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バンドマンのための音楽著作権の基礎知識

バンドマンのための音楽著作権の基礎知識
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バンドマンのための音楽著作権の基礎知識

バンドマンにとって、関係があるようなないような、いえ関係ない訳がないけど関わりたくないような、近くて遠い「著作権」。

オリジナル楽曲を制作する上でも、コピーバンドをやる上でも、作品=著作物を扱う以上関連がある権利のはずですが、私たちバンドマンは普段それを意識して活動することはほぼないのが現実ではないでしょうか。

しかし、「当然守られるべき自分達の著作権が侵害されていた!」「知らないうちに著作権を侵害しまっていた……」などとならないよう、著作権に関する最低限の知識は知っておいて損はなさそうです。

著作権とは?

著作権

http://analyticer.com/post-537/

そもそも著作権とは何たるものでしょうか。

Wikipediaによると、

著作権(ちょさくけん)は、言語、音楽、絵画、建築、図形、映画、写真、コンピュータプログラムなどの表現形式によって自らの思想・感情を創作的に表現した著作物を排他的に支配する財産的な権利である。

著作権は特許権や商標権にならぶ知的財産権の一つとして位置づけられている。

「〜〜的」が3連発だともはや何か分からないですね…。

要は、「何らかのオリジナリティを有する表現一般が著作物であり、その作者が持っているのが著作権。

著作物を作者の許可無く利用してはいけません、勝手に使ったら罰則がありますよ」大雑把に言えばそう言うことだと思います。

そして、音楽において著作物は「歌詞」と「楽曲」であり、著作権を持つのは「作詞者」「作曲者」ということになります。

ですので例えば、椎名林檎さんの「丸ノ内サディスティック」を演奏したいとなると、作詞・作曲者である(この場合は両方椎名さんなので)椎名林檎さんの許可を得なければならない、本来的に言えばそういうことになります。

JASRAC

jasrac

http://www.copyrights-vision.com/press/jasrac.html

しかし、世の中にはあまりに沢山の楽曲が存在し、演奏するのにもいちいちご本人に許可を取るのは大変です。

また、CDが売れたり放送で楽曲が使われたりした時に、どうやって著作権を保護し著作者に配分をリターンするか。

そういった音楽に関する著作権を集中して管理する日本最大の団体がJASRACです。

参考:行政書士が解説。

今さら聞けない!

JASRAC(ジャスラック)の仕事とは?

著作物には音楽の他にも、絵画や建築物、写真や映像などもありますが、こと音楽に関してはこのJASRACが他の分野に先駆けて著作権管理を手がけたことにより著作権の保護・管理は進んでいるようです。

著作者は直接もしくは音楽出版社を介して著作権をJASRACに委託し、JASRACは申請者に対し楽曲の利用を許可したり使用料を徴収します。

例えばCDの場合だと定価の約6%が著作権使用料としてJASRACに収められ、さらに著作者に配分されます。

ライブハウスのような場所や放送局では、誰のどの曲がどれくらい演奏・放送されたかを把握するのは困難なので、包括契約という形でグロスで収めたりもします。

最近では、披露宴で使用するBGMにも使用料がかかるようになったりと、ある種金銭面での使用料取り立ては厳しいとは言えますが、反面それによりリターンを得る著作者は保護されているとも言えるでしょう。

JASRAC以外にも、日本の音楽著作権管理団体はイーライセンスやジャパン・ライツ・クリアランスなどがあるようですが、現在のところ95%はJASRACに委託されているようです。

しかし、プロミュージシャンの多くの方が管理委託しているのに対し、私たちバンドマンはほぼ権利関連は処理していないのが実情ではないでしょうか。

これには、メリットもデメリットもあまり感じられない肌感覚がある気がしますが、きちんと調べればリクープラインのようなものが見出せるかも知れません。

この辺りについてはまたあらためて調べてみたいと思います。

罰則

罰

http://asanagi987.blog27.fc2.com/blog-entry-1195.html

さて、著作権はさらにその下位に属する12の権利から構成されています。

  1. 複製権
  2. 上演権・演奏権
  3. 上映権
  4. 公衆送信権
  5. 口述権
  6. 展示権
  7. 頒布権(はんぷけん)
  8. 譲渡権
  9. 貸与権
  10. 翻訳権・翻案権
  11. 二次的著作物の利用権
  12. 送信可能化権

これだけあると、iPodで音楽を聴いているだけで何か犯しているんじゃないか?

という気がしてしまうのは私だけでしょうか……。

さらに著作権を侵害すると、

  1. 民事的責任(個人間の訴訟)
  2. 刑事的責任(国→個人への処罰。

    最高で懲役10年又は1000万円以下の罰金、あるいはその両方)

という恐ろしい罰則が待っています。

これは著作権について知って損はしないどころか、知らないと悲劇の地雷を踏んでいる可能性すらあります。

バンドマンに関連しそうな3つのトピック

それでは、特にバンドマンに関係のありそうな以下の3つについて、著作権上クロかシロか見てみましょう。

サークルライブ

軽音サークル

オリジナル楽曲を演奏する場合には問題ないでしょうが、多くの場合は人気バンドのコピー曲を演奏すると思います。

この場合、

「入場料無料」「非営利目的」「ノーギャラ」

なら、権利者の許可無く演奏可能、つまり著作権上OKとのことです!

本来は「演奏権」にあたる訳ですが、例外規定として認められているようです。

YouTubeやニコニコ動画をアップするのは?

閲覧するのは?

YouTube

https://developers.google.com/youtube/branding_guidelines?hl=ja

YouTubeもニコニコ動画もJASRACと包括契約をしています。

だから「OK!」ではなく、JASRACが許可しているのは歌詞と楽曲です。

したがって、第三者が演奏・歌唱した市販のCDなどを使うのは著作隣接権を持つレコード会社の許可が必要。

自分の演奏やDTM、ボーカロイドなどを使っての音源ならOK、だから「歌ってみた」「弾いてみた」は合法で流行っているのですね。

合法の動画を閲覧するのはもちろん大丈夫ですが、中には違法にアップロードされた動画が含まれている場合もあります。

それに気付かず「見てしまった……」となるパターンもあるかと思いますが、今のところ閲覧のみならセーフ、ただし録画・録音はアウトとのことなので、くれぐれも取扱いにはご注意ください。

盗作?

オリジナル?

吉田屋

http://panic082933.ti-da.net/d2009-06-10.html

作詞・作曲をしていると、全体的にはオリジナルと言えても、部分的には何かに似ている、むしろ何にも似ず完全なオリジナルを作ることの方が難しいでしょう。

どこまでがオリジナルで、どこまでならオマージュで、どこからが盗作なのか。

これはなかなか難しい、哲学的な問題をはらんでいるように思います。

それを言うならば、渋谷系はどうなんだ、ブルースはどうなんだ、という話にもなるでしょうし、そもそも音楽の歴史自体がルーツミュージックからの枝分かれなので、先達からの継承は構造的に内包されていると言った方がいいのかも知れません。

ただ、悪意を持って「これは自分のオリジナルだ」と言い張るのもどうかと思いますし、「尊敬と敬愛が多く含まれている」=オマージュ、「悪意とそろばん勘定が多く含まれている」=盗作、というのが私の持論です。

裁判で負けたらどうしようもありませんが……。

まだまだ深い著作権

音楽と関わりの深い著作権。

権利・法務関係は、バンドマンにとって出来れば避けて通りたい鬼門ではありますが、知らなくて損すること、知っていて回避できることなど、まだまだありそうです。

またの機会に、その辺りをもっと掘り下げてみたいと思います。

ライタープロフィール

平田 浩康

ライブスポットラグ

平田 浩康

Live Spot RAGの平田浩康です。

15歳の時、音楽特にロックのカッコ良さに痺れギターとバンドを始めました。

生まれ故郷の高知県は、ライブハウスやコンサート会場も少なく生の音楽に触れる機会が少ない、当時は情報源も雑誌やCD、VHSビデオ(!?)という時代でしたが、音楽というとてもキラキラしたものに魅了され、勉強そっちのけでギターと音楽を楽しむ毎日でした。

大学進学から京都に移住し、大学では軽音楽部を卒業(笑)。

それまでは邦楽ロックや洋楽ハードロックを中心に聴いていましたが、先輩や同期から世の中にはもっとたくさんの音楽があることを知らされ、今では「いいな」と思えるものはジャンル隔てなく聴いております。

大学卒業後にRAGに入社、約6年のオフィスや約10年の音楽スタジオを経て、現在は創業39年の老舗Live Spot RAGにて勤務、主にプロモーション業務を担当しております。

日本トップミュージシャン達が奏でる「本物の音楽」に触れ、お客様に届けることで、あらためて音楽の煌めきを実感する日々です。

今でもギター、バンドはゆるく継続しており近年は今更ながら歌も歌ってみたりしています。

もうすっかりおっさんになってはしまいましたが、あの頃「音楽に描いた夢の向こう側」を、今後もみなさんと追っていければと思っています。

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