1933年に生まれ、2013年に惜しまれつつもこの世を去った現代日本を代表する作曲家、三善晃さん。
東京大学文学部仏文科に進学し、在学中にパリ音楽院に留学し研さんを積むという異色の経歴を持つ三善さんは、持ち合わせた音楽的才能と文才が遺憾なく発揮された多くの合唱曲を遺したことでも知られています。
本記事では、そんな彼の作品のなかでもピアノのために書かれた楽曲に焦点を当て、作曲の背景や作品の特徴とあわせてご紹介していきます。
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波のアラベスクNEW!三善晃

きらめく水面を思わせる優雅な旋律が魅力的な、日本人作曲家三善晃の作品です。
1987年に公開されたピアノ小品集『海の日記帳』に収録されているこの楽曲は、アラビア風の装飾模様を意味するタイトルの通り、繊細な音の動きが絶え間なく続いていく情景が目に浮かびます。
嬰ト短調とロ長調が巧みに行き来する響きは、明るさの中にふと影が差すような、少々大人びた切なさを描き出します。
ピティナのコンペティション課題曲にもなる本作は、抑制の効いたペダルワークと豊かな表現力が求められる、まさに聴き映えすること間違いなしの一曲!
憧れの曲を感情が豊かに弾きこなしたい、そんな小学生や中学生のお子さんにこそ挑戦してほしい作品です。
ピアノソナタ三善晃

現代日本音楽を代表する作曲家、三善晃さん。
彼は東京大学文学部仏文科に進み、パリ音楽院留学を経て作曲家としての才能を開花させました。
三善さんの手がけたピアノ独奏曲の中でも、『ピアノソナタ』は1958年に作曲された重要な作品。
全3楽章の大作で、西洋音楽の伝統的な形式に基づきつつ、日本の伝統音楽や自然の要素を織り交ぜた三善さん独自の音楽語法や和声法が展開されています。
本作からは、作曲家としての探求心と創造性があふれんばかりに感じられます。
ピアノの深淵な響きに心を委ねてみてはいかがでしょうか。
音楽の神髄に触れる体験ができるはずです。
ピアノ小品集「海の日記帳」第24曲「手折られた潮騒」三善晃

現代日本を代表する作曲家、三善晃さんの作品集『海の日記帳』に収められた『手折られた潮騒』は、繊細な音色が美しいピアノ小品です。
子ども向けの教材としてつくられましたが、三善さんの卓越した作曲技術によって、どの年代の方にも楽しめる仕上がりになっています。
特筆すべきは、調性が目まぐるしく変化する部分。
演奏者には、セクションごとに音色を変える即興的な表現力が求められます。
三善晃さんのフランス音楽に通じた洗練されたセンスと、日本人らしい繊細な感性の融合を、存分に堪能できる本作は、ピアノを学ぶ子供たちにはもちろん、発表会で演奏したい大人の方にもオススメです。
ピアノのためのプレリュード「シェーヌ」三善晃

音楽教育に対しても精力的に取り組む三善晃さん。
『ピアノのためのプレリュード「シェーヌ」』は、24の小曲を鎖のようにつなげて連作曲に仕立て上げた意欲作です。
メシアンの影響を感じさせる色彩豊かな和声や複雑なリズム、そして通奏低音を思わせるオスティナートなど、特徴的な音楽表現が全曲に凝縮されています。
演奏する側の感性や創意工夫が大いに問われる作品ですが、演奏を通して現代音楽の真髄に触れるとともに、自身の音楽性を高められるはず。
現代音楽に興味がある中級〜上級の方にオススメの作品といえるでしょう
ピアノ小品集「海の日記帳」第28曲「波のアラベスク」三善晃

現代日本を代表する作曲家、三善晃さん。
東京大学文学部仏文科からパリ音楽院への留学など異色の経歴を持ち、持ち合わせた音楽的才能と文才が遺憾なく発揮された合唱曲を数多く遺しました。
その一方で、ピアノのために書かれた作品も優れた傑作が並びます。
こどものためのピアノ小品集『海の日記帳』に収められた『波のアラベスク』は、波をイメージしたアラベスクな音型が印象的。
三善さんの日本的情緒とフランス留学で培われた感性が融合した美しい音楽に、演奏する人も聴く人も海辺にいるような錯覚をおぼえるでしょう。
中上級のピアニストに、ぜひチャレンジしていただきたい作品です。