1933年に生まれ、2013年に惜しまれつつもこの世を去った現代日本を代表する作曲家、三善晃さん。
東京大学文学部仏文科に進学し、在学中にパリ音楽院に留学し研さんを積むという異色の経歴を持つ三善さんは、持ち合わせた音楽的才能と文才が遺憾なく発揮された多くの合唱曲を遺したことでも知られています。
本記事では、そんな彼の作品のなかでもピアノのために書かれた楽曲に焦点を当て、作曲の背景や作品の特徴とあわせてご紹介していきます。
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【三善晃のピアノ曲】現代日本音楽の巨匠が手掛けた珠玉の作品を厳選(1〜10)
ピアノソナタ三善晃

現代日本音楽を代表する作曲家、三善晃さん。
彼は東京大学文学部仏文科に進み、パリ音楽院留学を経て作曲家としての才能を開花させました。
三善さんの手がけたピアノ独奏曲の中でも、『ピアノソナタ』は1958年に作曲された重要な作品。
全3楽章の大作で、西洋音楽の伝統的な形式に基づきつつ、日本の伝統音楽や自然の要素を織り交ぜた三善さん独自の音楽語法や和声法が展開されています。
本作からは、作曲家としての探求心と創造性があふれんばかりに感じられます。
ピアノの深淵な響きに心を委ねてみてはいかがでしょうか。
音楽の神髄に触れる体験ができるはずです。
アン・ヴェール三善晃

現代日本を代表する作曲家の1人、三善晃さん。
彼はパリ音楽院に留学し研さんを積み、日本に帰国後は合唱曲をはじめ、器楽曲、管弦楽曲、電子音楽などの多岐にわたるジャンルで作品を発表。
なかでもピアノ曲『アン・ヴェール』は、三善さんが「見えないもの」や「人と自然の関係」をテーマに据え、その独自の世界観を見事に表現した曲として知られています。
繊細さと激しさを兼ね備えたこの曲は、ピアニストの卓越したテクニックを要する難曲ですが、三善さんの思想や美学に触れることのできる意欲作。
現代音楽になじみのある上級者の方にぜひオススメしたい1曲です。
ソナタ形式による練習曲三善晃

現代日本を代表する作曲家の1人、三善晃さん。
東京大学文学部仏文科出身という異色の経歴を持ち、パリ音楽院で研さんを積んだ彼は、西洋音楽と日本の伝統音楽の融合を図った独自の音楽スタイルを確立。
『ソナタ形式による練習曲』は、そんな三善さんがピアノのために書き下ろした練習曲です。
1967年に発表されたこの作品は、古典的なソナタ形式を用いつつも、彼独特の緻密な動機の展開と豊かな音色が織り成す魅力にあふれています。
深い音楽的素養に裏打ちされた、この練習曲への取り組みは、まさに現代の名曲と向き合う喜びを感じさせてくれることでしょう。
ピアノを学ぶすべての方に、ぜひ弾いていただきたい作品です。
ピアノのためのプレリュード「シェーヌ」三善晃

音楽教育に対しても精力的に取り組む三善晃さん。
『ピアノのためのプレリュード「シェーヌ」』は、24の小曲を鎖のようにつなげて連作曲に仕立て上げた意欲作です。
メシアンの影響を感じさせる色彩豊かな和声や複雑なリズム、そして通奏低音を思わせるオスティナートなど、特徴的な音楽表現が全曲に凝縮されています。
演奏する側の感性や創意工夫が大いに問われる作品ですが、演奏を通して現代音楽の真髄に触れるとともに、自身の音楽性を高められるはず。
現代音楽に興味がある中級〜上級の方にオススメの作品といえるでしょう
ピアノ小品集「海の日記帳」第24曲「手折られた潮騒」三善晃

現代日本を代表する作曲家、三善晃さんの作品集『海の日記帳』に収められた『手折られた潮騒』は、繊細な音色が美しいピアノ小品です。
子ども向けの教材としてつくられましたが、三善さんの卓越した作曲技術によって、どの年代の方にも楽しめる仕上がりになっています。
特筆すべきは、調性が目まぐるしく変化する部分。
演奏者には、セクションごとに音色を変える即興的な表現力が求められます。
三善晃さんのフランス音楽に通じた洗練されたセンスと、日本人らしい繊細な感性の融合を、存分に堪能できる本作は、ピアノを学ぶ子供たちにはもちろん、発表会で演奏したい大人の方にもオススメです。
ピアノ小品集「海の日記帳」第28曲「波のアラベスク」三善晃

現代日本を代表する作曲家、三善晃さん。
東京大学文学部仏文科からパリ音楽院への留学など異色の経歴を持ち、持ち合わせた音楽的才能と文才が遺憾なく発揮された合唱曲を数多く遺しました。
その一方で、ピアノのために書かれた作品も優れた傑作が並びます。
こどものためのピアノ小品集『海の日記帳』に収められた『波のアラベスク』は、波をイメージしたアラベスクな音型が印象的。
三善さんの日本的情緒とフランス留学で培われた感性が融合した美しい音楽に、演奏する人も聴く人も海辺にいるような錯覚をおぼえるでしょう。
中上級のピアニストに、ぜひチャレンジしていただきたい作品です。
ピアノ連弾組曲「音の手帳」第1曲 プレリュード三善晃

日本を代表する作曲家、三善晃さん。
東京大学文学部仏文科に進学し、在学中にパリ音楽院に留学して研鑽を積むという異色の経歴を持つ彼は、その後数多くの名曲を遺しました。
なかでもピアノ連弾組曲『音の手帳』は、繊細かつ情感豊かな作風に定評のある三善さんの音楽世界が凝縮された作品。
第1曲『プレリュード』は、開放的で穏やかな雰囲気を背景に、まるで人生の新たな旅立ちを予感させるような期待と希望に満ちた美しいメロディが印象的です。
古典的な構成を持ちつつも自由な表現が融合した三善さんらしい世界観を堪能できる1曲です。