思い出を語っているかのようですよね。
古典的な形式美の中に、ラヴェル特有の揺らめくような響きが溶け込み、不思議な浮遊感に包まれる作品です。
組曲全体はバレエとしても上演されました。
各声部の旋律を大切に歌わせながら、全体の透明感を保つのがポイント!
バロック様式と印象派の繊細な表現を一度に学べる、魅力的な1曲です。
グロテスクなセレナードNEW!Maurice Ravel

モーリス・ラヴェルが18歳前後だった1893年頃に作曲した、非常に個性的で情熱的な作品です。
のちにラヴェル本人が「グロテスク」という言葉を付け加えたという逸話が残る本作は、題名が示す通り、荒々しく挑発的な響きの中に、ハッとするほど甘美な旋律が織り込まれています。
この楽曲の魅力は、中央に現れる情緒的な部分との鮮やかな対比にあり、まるで不器用で一途な愛の告白を聴いているような気持ちにさせられる1曲です。
ラヴェルの優美なイメージとは一味違う、若さあふれる大胆な一面に触れてみたい方にぴったり。
激しさと甘さをドラマティックに描き分けるのが、演奏する上での大きなポイントになるでしょう。
メヌエット嬰ハ短調NEW!Maurice Ravel

親しい作曲仲間への練習課題として1904年頃に書かれたとされる、わずか1分ほどの短い作品です。
古典的なメヌエットの形式の中に、ラヴェルらしい洗練された響きと、どこか内省的な雰囲気が漂います。
華やかさよりも、抑制された気品を感じさせるこの楽曲は、胸の内に秘めた繊細な感情をそのまま音にしたかのような、物憂げで美しい1曲。
本作は、ラヴェルの持つ独特の美意識に気軽に触れてみたいという方にぴったりです。
無駄な装飾を排した簡潔な構成だからこそ、一つ一つの音を丁寧に、そして優雅な舞踏のステップをイメージしながら演奏するのがポイント。
淡い雰囲気のなかで、心の機微を表現してみましょう。
組曲『鏡』 第2曲-悲しげな鳥たちNEW!Maurice Ravel

芸術家仲間であったピアニストのリカルド・ヴィニェにささげられた、全5曲からなる組曲『Miroirs』。
その第2曲にあたる本作は、1906年1月にヴィニェの演奏で初めて披露されました。
モーリス・ラヴェルが描いた「夏の暑い日、暗い森で迷子になった鳥たち」という情景を題材としており、もの悲しいさえずりが静寂のなかで響き渡る、幻想的な世界に引き込まれるような一曲です。
本作は、繊細なタッチで多彩な音色を表現したい方にぴったり。
ペダルで響きを巧みにコントロールし、情景を豊かに描く練習にもなるので、ラヴェルの絵画的な音楽にじっくりと向き合ってみてくださいね。
組曲『鏡』 第4曲-道化師の朝の歌NEW!Maurice Ravel

芸術家グループ「アパッシュ」の仲間たちに捧げられた組曲『Miroirs』。
その第4曲は、スペインの朝を舞台に、道化師の姿が目に浮かぶような変化に富んだ作品です。
ギターの響きを思わせる乾いたリズムと情熱的な旋律が交差し、道化師の陽気さと、その裏に隠された哀愁を見事に描き出しています。
この楽曲は後に管弦楽にも編曲され、1919年にロンドンで上演されたバレエで使われたそうです。
難易度としては決して易しくはありませんが、技巧的なパッセージの中に歌心があふれる瞬間がちりばめられています。
表情が豊かなスペイン音楽の世界に浸りたい方や、技巧を通して表現の幅を広げたい方にぴったりです。
激しい部分と物悲しい中間部の対比を際立たせ、物語を語るように演奏してみましょう。
高雅で感傷的なワルツ 第3ワルツ.Modéré ト長調NEW!Maurice Ravel

シューベルトのワルツに倣って作られた、モーリス・ラヴェルの組曲『Valses nobles et sentimentales』。
1911年にピアノ作品として世に出て、翌年にはバレエ音楽としても上演されました。
全八曲からなるこの組曲の三番目のワルツは、穏やかで整然とした中に、ふと物憂げな表情がのぞく美しい1曲です。
この楽曲は「高雅さ」と「感傷」という二つの心が、絶妙なバランスで表現されています。
流れるような三拍子に乗せた、少々複雑で透明感のある和音は、まるで淡い光と影が織りなす心の機微のよう。
本作は、技巧を誇示するのではなく、楽譜に込められた細かなニュアンスを丁寧に紡ぎ出すのがポイントです。
上品な雰囲気を出せるよう、角のないやわらかい音で演奏しましょう。
高雅で感傷的なワルツ 第4ワルツ,Assez animé(十分に活発に)NEW!Maurice Ravel

モーリス・ラヴェルがシューベルトへの敬意を込めた組曲『Valses nobles et sentimentales』の中には、伝統的なワルツにモダンな感性を融合させた魅力的な作品が多々あり、この一曲も躍動感と洒落っ気が際立つ楽曲です。
1911年5月の初演では作曲者名を伏せて演奏され、聴衆が作者を推理したという逸話もユニークですね。
オーケストラ版は、1820年代のパリの恋愛模様を描いたバレエ『Adélaïde, ou le langage des fleurs』として上演されました。
花の言葉に託された恋の駆け引きを思い浮かべると、「この響きはただ優雅なだけじゃない」というポイントを感じ取れるはず!
右手の技巧的な動きで密な和音を軽やかに奏でるのがポイント。
古典の枠を超えた新しい表現を探している方にぜひ触れていただきたい作品です。