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坂本真綾の魅力とおすすめ楽曲

「坂本真綾の何がここまでミュージシャンを惹きつけるのか」

以下、5つに着目してその魅力を掘り下げていきたいと思います。

  1. 坂本真綾の概要
  2. 菅野よう子と坂本真綾
  3. 菅野よう子から巣立った坂本真綾
  4. 総評
  5. 楽曲情報

3. 菅野よう子から巣立った坂本真綾

半ば、親子のような関係であった坂本真綾と菅野よう子ですが、独り立ちした坂本真綾さん。

そうは言っても決して不仲とかトラブルが原因ではなく、本当に巣立ちという言葉がふさわしいほどの円満なコンビ解消でした。

その証拠に菅野さんはいまだに坂本真綾さんのライブによく呼ばれてピアノを弾いたり、作曲編曲という形で幾度となく関わり続けています。

話を本筋に戻しますと、菅野よう子プロデュースを離れたあと、2005年にアルバム「夕凪LOOP」をリリースします。

この作品では作曲、編曲家のh-wonderとシンガーソングライターとして知られる鈴木祥子のような多彩なクリエイター陣を迎えて製作されました。

その音楽性は作り込まれてはいますが、菅野よう子の持つ神秘性や陰の強いものではなく、フォーキーだったり、普通のJPOP的な音楽性に近くでバラエティ豊かでした。

これが、新たな坂本真綾の名刺のような作品になり、それに伴い歌詞も今までのものより、菅野よう子の音楽性に影響をされたような詩的な部分を核にしつつも地に足の着いた表現が増えたように思います。

そして2007年には2枚目のコンセプトアルバム「30minutes night flight」をリリースしました。

30分の夜間旅行、をコンセプトに掲げた今作は収録時間もほぼ30分ぴったりに収まるように収録されています。

そして多彩なクリエイターとのコラボ、という前作で見せた姿勢は継承しつつ、前作にはなかった統一感を打ち出すことに成功しました。

そして、2008年にリリースした6枚目のオリジナルアルバム「かぜよみ」ではついに当時の自身のアルバムではオリコン週間チャート最高位となる3位を獲得するに至ります。

今作には菅野よう子が久々に作曲を担当したテレビアニメマクロスF(フロンティア)のOPにもなった「トライアングラー」が収録されています。

こちらはシングルとしてもリリースされましたが、オリコンシングルチャートで週間3位を記録し、出荷枚数は9.1万枚、さらにはゴールドディスクなどさまざまな賞を獲得しました。

この効果はアルバムにも大きく影響していると思います。

ちなみに普段の坂本真綾のキーよりも少し高めに設定されているそうです。

アルバムの作曲陣もかの香織、窪田ミナ、菅野よう子、鈴木祥子、北川勝利などジャンルが異なるアーティストが多く、渋谷系ポップスやきらびやかなアニソン的ポップさ、叙情的なバラードなど、多彩な曲調でも坂本真綾の歌声にかかれば途端に統一感を持った作品にできる、という彼女自身の菅野よう子プロデュース以降の活動の1つの結実と育まれてきたそのアーティストとしての底力を示した作品だと思っております。

マクロスFのメインヒロインの1人、ランカ・リーの歌唱曲「蒼のエーテル」では初の作詞提供も行い、アーティストとして活動の幅を広げたのもこの時期です。

そして、冒頭でも説明した作品、7枚目のオリジナルアルバム「You can’t catch me」を2011年にリリースします。

記録の面は割愛しますが、今作の特徴は何と言ってもクリエイター陣の豪華さでしょう。

菅野よう子、鈴木祥子、河野伸、北川勝利、作詞では岩里祐穂(真綾さんのデビュー時から携わっていて近年だとももクロの楽曲の作詞でも知られている)という従来の布陣に加え、柴田淳、末光篤、スネオヘアー、常田真太郎(スキマスイッチ)、桜井秀俊(真心ブラザーズ)、冨田ラボといった初の顔ぶれが作詞作曲編曲に携わっています。

さらに、カバーソングとしてシングルにもなった、原曲はシュガー・ベイブのDOWN TOWNを収録しています。

さらにプレイヤー陣に関しても各楽曲のプロデューサーの人選でさまざまなジャンルから現在音楽シーンで活躍しているアーティストが数多く参加しています。

toeやthe HIATUSでの非常に手数が多いながらもリズミカルで多彩なドラムを叩いてくれている柏倉隆史が一例ですね。

菅野よう子以降の真綾さんとクリエイターとのコラボレーション、という化学反応は今作でピークを迎え、ポップスからジャズ、ロックまでジャンルを横断するその姿勢はもはや少女であったはかなさのあるものではなくコラボしても失われることのない1人のアーティストとしての強さを示したように思いました。

2011年には冬景色というコンセプトをテーマに3枚目のコンセプトアルバム「Driving in the silence」をリリースします。

ここでの大きな出会いがラスマス・フェイバー。

ジャズ・ピアニストでありながらもハウス・ミュージックをベースに作曲編曲、DJで活躍するスウェーデンのアーティストで、菅野よう子とはまた違うアプローチの神秘性ときらびやかな電子音楽は菅野よう子以来、バンドサウンドや生音を主軸にした音楽を展開していた坂本真綾の楽曲の幅をさらに広げることになります。

2013年には8枚目のアルバム「シンガーソングライター」をリリースします。

今作では作詞作曲プロデュースを坂本真綾自身が行っており、歌詞も音楽性も今までより非常に素朴かつ身近な描写を切り取ったものが多い印象です。

そして今作以降、坂本真綾のセルフプロデュースになりました。

2015年、現時点での最新作「FOLLOW ME UP」では結婚という私生活の充実とアーティストとしての充実が見事にマッチしたような作品になりました。

the band apart、坂本慎太郎(ex.ゆらゆら帝国)、コーネリアス、さかいゆう、などそのコラボレーションの幅も広がりましたし、何よりも自身の作曲のレベルも前作に比べてはるかに進歩しています。

自身の作曲ですらどこかポップさと両立する凝った部分を見せるところに確実に菅野よう子の影響が見え隠れしていて個人的にはほほえましい気持ちになります。